日本外交のガンは外務省だった? 韓国への間違ったサインが逆効果に

韓国の右往左往ぶりは、まだまだ継続中であります。
米中に日本を叱ってもらおうなどという記事も出てきてますが、1週間経って両国が何もコメントを発表しないのは、既に話が通っていたってことでしょう。
 
日本政府、次は韓国を“金融攻め”か…反日暴挙の文政権に「厳格カード」 高橋洋一氏「日本はまだカードを温存している」」
わが国としては、韓国側の輸出管理に不備があり、「不適切事案が複数発生した」ため、安全保障上の運用見直しとして、同国への「優遇措置」を取り消しただけだ。同盟国・米国にも事前伝達しているとされる。
普通に考えれば、G20の場で「韓国の安全措置違反の疑いがあるため、優遇措置を取り消すよ」と各国に通知したのでしょうね。そうでないと、中国が何もコメントしないというのは、まずありえません。
 
■まだまだ混乱しっぱなし
頭がテンパっちゃってるのか、なんなのか。報道を見ていても、「国際条約違反をどう解決するか」といった議論は皆無です。出てくるのは「影響がどのくらいあるか」や「日本にどう報復措置するか」という、およそ解決に結びつかない話ばかり。
文大統領のコメントがようやく出てきましたが、「1週間経ってこれかよ」と言いたくなるものでした。
 
韓国・文在寅大統領、日本の輸出管理強化撤回を要求「必要な対応取らざるを得ぬ」」(2019.7.8)
「韓国企業に実際に被害が生じた場合、政府として必要な対応を取らざるを得ない」と強調、「日本側の措置撤回と両国間の誠意ある協議を求める」
「韓国が報復措置を取るかもしれないのか。じゃあ元に戻すか」なんて、日本政府が思うと本当に思って、このコメントなんでしょうか。どんな報復措置を取るつもりかはわかりませんが、それこそWTO違反になりかねないと思うのですが。
そんな中、少しだけ興味深い話が出てきています。「日本の外務省を信じ過ぎた」という反省です。
 
■日本にとっても韓国にとっても、ガンだった?
 
「輸出優遇除外:「日本に相応措置」と言い放つも決め手欠く韓国政府」
外交消息筋は「日本でも既にこの問題は外務省の手を離れて官邸や経済産業省が主導している。韓日両国が力の対決に向かう様相を呈している」と語った。
今回の優遇措置撤廃について、推進したのは外務省ではなく、官邸と経済産業省だったことは、いくつか報道されています。しかし国外の措置に対して、外務省を通さないのは、はっきり言って異常です。官邸が「外務省を信用しない」何かがあったのかもしれません。
 
「日本の報復対策に分秒を争うのに…駐日本経済公使4カ月間不在」中央日報(2019.7.8)
両国外交筋によると、日本外務省は「報復措置リストは総理官邸が中心となって作成された。このリストに含まれた措置について外務省からも様々な意見を出している」とその間粘り強く韓国側に知らせたという。 
  だが、韓国政府は核心である総理官邸内の情報を入手できず「うまくいくだろう」という日本外務省の「外交的修辞」に依存したあげく、虚を突かれてしまったということだ。
日本の外務省は、韓国側に情報提供を続けていたそうなんですね。それで「大変だ。日本と交渉しなきゃ」と韓国側が思うならともかく、そうはなりませんでした。

「貿易量で見る韓国半導体産業の日本依存度」

フッ化水素の対日輸入依存度は2010年の72.2%から43.9%(1~5月)まで下がった

対策を取られたんですね。むしろ日本側の手の内を晒す結果になったわけです。

これだけでも日本の国益に寄与していないのですが、さらに「うまくいくだろう」という間違ったサインを韓国に与えて、今の状況を作り出してしまいました。
これについて、韓国側の分析にはこうあります。
 
政府筋は「青瓦台、外交部、駐日大使館いずれも日本総理官邸や安倍首相側にアプローチできず、韓国に相対的に融和的な外務省などに限って情報を求めているため起きたこと」と話した。
「韓国に相対的に融和的な外務省」。韓国側がそう思うということは、外務省側がそういう行動を、これまで行ってきたということになります。
もちろんあっちこっちにケンカ吹っかけて、周辺に敵を作りまくるのが正しい訳ではありません。それは間違いなく正しく無いのですが、ここ10年の韓国との関係で、融和的と思われるような行為は、日本にとっては損害だったのではないでしょうか。日本の外務省として、本当にその姿は正しかったんでしょうかね?
しかも結局、韓国のためにもなって無いわけですよ、最終的に。
 
決定的瞬間にはずされてしまった上に、韓国側の反省材料にも上げられてしまった外務省。通り一遍の融和だけに固執せず、それぞれの国に適切に対応する外交をして欲しいです。真に国益を守るためにはどうするべきか、日本という国のために猛省を促したいですね。

<輸出規制発動>韓国は、混乱を通り越して阿鼻叫喚

7月1日、経済産業省は韓国に対する輸出規制を行うと発表しました。報道を見る限り、韓国側は筆者と同じく、「何かやるなら8月ごろ」と考えていたらしく、不意を突かれた形です。音頭を取ったのは官邸でしょうが、外務省より経産省の方が仕事ができそうな感じがするのは、実質的な結果を出したからでしょうか。

大韓民国向け輸出管理の運用の見直しについて」

https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190701006/20190701006.html

 またこの件で、西村康稔官房副長官が会見を行い、「元徴用工巡る対抗措置ではない」と明言しました。

「韓国への輸出規制、元徴用工巡る対抗措置ではない=西村官房副長官

https://news.livedoor.com/article/detail/16704944/

 以上、二つの記事から、今回の輸出規制の性格が見えてきましたので、まとめてみました。

 

WTO違反にならず、報復措置でもない

1 7/4からフッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の3品目について、製造設備の輸出も含む、輸出審査対象にする

3品目そのものだけでなく、製造設備も含むのでかなり範囲は大きいのですが、それでも審査対象になるだけ、というのが今回の措置のミソであります。

要するに「規制」ですらないのですね。これまでの優遇措置をはずして、書類審査が入るだけ。報復措置、報復措置とマスコミも煽り気味に報道してしまいましたが、実際にはまだフォーミングアップ、準備運動レベルの話であります。

 

2 外為法別表第3の国(いわゆる「ホワイト国」)から大韓民国を削除するパブリックコメントを募集する

実は、この「ホワイト国から削除」の方が、フッ化水素等輸出規制より遥かに威力があります。というのも、外為法の対象品目は、今回指定した3品目だけでなく、核開発にも転用できる指定された材料全てなのです。

つまり、「ホワイト国からはずす」という措置は、「北朝鮮に禁止品目を横流ししているかもしれないので、韓国を信用しない」と言ってるのと同じわけです。そして「日本は経済的に韓国を保証しない」ということを宣言したのも同然になるわけで、さらには「何も反応しないアメリカは、韓国を信じない」と暗にほのめかしてることにも、なるわけです。

 

3 募集工(徴用工)問題における対抗措置(報復措置)ではない

そしてダメ押しが、この会見です。そもそも今回の措置の理由を「大韓民国との信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難」としており、「募集工問題」に関する記述も、「対抗措置」や「報復措置」につながる表現も出しませんでした。

ということは、「韓国が北朝鮮に指定3品目を密輸しているから」今回の規制になったとも読めますし、「どうすれば状況の改善になるのか、わからない」状況になっています。アメリカがファーウェイ規制について、「状況が改善されるまで」という「どこにゴールがあるのか、わからない」言い方をした時と似ています。

以上見てきた限り、WTO案件にならないよう非常に計算していることがわかります。韓国は、こうした「日本の本気」をきちんと把握できたのでしょうか?

 

■トランプの史上初めて軍事境界線越えが吹き飛ぶ

6月30日、電撃的に行われたトランプ大統領金正恩委員長との首脳会談。歴代のアメリカ大統領にもできなかった、南北軍事境界線を初めて越えるサプライズ展開がありました。

7月1日の今回の措置は、そのお陰で全く注目されずに終わるんだろうな、と思っていたのですが、蓋を開けてみればビックリ。むしろ米朝サプライズ会談の方が、「日本報復」報道で霞む勢いです。というか、もう大混乱です。どんな反応があったのか見てみましょう。

「韓国産業通商資源部長官「日本の輸出規制にWTO提訴など対応措置取る」」

産業通商資源部の成允模(ソン・ユンモ)長官はこの日、ソウル貿易保険公社で開かれた輸出状況点検会議の冒頭発言で「午前の関係長官会議を通じて状況および対応方向を綿密に点検し、今後WTOへの提訴をはじめ、国際法と国内法によって必要な対応措置を取っていく」と述べた。 

https://japanese.joins.com/article/047/255047.html

予想どおりと言うか、 WTO提訴という反応が出てきたのですが、ちゃんと分析したのでしょうか。今回の日本の措置は、「輸出禁止」ではありません。「輸出手続きの厳格適用」です。そして「ホワイト国削除」は、日本が独自に取り決めていた優遇措置を外すだけです。とてもじゃないですが、WTOに持って行ってなんとかなる話ではありません。

これでWTOに持って行かなかったら、「何でWTOに提訴しないんだ!」って韓国国民から突き上げられる羽目になると思うんですが、いいんですかね。

 

「輸出規制に韓国「三権分立の原則に反する」」

元徴用工訴訟の判決に対する経済的な報復で、三権分立の原則に反する措置だ 

http://www.news24.jp/nnn/news162134264.html

 はい?

日本の措置がなんで三権分立に反するんでしょう? 「韓国の三権分立を尊重していない」って言いたいのかな? このコメントを発表したのは、産業通商資源相という担当大臣なんですが、言ってる内容が支離滅裂であります。

 

「「韓国が痛がるところを見たい」…日本の経済報復の理由は」

韓神(ハンシン)大学日本学科の河棕文(ハ・ジョンムン)教授は1日、韓国メディア「YTNラジオ」の『イ・ドンヒョンのニュース正面勝負』に出演し、「日本がなぜ報復措置とも取れるようなことをしたのか」という質問を受けて「日本はとにかく韓国が痛がるところを見たかった」

https://japanese.joins.com/article/055/255055.html

 大学教授のくせに、どういう分析ですかね。日本をどんだけ暇人だと思っているのか。

 

「韓国光復会「日本が韓国を見下す癖を直しておかなくては」」
「日本全国にクモの巣のように敷かれた鉄道の枕木一つ一つは、朝鮮人強制労働者の死体と言っても過言ではない」

 過言です。もう自分でも何が言いたいのか、わかってないんでしょう。

ざっと見たところ、「ホワイト国削除」の方の反応がさっぱりありませんでした。予想通り、事の重大性がまだわかってないようです。

 
フッ化水素など3品目規制の威力はどのくらい?
まだ本格的な輸出規制では無いのに、ここまで韓国が慌てふためくのは、半導体や画像ディスプレイなどの分野が、韓国経済の実に2割を占めるからです。もっと言ってしまうと、サムスン電子を直撃するからですね。

「対韓輸出規制:韓国の急所突く「日本の報復」(下)」ある情報技術(IT)業界関係者は「韓国が日本からこの3素材を輸入する額の合計は5000億ウォン(約466億円)前後だ。3素材を規制することにより、輸出額が昨年170兆ウォン(約15兆8400億円)に達した韓国の主力製品である半導体とディスプレイが人質に取られることになる」と語った。

https://news.livedoor.com/article/detail/16709282/ 

なんとフッ化水素など3品目の金額的影響は、たったの500億円未満。ところが、それを使用して輸出した製品の売り上げは、15兆円を遥かに超えるのです。ケタが違うどころの騒ぎではありません。
もちろん売れているということは、買っている人がいるわけで、多くの日本企業が韓国の製品を買っています。
これだけの影響があるなら、サムスンなど韓国企業は、去年から言及されてきたフッ化水素の輸出規制に、当然対応をしてきたはずです。がしかし。

「「日本に急所を狙われた」対応に追われる韓国半導体・ディスプレー業界=韓国ネット「この機会に100%国産化を」」

3品目は半導体・ディスプレーの製造に必須の素材で、日本企業が世界市場の7~9割を占有している。サムスン電子サムスンディスプレー、SKハイニックス、LGディスプレーはほぼ全量を日本企業からの供給に依存しているという。業界関係者は「供給が滞った場合、他の企業から物量を充当しても、生産に支障を来すおそれがある」と話しているという。https://www.recordchina.co.jp/b726166-s0-c30-d0144.html

なんと全量を日本からの輸入に依存してました。リスク分散しなかった理由として、以下のように言っています。
今年1月に輸出規制の可能性が浮上した時も、みんな『まさか』と思っていたが、半年で現実になるとは」とコメントしている。

「まさか」と思っていた。「まさか日本が規制するわけがない」と思っていたってことでしょう。あんなに河野外務大臣や麻生財務大臣が、「ことの重大性をわかってない」と散々指摘したのにです。

そうなんです。韓国は、日本の警告を全く理解していなかったのです。だから今、米朝サプライズ会談が吹っ飛ぶほど、大混乱しているのです。

逆に言えば、それだけ「韓国は日本をナメていた」ということでもあります。未だ今回の措置を「選挙対策」とする報道も多々あり、「日本の本気」が理解できているとは言えません。

つまり、まだようやく始まったばかりということなのです。

まだまだ、これから。日本側も、もう後戻りできないことを覚悟しましょう。

 

 

「7月の選挙が終われば元通り」 まだ『日本の本気』が認識できない韓国

G20での日韓首脳会談は、スキップすることが確定しました。会談がなくなったことを韓国大統領府が認めた後でも、韓国側からは首脳会談を熱望する声が聞こえてきます。

 

「「安倍首相、文大統領除く首脳19人と会談」…きょうマクロン仏大統領からスタート」
今回のG20首脳会議に参加する各国と欧州連合(EU)などの地域、国際機関の数をすべて合わせると37カ国・機関に達するが、議長国首脳の安倍首相はその半数分以上と個別に首脳会談をするということだ。 
https://japanese.joins.com/article/861/254861.html

G20で19か国と会うってことは、韓国以外の全部の国と会うってことかな? と思ったんですが、実際は37の国と機関なので、韓国とだけ合わないわけでは無さそうです。でもミスリードしそうな数ですよね。なんか意図があったんでしょうか。
さて、韓国と会わないとはっきりしてから、様々な韓国側の反応が出てきてますので見てみましょう。
 
■文大統領は自画自賛 外交関係者はびっくり

まず文大統領のコメントが出てきました。

「「現実的解決策」と自賛=日韓企業拠出案で文大統領-元徴用工問題」
韓国の文在寅大統領は、日韓企業の拠出金で元徴用工らに慰謝料相当額を支払うとする韓国政府案について「現実的な解決策を用意し、日本政府に伝達した」と自賛した。大統領府が26日、聯合ニュースなどとの書面インタビューの内容を公表した。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019062600863&g=int

 当ブログでも指摘しているとおり、最初から最後まで理解するのが不可能な政府案でしたが、文大統領は本当に本気だったってことなんですかね? 文大統領、結構天然が入ってる?

まぁ、文大統領が能天気だとしても、外交関係者が事態を把握していれば、今後事態が好転する可能性がありました。さあ、その反応は。

G20大阪:韓国大統領府「提示した解決策を日本が拒絶」」
最近まで韓日首脳会談は日本がG20大阪サミットの主催国であるため、自然に実現するとみられていた。米国も北朝鮮の核問題と中国けん制のための韓米日による安全保障協力の修復に向け、韓日関係の修復を公に要求してきた。

しかし、韓日政府の綱引きが続き、略式会談すら開かれないという最悪の状況を迎えた。外交関係者は、G20サミットの開催国との首脳会談が実現しなかったこと自体が衝撃的だとの受け止めだ。
https://news.livedoor.com/article/detail/16678537/

 答えは「ほっといても開催されると思ってたのに、ビックリ!」でした。おいこら。

でも、この反応には、ちゃんと理由があるのです。なぜなら今まで、常に日本が韓国とアメリカの意向を汲んで譲歩してきたのですね。だから今回も、「最後は日本が妥協するだろう」と考えてただけなのです。これは民主党政権より前、自民党政権の時からずーっとです。

 

さて、「韓日経済協会」といった経済協力を行ってきた団体のやシンクタンクの人間はどう見ているのでしょう。

「<危機の韓日関係、連続診断5>韓日企業のウィン・ウィン協力、今年突然途絶えた」

鄭在貞(チョン・ジェジョン)ソウル市立大名誉教授=中学・高校の近現代史の教科書を見ると、1945年以前の70年間の歴史の記述が150ページにのぼる。すべてのページに日本が登場する。内容で肯定的なものは一つもないが、それは当然のことだ。一方、1945年以降の70年間の現代史の記述には日本関連の内容が3ページ程度にすぎない。それも独島(ドクト、日本名・竹島)、慰安婦、教科書問題であり、韓日関係の肯定的な内容は一行もない。これが我々の学校教育の実態だ。1965年の国交正常化以降、韓日関係は全体的に見てウィン・ウィン(win-win)関係にある。韓国は日本を学習しながら経済成長し、今は互いに対等な協力関係に発展した。ところが教科書の記述はそうでない。 
https://japanese.joins.com/article/838/254838.html

 つまり日韓併合をちゃんと教えていないし、日韓基本条約がどんな条約で、どんな効果があったかも、若い韓国人は知らないということです。おかげで、今日本との関係改善に動こうとすると、「親日派」のレッテルを貼られて身動きが取れないとか。

日本の教科書にイチャモンを付けておきながら、自分の国の教科書のせいで身動きが取れなくなっているわけです。韓国の自業自得でありますね。

この記事には他にも冷静な分析があります。

韓国国内の一部では、極右性向の安倍内閣が票を集めるために嫌韓感情を流布していると理解する。しかし世論調査で韓国を好まない比率は安倍首相の支持率の倍を超えている。安倍政権が交代してもこうした状況に大きな変化はないという意味であり、経済協力の第一線にいる企業関係者の懸念が深刻だ。

 こういう分析がある一方で、相変わらず7月の参院選のためのパフォーマンスとしか見ていない分析もあります。

「元駐日大使「韓日関係が悪い時こそ指導者は会うべき」」

「日本では参議院選挙までそれほど残っていないため、政府が強く出ている側面もあると考える。選挙が終わってこそ韓国問題を扱うにあたって負担がない。

https://japanese.joins.com/article/839/254839.html

 元駐日大使ですら、こんなこと言ってますからね。選挙が終わっても日本側が妥協しなかったら、彼らはまた一歩、「日本の本気」知ることになるでしょう。

 

■ついにかつての「ツートラック外交」が言及される

過去に、日本と韓国がともに「ツートラック外交」を行っていた時期があります。

「歴史問題は棚上げにして、経済交流を進めよう」という考え方です。10年ぐらい前、朴大統領が執権するまでの日韓外交専門家の間では、「ツートラック外交」と言えば、この外交手段を指しました。

そしてようやく、忘れ去られていたこの外交手段が韓国側で復活してきたのです。

「【コラム】解決法のない韓日葛藤の解決法(2)」

韓日関係がオールストップする場合、損害が大きいのは我々のほうだ。両国の不幸な歴史から始まった強制徴用と慰安婦問題は、事実、解決法がない。ない解決策をあえて探そうと無駄な力を使って戦うのではなく、現状態から強制徴用と慰安婦問題の凍結および無期限猶予を両国が宣言すればどうだろうか。風呂敷に包んで棚に上げておこうという話だ。この問題がまるで存在しないように、互いに取り上げないで正常な隣国としてつきあってみるのだ。そのような状態で棚に白く埃が積もる程の歳月が流れたとき、問題はすでに消えてなくなっているかもしれない。

https://japanese.joins.com/article/790/254790.html

 最後の部分の「問題がなくなっているかも」なんて言うのは、ありえませんけどね。もうさすがに日本側も、この聞こえのいいフレーズに引っかからないでしょう。

あ、でも引っかかった人がいましたね。

「日韓会談でレーダー照射「棚上げ」 それでも「信頼回復」道半ばな理由

岩屋氏は会談後に記者団に明かしたところによると、日本側は自衛隊機の飛行が適切だったことを説明し、再発防止を求めた。これに対して、韓国側は「従来の主張」を展開したという。

「私どもの見解に変わりはないが、未来志向の日韓防衛当局間の関係を作っていくために、一歩前に踏み出したいと思っている」

と答え、事実上棚上げする考えだ。

https://news.livedoor.com/article/detail/16561644/

 この「争いある論点は棚上げにして、交流を進めよう」というのは、正にかつての「ツートラック外交」の考え方です。10年前だったら大して問題にもならなかったでしょう。

岩屋大臣がこんな昔ながらの「ツートラック外交」を言い出したのは、古びた考え方に固執しているのかもしれないし、誰かから吹き込まれたのかもしれません。でもこの外交手段は、韓国側が蹴り倒したのです。水の入った御盆をひっくり返したのです。もう元には戻らないのです。

思えば、募集工(徴用工)裁判判決は、戻れないルビコン川を渡った瞬間でした。「もう日韓関係の破綻は、再構成されるまで止まらない」と、政治家だけでなく、日本人全体が覚悟を持つ時が来たのです。

 

今まで見てきたように、まだ韓国側は『日本の本気』を認識していません。岩屋大臣のように間違ったサインを与える人が、日本の大臣レベルでまだいるのですから、仕方のないことです。

振り返ってみると、韓国が日本に強硬に出てくるようになったのは、経済面で「日本と対等になった」と韓国側が感じてからでした。だいたいソニーよりサムスンの方が時価総額が上になった頃からです。だから韓国の姿勢を改めさせる取っ掛かりは、韓国を経済的に追い込むことでしょうね。そのためには、日本側も傷を負う覚悟が必要です。

韓国の康外相は、「日本が報復措置を取るなら、われわれも黙っているわけにはいかない」と発言しましたが、はっきり言って、日本がそんなことをするとは全く信じていないでしょう。理由は簡単。日本がそんなことをやったことが無いからです。

日韓の健全な関係のために、やるべき時が来たのですね。

<G20>韓国の捨て身の反撃に気をつけろ

日本が韓国に「国家賠償請求」する日。

こんな言葉が出てくる日が来るとは思いませんでした。10年ぐらい前には、考えられなかったフレーズです。でも遂に来るのですねぇ。感慨深いものがあります。

「資産売却なら韓国政府に賠償請求へ 元徴用工問題」

資産売却で日本企業に損害が生じた場合、「国際法違反を是正しなかった韓国の国家責任」を問い、企業の損害額に応じて国家間で賠償を求める方針だ。国際法違反行為に関する国家の損害賠償義務は、2001年に国連国際法委員会が採択した国家責任条文で明文化された。

https://www.excite.co.jp/news/article/Mainichi_20190621k0000m010251000c/

 

既に当ブログで指摘したように、反撃は「一撃で決着を決める覚悟が必要です」。少しずつ手段を増やし、だらだらと2年も3年も続くような形は日韓双方にとって最悪です。周辺事情は激変を重ねており、日本は韓国にそこまで構ってる暇はありません。

「徴用工問題での日本の「報復措置」に戦々恐々の韓国」

特に韓国にとって最も辛いのは、半導体製造に欠かせない「フッ化水素」など核心素材と部品の韓国への輸出が規制されることである。

https://news.yahoo.co.jp/byline/pyonjiniru/20190503-00124628/

 

よく反撃手段として出てくる「フッ化水素の輸出禁止は、WTO違反になる可能性があるので、諸刃の剣でした。でも、国家賠償請求に伴う措置として「報復関税100%」などの手段で、同等の効果を行うことが可能になるのですね。

 

■しょっぱい反撃「腕叩き」をやってくる?

8月にも現金化が予想される募集工(徴用工)問題。G20での日韓首脳会談は、韓国の能天気な期待に反して、見送りが濃厚です。

 

「未定のG20日韓会談「日本が積極的でないならこだわる理由ない」

韓日首脳会談は今回、略式会談または立ち話程度にとどまる可能性が高くなった。

大統領府関係者は「今回の韓日首脳会談は徴用判決の問題とは別個」だとした上で、「日本が会談に積極的でないなら、我々もこだわる理由はない」と述べた。

https://news.livedoor.com/article/detail/16659298/

 なんでこんな分かり易い「負け惜しみ」みたいな言い方をしてるのか謎ですが、会って成果がない会議をしても意味はないでしょう。むしろ「請求権協定に基づく協議が条件だったが、その条件を撤回させた」と言って、文大統領の外交成果になりかねません。

 ただ、それでも上の記事に書いてある「立ち話程度」が曲者です。韓国側が無理やり成果をひねり出すかもしれないからです。

 

「文大統領の腕をたたくのは非礼?中国外相の行動が韓国で物議=「韓国を見下している」「国の品格がガタ落ち」2017年12月15日

ある外交消息筋は「西洋ではドナルド・トランプ米大統領らが外国首脳の腕や肩をたたいて親しみを表現することもあるが、東洋ではあまり見られないこと。さらに外相が公式の場で国賓として招待された外国首脳の腕をたたくことは理解に苦しむ」と指摘している。

https://www.excite.co.jp/news/article/Recordchina_20171215023/

「そんな外交ルールあったかな?」と日本人なら首をかしげるでしょう。

まぁ日本側の感覚はともかく、韓国は相手の肘の後ろを叩くのは「非礼」だと認識しているわけですから、今回会えなかった意趣返しとばかりに、握手の時に安倍首相の二の腕を叩いてくるかもしれません。

他国にやられたら「外交非礼だ」と騒ぐのに、日本にやってくるかと思うかもしれませんが、上の記事を見てください。「韓国を見下している」とあるように「日本を見下してる」表現なら、なぜか韓国では問題になりません。むしろみんな「よくやった!」と大喜びです。

今の文大統領は、外交得点を稼ぐためなら何でもやってくる可能性がありますから、安倍首相はたとえ握手をする時でも細心の注意を払って、くだらなくても韓国の反撃に気を付けて欲しいですね。

 

韓国政府はバカなのか

日本から求められた、「日韓請求権・経済協力協定に基づく2国間協議」を「司法府の判断を尊重するしかない」という言葉で放置してきた韓国。

G20を目前に控えて、韓国のマスコミ各社から無対応を批判されてきましたが、ようやく反応しました。

「徴用工問題、政府は韓国提案の前提条件を拒否」

韓国政府が日韓請求権・経済協力協定に基づく2国間協議に応じる前提条件として、日本企業が韓国企業と共に元徴用工らへの慰謝料支払いに応じることを求めたことについて、「韓国の国際法違反状態を是正することにはならず、問題の解決にはならない」と述べ、拒否する考えを示した。

https://news.nifty.com/article/domestic/government/12213-20190619-50267/ 

 既に日本政府は、韓国側の条件を速攻で拒否済みですが。

いやぁしかし、韓国のこの言い分は、韓国マスコミからの圧力に対しての「アリバイ対応」ですね。そうでなかったら、韓国政府はただの「バカ」になってしまいます。

  

G20ホストの日本は、韓国と会わないわけにはいかないだろう<願望>

 当初は、韓国側の反応は、「G20のような国際的な会議の議長国が、韓国と会わないなんてありえない」と高をくくっていました。

「<危機の韓日関係、連続診断4>文-安倍、大阪G20で条件なく会うべき」 2019年05月29日

日本政府は韓国政府が動かないため圧力手段としてG20の首脳会談を持ち出しているようだ。G20で両国の首脳会談が開かれないのは主催国の日本としても望むことではない。韓国政府が動いているというサインを送ってある程度の誠意を見せれば、問題は先に延ばしながら首脳会談ができるだろう。

https://japanese.joins.com/article/890/253890.html

ある程度の誠意を見せれば、問題は先に延ばしながら首脳会談ができる」とは、またずいぶん楽観的な分析です。日本側がどれぐらいこの問題に真剣に取り組んでいるか、全く見えていない様が見て取れます。

しかし、ご存じの通り、日本側は一貫して2国間協議を求めて引かず、韓国側もこれはヤバいと論調が変わってきました。

「日本の「韓国バッシング」が深刻 訪日の野党議員」2019年5月29日

日本に来てみると、韓国国内で感じているよりも両国関係が悪化していることを実感したとし、「韓国政府も日本政府も、先に手を差し出して問題を解決しようという意思がない」と述べた。

https://news.livedoor.com/article/detail/16534631/

かなり話題になった記事です。

5人で訪日したのに、出てきたのは当選1回の議員一人だけ、ということで「日本でこれほどの冷遇は初めて」とびっくりしたわけです。実際には、「会ってもよいが、批判もする」と答えたら、「それはやめてくれ」と言われたとかいう裏事情があるようですが、それでも「まさか本当に一人しか来ない」とは思ってなかったのでしょう。

とにかく議員が会いに行っただけでは解決しないということが判明したため、いよいよ「韓国政府が動かなければならない」という雰囲気になってきたのですね。

「韓日首脳、大阪G20モメンタムを逃してはならない」東亜日報

両国は、G20というモメンタムを生かし、意志疎通と協力が可能な関係に改善していく必要がある。G20で、文在寅ムン・ジェイン)大統領と安倍晋三首相が正常な首脳会談を行えるよう糸口を模索しなければならない。両首脳が無条件に会って、これまでの不信を払しょくし、関係を改善していく契機にしなければならない。そうしてこそ未来が開かれる。未来は叫ぶだけで開かれるものではない。

http://www.donga.com/jp/List/article/all/20190617/1763099/

 韓国では、国内経済だけでなく、外交手腕がとても注目されます。特に来年4月に選挙があるため、大統領の外交手腕が選挙の争点になりかねません。この辺りは、外交が選挙の争点に全くならない日本との大きな違いです。

ただ、文大統領は、日本との外交関係の改善には、まったく重きを置いていないんでしょう。本日6/19の対応発表には、その姿勢が表れています。

日韓請求権・経済協力協定に基づく2国間協議に応じる前提条件として、日本企業が韓国企業と共に元徴用工らへの慰謝料支払いに応じることを求めた

 いや凄いですね。

そもそも「日本企業への賠償判決は協定違反」という状況に対して、2国間協議を求めたのに、その企業の「慰謝料支払い」を2国間協議開催の前提条件にするなんて、なんか錯乱しているんじゃないかって疑いたくなる本末転倒ぶりです。

韓国政府がバカでなければ、「日本政府は韓国政府の求めを断った」という言い訳作りをしたかったとしか思えません。

このような事態になっても、韓国にはどこか「日本は最後には妥協する」、「アメリカが最後には日本を叱る。(韓国の肩を持つ)」という言葉が散見できます。なぜでしょうか?

 

 

■中国には卑屈。でも日本には

「【噴水台】韓国、日本とは違い中国にはむやみに対応できない」

限りなく中国に寛大(時には卑屈)な姿と比較すると、きまり悪い状況だ。日本に対してするように、中国に対しても同じことができるのだろうか。

https://japanese.joins.com/article/010/237010.html

もうこの中央日報の記事のタイトルで答えが出てますが、要するに日本をナメているわけです。当たり前ですね。だって今まで一度も、本格的に実害が出るほど、日本に反撃されたことがありませんから。

寿司に多くワサビが入ってたってだけで、「ワサビテロだ」って記事になるほど、日本の本気の反撃が、韓国にどんな影響が出るのか全く想像がついていないのです。

さらにその感性を補強したのが、福島産水産物禁輸でのWTO勝訴です。「世界は韓国を応援している!」と大いに意識を高くしました。おかげで、「募集工」問題でも、国際裁判所への付託を論じる専門家が激増しているんですから、何が影響するかわかりません。

 

遅かれ早かれ、「募集工」問題は、差し押さえられた日本企業の財産を、現金化する手続きに入るでしょう。その時に日本に必要なのは、一撃で決着を決める覚悟です。少しずつ反撃の手段を講じて、2年も3年も状況が膠着することが、一番マズイです。やるなら、一撃で決めるよう全力で反撃しなければなりません。それには各方面に損害が出ることを覚悟するよう求める世論が必要です。

よく韓国と制裁合戦になった場合、日本に影響が少ないと言う人がいますが、それはこれまでの韓国との経済的繋がりを軽視し過ぎです。影響はあります。甚大とまでは言いませんが、少なくない損害が出るでしょう。

しかし、このまま10年、50年、100年と続いた日韓関係と、反撃して再構築した日韓関係を見た場合、このままナメられたままの関係いるより、再構築した方が、遥かに損害が少ないことは間違いありません。

「未来の日本人」のために、韓国との関係を再構築すること。その覚悟が、今求められようとしています。

<ラオスダム決壊>ラオス政府の怪しい選択の未来は

長らく追加情報の入っていなかったラオスダム決壊事故。その続報が入ってきました。

 

 「Laos Dam Collapse Blamed on Substandard Construction」(2019-05-15)

(標準以下の建設が原因とされるラオス・ダム崩壊)

 

「韓国政府と調整中」

ラオス政府検査法人副議長は、政府が3月にレポートと行動方針を受け入れたことを確認しました。

「しかし韓国政府と、どんな情報を市民に公表しなければならないか、公表してはいけないかについて、交渉しているところであるので、今それを発表することができません」と、彼は言いました。

韓国との調整が終了した後、ラオス政府は公式に調査報告書を公表することになっていると、副議長は言いました。

しかし、レポートのすべての調査結果は、できるだけ速くリリースされなければなりません。

そして、タイに拠点を置くNGOラオス・ダム調査モニター」のプレムルディ=ダウロング氏 が言います。

「市民が情報を確かめることができて、問題を提起することができるようになる必要があります。この情報は、ラオス政府と韓国政府だけが、わかっていてはいけません」と付け加えました。

 https://www.rfa.org/english/news/laos/collapse-05152019161026.html

 もう3月に報告書は提出されていたんですね。

しかし、ラオス政府が韓国政府とどういう発表するか協議中で、そのままストップしていると。

なーんか、怪しいなぁ。

ラオス政府は、変な色気を出しているんじゃないでしょうね。いや、ラオス政府というか、一部の要人というか。どうも政府の動きが鈍いのが気になります。

 

新しいサドルダムが、失敗したダムから少し離れた場所に建設中で、新しい400メートルの長い構造のコンクリートで作られ、少なくとも10メートルの深さで固定されると付け加えた。

 なんか、もう作り直してるらしい。

まぁ、また雨季が来ますから、そのままにしておく訳にはいかないと思いますけども。ちょっと記事には無いんですが、誰が建設しているんでしょうね。

ラオス独裁政権で、実際のところ政府がやりたい放題の現状があります。でも「内々に処理して、ウマイ汁を吸おう」なんて発想は、韓国相手には悪手でしかありません。キチンと国際的に問題にしながら、圧力をかけていく方が、必ず良い形に動いていきます。これから先、ラオス政府に正しい選択ができるでしょうか。

 報告が公開されるのか、かなり怪しくなってきましたが、続報に期待したいと思います。