「日本に勝った!」 輸出再開に韓国は狂喜乱舞

輸出管理厳格化後、初の輸出許可が出ました。韓国では蜂の巣をつついたような騒ぎです。
 
「韓国向け輸出、初の許可 申請審査、標準より早く」(2019年08月08日)
公正に手続きを進め、韓国が主張するような禁輸や貿易制限措置でないことを示す狙いがある。
世耕弘成経済産業相は8日の閣議後の記者会見で、日本の措置が「禁輸ではないということを韓国側もよく理解してほしい」と強調した。
日本は、「禁輸ではない」と示すため通常より早く認めたようです。でも、今のところそんなメッセージは韓国側に全く伝わっていません。韓国内の反応は、「負け犬の遠吠え」であります。
 
■「日本を許すな」
「[社説]日本はたじろいで「名分」示すより、交渉に応じよ」ハンギョレ(2019.8.8)
日本の貿易報復で韓国経済の安定性が弱まったが、日本もまた観光や部品輸出などで打撃を避けられない。
日本が一息ついたのには、韓国政府と国民の効果的な対応が一役買ったのだろう。日本がすべての輸出規制を原状復帰させるまで、わずかでも緊張を緩めずに断固たる基調を続けねばならない。
ハンギョレ紙が反応を綺麗にまとめています。
1 日本の措置には、日本にも被害がある。なにより韓国国民の不買運動と他国への代替手段確保の取組が、日本を敗北に追い込んだ。
 2 日本が土下座するまで許してはならない。
 
韓国国民の反応はだいたいこんな感じです。渋谷の交差点で大騒ぎが、24時間続いてると言えばわかりやすいでしょう。
そしてもう一つは、サムスンの力を過信する反応です。
「日本が半導体材料の輸出管理を厳格化、サムスンは最悪の事態に備える?―中国メディア」
記事は、亜洲日報などの韓国メディアが6日、業界関係者の話として「サムスン半導体製造に使われる日本製の化学製品や材料約220種類全てについて、国産製品または日本以外の外国製品で代替することを決定した」と報じたことを紹介した。 
サムスンの広報担当者は
「日本製の半導体材料を全て入れ替えることは目指していない」とコメントし、報道を否定したという。 
https://www.recordchina.co.jp/b735776-s0-c20-d0054.html
 不思議ですよねぇ。普段の反応は「サムスン王国許すまじ」とばかりに大企業への反感に満ちているのに、いざ海外、特に日本との絡みでは「日本に勝ったサムスン!」ってなるんです。
今回もそうでした。複数のマスコミが「サムスンが全材料の国産化を宣言した!」って報道して、それを否定するサムスン側のコメントがあっても、誰も気にしていません。
そして「サムスンがコメントを出した瞬間、日本が負けを認めた! サムスン凄い!」って大騒ぎです。
 
ほんの数日前まで阿鼻叫喚だったのに、今は狂喜乱舞。この振り幅の大きさは、本当に別の人種なんだなぁと感じます。
とにかくマスコミが事実を報道しません。数週間前まで「禁輸措置」って報道するマスコミがあったほどなんです。今ではさすがに少なくなりましたが、それでも「輸出規制」と報道するマスコミが大半です。「輸出管理」という報道は、ほとんどありません。
だから韓国側から見える事実は、
 
1 日本が韓国に輸出規制を仕掛けた!
2 不買運動したら、日本が困って輸出開始した!
 
というものなわけです。ここで韓国政府が、ちゃんと情報を出してコントロールすれば良かったんですが、この政府がまたダメでした。
 
■文大統領「本当の意図はわからない」
「日本の貿易報復 「勝者のないゲーム」=文大統領」
文大統領は「日本は当初、大法院(韓国最高裁)の強制徴用判決を理由に掲げたが、その後は戦略物資の輸出管理の不備のためだと言葉を変えた」として、「本当の意図は何なのか疑問を持っている」と述べた。
文大統領のこのコメントは、本気で「意味わかんねえ」って言ってると思います。実際、読売新聞がこんな報道をしてました。
 
「韓国への「禁輸」4日から、半導体産業に痛手」2019/07/01
これねぇ。おそらく「日本が行うのは輸出管理。何の問題もない」と最初から思われたら無駄になるので、政府の関係者が「禁輸になる可能性もある」みたいなことを言ったと思うんですよね。で、文句を言われたら「ただの輸出管理だよ」と言えばなんとかなると。
しかし、韓国は中国から似たような形の圧力を、これまで何度も何度もやられてきたのです。「圧力なんてしないよ」とコメントしながら、平然と圧力をかける中国を見てきた韓国政府や国民は、日本政府の言葉を全く信じませんでした。この辺り、日本側は「韓国の思考回路」を見誤ったかなと思います。
なにしろ「輸出管理だから、書類が整えば、輸出許可されるぞ」と韓国の掲示板に書き込んでも、「この状況で日本を信じるなんて愚か者のすることだ」と取り合ってくれないし、なおも説明しようとすると「土着倭寇め!」って言われてしまうくらいなんです。
そんな状況で「不買運動」が全国的に広まり、サムスンの「全部材国産化」宣言が出た瞬間、輸出再開がなされました。韓国人は喜びを爆発させ、韓国株価、ウォン相場も回復したのです。
 
■輸出再開で、すこーし冷静に
「計算が複雑になった韓国政府、「ホワイト国」日本除外の正面対抗を延期」2019年08月08日
当初は日本の貿易報復への正面対抗レベルで8日から日本をホワイト国から除外しようとしたが、「ひとまず眺めよう」という慎重論が出ている。 
企画財政部によると、洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官の主宰でこの日開かれた日本輸出規制対応関係長官会議でこのような内容を議論した。
この「ホン財政部長菅」は以前当ブログで取り上げた「日本をホワイト国除外措置にし、日本の韓国ホワイト国除外措置をWTOで訴えよう」という、錯乱したようことを言っていた人ですが、少し様子見になりました。
5時間も説明会をやったというのに、韓国側は全く理解していなかったということです。
なにしろ文大統領が、日本とのパイプ作りを軽視して、必要な人員を削減しまくってしまいましたから、誰も日本と情報共有できる人がいません。日本に来る議員団は、自分たちの言いたいことを言うだけで、日本の言い分を理解する人たちではありませんから、解決につながりません。
 韓国のマスコミはここぞとばかりに、「首脳会議によって、正常化を!」と声高らかに進言していますが、日本側が問題と思っている事案が何も解決していないのに、いきなり首脳同士で会って、笑って握手するわけにはいかないでしょう。
 
■新しい日韓関係がついに始まる
「不正輸出、156件を摘発=戦略物資めぐり4年で-韓国」
こうした不正輸出事件で、韓国側は関係した企業の名前を公開していません。日本としては、それだと輸出管理にならないわけで「関係した企業名を公表しろ」と、求めることが必要だと思います。
包括契約縮小判断における事前協議」といった名目で、「関係企業の情報を出さないと除外範囲を広げるよ」と圧力を加えつつ、韓国との情報共有を目指してはどうでしょうか。
 
8月15日、文大統領が今の狂喜乱舞を受けて「経済侵略を起こした日本は謝罪と賠償しろ」と言い出すか、「やっぱり日本との対話がいるんだな」と方針転換するかが見所です。
ようやく日韓関係は新たな次元に突入します。怒涛の一か月でしたが、まだまだ何もかもこれからです。
次は「募集工(徴用工)問題」のターンになると思います。外務省マターだと思うので、ICJ提訴が仕事になるでしょう。もう福島産水産物で、逆転負けを喫したような信用失墜行為は許されませんよ。これまでの日韓関係とは違うと頭を切り替えて、適切に対応していって欲しいですね。

気勢を上げる韓国政府 悲鳴を上げる韓国企業

8月2日、日本政府は韓国のホワイト指定解除を、閣議決定しました。ロイターから流れてきていた「ポンペオ国務長官による仲裁案」も提示されず、淡々とスケジュールを消化しています。次の山場は8月15日。何が飛び出すでしょうか。

 

■「経済戦争だ!」いきり立つ韓国政府

「経済戦争を選んだ安倍首相…文大統領「私たちは屈しない」」2019-08-03

ホン・ナムギ経済副首相兼企画財政部長官も、国務会議の後に政府ソウル庁舎で開いた関係部署合同ブリーフィングで「私たちも日本をホワイト国から除外して、輸出管理を強化する手続きを踏んでいく」と明らかにした。

また、彼は「日本の措置が世界貿易機関(WTO)規範に全面的に反するものなので、世界貿易機関への提訴準備に一層拍車を加えていく」と強調した。

http://japan.hani.co.kr/arti/politics/34014.html

もう何度目かわかりませんが、韓国は阿鼻叫喚であります。上の記事でもそうですが、前段と後段で矛盾したことを言ってるのに、誰もおかしいと思いません。

ホン財政部長官は「韓国も日本をホワイト国から除外する」と宣言したわけですが、後段で日本のホワイト国除外措置を、「WTO違反として提訴する」と明言しています。日本の措置が「WTO違反」なら、韓国が同じ措置をしたら「WTO違反」で提訴できなくなるのに、なぜ矛盾を感じないんでしょうか。

WTOの場で日本が「韓国側も日本をホワイト指定解除したのに、WTO違反はおかしい」って反論したら、なんて言うんでしょうかね。「日本はダメだけど、韓国はいい」とか言い出す?

とにかく、沸騰する韓国の中で、企業の方はそうもいかず、逆に悲鳴が出ています。

 

■ハイテク材料の全製品内製化なんて絵空事

「韓国半導体業界、輸出規制への対策手詰まりで前途多難」2019年8月2日

しかしサムスン電子とSKハイニックスと取引しているあるサプライヤーの幹部は「国内サプライヤーの努力に加えて、ハイテク材料を内製化しようとする現在の国家的な取り組みは続くだろう。とはいえ全ての材料を自前で代替するのは不可能だ。そこに到達するには相当な時間がかかる。われわれは日本と協力する必要があるのだ」と打ち明けた。

https://jp.reuters.com/article/southkorea-japan-chip-analysis-idJPKCN1US04K

全部材の内製化なんて、世界中どこの国でもやってないんだから、当たり前のことです。まぁ、技術は金出して買ってくることはできますから、一から開発する必要はないかもしれません。

しかしそれを製造し始めると、自国だけでは全く利益が出ないでしょう。となると、世界に売って行かなくてはならなくなりますが、そうなるとライバルは日本企業となるわけです。これはもう、ちょっとやそっとじゃ利益を出せる話ではありません。韓国企業が不可能だと言うわけです。 

とはいえ、そんなことしなくても、普通に申請されていれば、約90日の審査機関を経て輸出は許可されるでしょう。今回の話は元々、それだけの話なんですから。ですからあと2か月ちょっとで、だんだん申請が許可されるはずです。別に驚くほどの話にはなりません。普通なら。

 

■結局、これもファーウェイ案件であった

今回のホワイト国除外措置で最も変わることは、日本産の高純度フッ化水素などの戦略部材が、韓国から中国の工場へ輸出されることが不可能になる点です。やれ北朝鮮だ、イランだ、と話がありましたが、それらはミスリードだったということなんでしょうか。

「対韓国輸出管理:「横流し先は中国か」を統計から読み解く」 2019年07月17日

この統計からわかるように、中国は日本よりも韓国、台湾からフッ化水素酸を輸入している。重要なことは、中国・台湾にはそれなりに、高純度(と称している)フッ化水素酸製造工場があることだ。逆に、韓国に中国へ輸出できるほどの高純度のフッ化水素酸製造工場があるのかどうか。

http://agora-web.jp/archives/2040357.html

中国貿易の専門家、五十嵐氏が中国の国別フッ化水素輸入量を、統計データから引っ張り出して可視化してくれています。

驚くことに、中国には日本の100倍以上のフッ化水素が、韓国から輸入されているのです。その量、なんと月に300トン。多い時には500トンを超えます。日本から韓国への輸出は、激増して月3000トンを超えています。

ちなみに、台湾も同じような量のフッ化水素を輸出してますが、台湾には日本からの輸出がほとんどありません。つまり台湾が中国へ輸出しているフッ化水素は間違いなく自前です。

しかし韓国は違います。中国にはサムスン西安工場、SKハイニックスの無錫工場があり、中国ファーウェイ向けにハイエンド半導体を大量に製造しています。それらの製品製造に必要な、高純度フッ化水素を自前で精製できるなら、こんな大騒ぎにはなっていません。五十嵐氏が、韓国の「フッ化水素横流し」が間違いないと結論する理由です。

つまり今回のホワイト国除外措置で、韓国から中国のサムスン工場やSK工場で使用する戦略部材を横流しすることは、ほぼ不可能になるわけです。それは工場の交換部品から、センサー、燃料など、1000を超える部材が該当します。

中国としては他人事でなくなるわけで、日本になんらかの圧力を掛ける可能性もありましたが、非常にナイスタイミングでトランプ大統領が「新たな追加関税」を発表してしまい、それどころではなくなってしまいました。

 

■ナイスなトランプツイートで世界の目が逸れる

「トランプ氏、9月からまた中国に追加関税とツイッターで発表 貿易戦争悪化へ」2019年08月2日

ドナルド・トランプ米大統領は1日、9月1日に中国からの輸入品3000億ドル分(約32兆円)を対象とする追加関税を発動するとツイッターで表明した。

https://www.bbc.com/japanese/49201932

 いやぁ全く良いタイミングで、やらかしてくれたお陰で、世界の目は日本の「韓国ホワイト国除外措置」から、トランプツイートに移ってしまいましたね。騒いでるのは韓国だけです。

このまま行けば、たとえ約90日の審査を合格し、輸出が再開されても、中国の工場が止まってしまう可能性があります。それは中国側にとって、韓国が「ファーウェイ規制」に乗ったように見えるかもしれません。

「韓国株2日 続落、2000割れ 7カ月ぶり安値 米中対立を懸念 」2019/8/2

https://www.nikkei.com/article/DGXLASB2IDE22_S9A800C1000000/

さらにトランプツイートと、ホワイト国除外措置のダブルパンチで、韓国株価、ウォン相場共に下落しています。早急に対処しないと、韓国は今年中にも、大変な事態になる可能性もあるわけで、ノンキに反日運動をやっている場合ではありません。

過去には、こういう状況になると「日本との通貨スワップ締結」という話が必ず出てきたのですが、今回はまだ静かです。

日本の財務省は、今から「韓国側からの通貨スワップ要請にどう答えるか」の文案を考え、先手を打って韓国に圧力をかけて欲しいですね。

今こそチャンス! 韓国の「ツートラック外交」を『死語』にする方法

トランプ大統領が、中韓などのWTO途上国優遇措置を否定するコメントを公表し、90日という期限を区切って、対応することを明らかにしました。日本のホワイト国適用除外で、アメリカの仲裁を望んでいた韓国にとって、さぞかし衝撃を受けるニュースと思いきや、ほとんど反応していません。

 

■楽観論と話題逸らしが蔓延する韓国メディア

「【社説】「韓国にWTO途上国優遇なくすべき」というトランプ大統領の警告」

農林畜産食品部は報道資料を通じて「米国はこれまで途上国地位に関連し、WTO加盟国が現在受けている優遇を放棄しろというわけではないという立場を明らかにしてきた」とし「現在の農産物関税や補助金はそのまま維持されるだろう」と伝えた。 
要するに「問題はないはず」という漠然とした楽観だ。

https://japanese.joins.com/article/016/256016.html

 社説で、中央日報が批判を展開してるのが珍しいくらい、他の新聞はこの問題を大きく取り扱っていません。一応大手の朝鮮日報東亜日報ハンギョレ新聞などは扱ってますが、政府も新聞メディアも事態を矮小化して、「慌てるな」というニュアンスのものが多いです。

 

「トランプ、WTO無力化 韓国, 発展途上国地位難しく」ハンギョレ(2019-07-29 

トランプアメリカが、韓国・中国などを名指しで世界貿易機構(WTO)の 開発途上国優遇措置の剥奪を要求した。そのため、我が国の開発途上国措置は現実的に難しくなった。 今回の開発途上国優遇措置を問題視したトランプの心算は、アメリカの WTO 脱退のための名分を積むか、あるいは WTO 体制の無力化を狙っているという分析がでている。

http://www.hani.co.kr/arti/international/globaleconomy/903801.html

ハンギョレ紙のこの報道が典型なのですが、韓国にとって、どういう影響があるのかという大きな問題より、「アメリカのWTO脱退が真の目的」という結論にしてしまうのは、客観的な記事のようで、ミスリードを起こすと思います。まぁ、そもそも日本語化してませんけどね、この記事も。

安倍首相が音頭を取った「ホワイト国優遇措置除外」という対応を、「優遇措置の除外」という同じキーワードを出してきたトランプ大統領が、全く念頭になく偶然同じ言葉を使ったというのは、あり得ないと思うのですが。

 

■建設的な意見が全く出ない韓国の不思議

日本の「ホワイト国除外措置」に対する韓国の反応は、未だ混乱しています。

しかし実に不思議ですね。言及された山ほどある対抗策では「日本が文句を付けようのない完璧な輸出書類を出してやれ」とか、「募集工(徴用工)問題で、請求権協定を守ると日本に言えば」とか、本当の意味での解決につながる主張や意見は、全く出てきません。

出てくるのは、「ホワイト国優遇除外措置の撤回を求めるにはどうすればいいか」とかそんな意見ばっかりです。良くて「募集工(徴用工)問題を一旦棚上げにするのが良い」程度ですよ。棚上げじゃないくて、解決しようと何故思わないのか。

 

安倍氏「答えを持ってきていただきたい」要求に青瓦台「いつも答えてきた」反論」2019年07月22日

韓国の青瓦台(チョンワデ、大統領府)は22日、安倍晋三首相が参議院選挙直後、韓国政府に対して「ちゃんと答えを持ってきていただきたい」と脅したことに関連して「韓日関係を過去-未来のツートラックで分けていこうという我々の立場を繰り返し述べてきた」と強調した。

https://japanese.joins.com/article/784/255784.html

 安倍首相のコメントが、「脅し」かどうかはともかく、その返答が「ツートラックで分けていこう」じゃ話が噛み合ってません。でも彼ら、これを本気で言ってるんですね。

バカバカしい話ですが、「ツートラック外交なんて成立しない」と理解させるところから、やらないと話が通じるレベルにならないのです。

ですが、今その千載一遇のチャンスが巡ってきています。

 

■GSOMIAで日本型ツートラック外交を要求しよう

 アメリカが主導したGSOMIA( 軍事情報包括保護協定 )。なぜかこれが、外交カードとして成立すると韓国は思っています。「GSOMIA破棄」なんて言い出したら、アメリカの報復がどうなるかわからないのにです。

 

「“韓米日3国安保の象徴”である軍事情報保護協定カード、米国の仲裁を引き出せるか」2019-07-23

専門家たちは韓日対立が極限に達し、韓国がGSOMIAを延長しなくても情報資産の確保レベルで被る損失は大きくないだろうと口をそろえる。韓米日軍事情報の共有状況をよく知る元軍関係者は「韓日が実質的にやりとりする情報のレベルはそれほど高くはない。韓米連合司令部があるため、韓国が日本から直接得る情報は微々たるものだ」と話した。

http://japan.hani.co.kr/arti/politics/33957.html

全く役に立たない専門家ですね。これに対して、日本は「GSOMIAは維持する」という姿勢で一貫しています。おかげで、ますます韓国側が「経済で信頼できないと言っているのに、なぜ安全保障で信頼できるのか」といきり立ち、「これは日本にとって必要なもの。外交カードになる」と勘違いする状況になっています。

 

「最近、日本の輸出規制行為などのため経済交流もまともに行われない中、軍事情報交流などとんでもないという主張もある。

https://japanese.joins.com/article/070/256070.html

しかしこの状況は、「ツートラック外交」を葬り去るいい機会になるかもしれません。

つまり、日本側は「GSOMIAを維持する」と言うだけでなく、「韓国とは様々な問題があっても、安全保障問題に関しては、連携すべき課題では連携するツートラック外交を行う」と言及するわけです。これで「日本にとってのツートラック外交とは、安全保障の連携を指す」と再定義することができます。

なぜか彼らは、「経済交流が無いのに、軍事交流できるか」という発想と、「歴史問題で対立しているのに、経済交流だけできるか」という発想が、「同じ形である」ということに気づきません。

「GSOMIA維持問題」は毎年更新する関係上、これからも毎年持ち上がります。「ツートラック外交」を言えば、何か提案した気になってる状況を打開するために、是非「GSOMIA更新問題」を利用して欲しいですね。

「WTOで日本は恥をかく」 韓国の期待が裏切られ阿鼻叫喚

ずーっと混乱が続いている韓国。「日本は韓国との協議を拒否し続けてる!」と大騒ぎです。しかしそもそも、日本が半年以上協議を求めてきた事実があるはずなのですが、そのことはスコーンと頭から抜けてしまって、「日本許すまじ」とヒートアップしている状況です。

 

■「世界は日本に怒ってる!」

ヒートアップを続ける韓国の中でも、特に大きなトピックスがWTOの一般理事会でありました。なぜなら韓国の報道では、「世界が日本に怒ってる」という認識だったからです。

 

「【コラム】安倍-韓半島の悪縁とトランプの平坦でない世界(2)」中央日報

当然、世界メディアも日本を非難している。「安倍首相の輸出規制はトランプ大統領を真似たものであり、グローバル貿易規則への挑戦」(ニューヨークタイムズ)、「安倍晋三の望みのない貿易戦争」(ブルームバーグ通信)、「日本の近視眼的な規制であり自害行為」(エコノミスト)、「自由貿易の恩恵を受けてきた日本の偽善」(ファイナンシャルタイムズ)、「日本の外交がトランプ化している」(ウォールストリートジャーナル)…。 

https://japanese.joins.com/article/919/255919.html

 こうした海外の反応を受けて、WTOでは「日本が世界に吊し上げを食う」と予想されていました。

 

WTO理事会控え、日本「輸出規制」に対する国際世論戦に拍車」ハンギョレ新聞(2019-07-24)

しかし、国際社会でも報復措置ではないという日本の主張を額面通り信じる人は多くない。ブルームバーグ通信は22日、

「しかし、今回の措置は日帝強制占領期に強制徴用労働者の被害に賠償せよという最近の韓国裁判所(最高裁)の判決に対する報復であることは明らかだ」と皮肉った。

http://japan.hani.co.kr/arti/international/33966.html

 この「WTOで日本が世界に吊し上げ」の世論をさらに助長させたのが、文大統領の強気の演説と、福島産水産物禁輸措置において活躍した対応チームの投入でしす。

 

文在寅大統領が日本に3度目の警告」(2019年7月16日)

文在寅大統領は15日、日本政府による半導体材料の輸出管理強化について「韓国の経済成長を妨げたことに等しい」とし、「結局、日本経済により大きな被害が及ぶことを警告する」と批判した。日本政府に「一方的な圧力をやめ、今からでも外交的な解決の場に戻ることを望む」と要求した。

https://news.livedoor.com/article/detail/16779782/

 凄い上から目線であります。措置を撤回してもらいたいなら、「警告する」とか言わない方がいいと思うんですけど、韓国にはこういう態度をオカシイと思う人はいません。「日本の間違った態度を正す」というスタンスが常にあり、日本からの「韓国は間違っている」という指摘には、脊髄反射で拒否する習慣が根付いているせいです。

文大統領のこの強気の姿勢は、WTOでの勝ちを見越したものだと話題になりました。さらにダメ押しが「ドリームチーム」の登場です。

 

WTO韓日戦…韓国「福島産水産物紛争」で逆転勝ちの主役が主軸」(2019年07月24日)

産業通商資源部は4月に日本の福島産水産物輸入禁止措置をめぐるWTO韓日戦で逆転勝ちした主役を主軸に対応チームを構成した。 
  彼らは23~24日にスイスのジュネーブで開かれるWTO一般理事会で国際世論を韓国側につけるための「説得戦」に入る。WTO韓日戦2次戦を戦うドリームチームの面々が関心を引く。

https://japanese.joins.com/article/867/255867.html

 福島産水産物輸入禁止をめぐるWTO大逆転は、韓国のプライドを大いに満足させました。その「ドリームチーム」がまたもWTOで活躍するわけです。韓国国民の期待値は天井知らずの状態でした。

韓国にも日本のワイドショーみたいな番組があって、専門家やコメンテイターが色々事件にコメントをつけるんですが、もう凄かったです。なにしろボルトン大統領補佐官が、WTOに参加することを題材に、「選挙も終わったし、そろそろ安倍はマトモになれ」ってWTOで言うに違いないとか、既に福島案件でWTOの信頼を勝ち取ったドリームチームが出ていけば、「よし、また日本の間違いを正そうじゃないかと一緒に立ち上がってくれる」といった、それこそドリームみたいな話を、番組に出てる人間が、決定事項のようにコメントしてるんですね。

そんな圧倒的勝利予想の中、WTOで日韓の演説がありました。

 

■予想外の結果に、またも阿鼻叫喚

WTOで日本・韓国が論戦 「日韓対立に巻き込まれたくない」との参加国も」

日本と韓国は24日に開かれた世界貿易機関WTO)の一般理事会で、半導体材料の対韓輸出規制についてそれぞれの立場を主張した。

日韓以外の複数国の代表はロイターに、複雑な歴史が絡む2国の対立に巻き込まれたくはないと述べた。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/07/wto-19.php

 韓国側の演説に拍手喝采、などという結果は出ませんでした。またボルトン大統領補佐官からも、この問題に関するコメントは全く無し。「アメリカは日本の暴走を許さない」という期待も、大きくハズレてしまいました。

 

WTOで強気の韓国“支持得た認識” 対立浮き彫り」

議長を通じて、日本側に局長級の協議を要請したが、日本側が理由も言わずに断ったと主張し、「日本が自らの措置に対して自信がなく、非協調的だと立証したかった」と話した。また、韓国メディアによると、日韓以外に発言した国がなかったことについて、「沈黙は韓国への支持とみなすか」との記者の質問に、「異議申し出はなかった」として、事実上支持を受けたとの認識を示している。

https://www.fnn.jp/posts/00421382CX/201907251207_CX_CX

異議は出なかったとして、事実上支持を受けたとみなすという苦しい結果になりました。

この結果について、現在韓国は、様々な意見が飛び出して、またも混乱状態です。見てて思うんですが、なんでこんなに極端なんでしょうね。「韓国が言えば、アメリカがすぐに日本を怒る」。「選挙が終わったら元に戻る」。「WTOで日本が負ける」。でも最終的に現実との乖離が判明して、混乱する。日本の輸出規制(の準備)が始まってから、この展開を延々繰り返してます。昔はもうちょっとマシだった気がするんですけど。

 

さて、日本も笑っていられる訳ではありません。上の記事にもあるとおり、WTOの場で「議長からも協議を開くよう言ってください」という韓国側の要望に応じて、議長が協議開催を日本側に提案しました。しかし日本は、テンプレどおりの言葉しか返していません。曰く「貿易とは関係のない問題であるため、WTOで議論するものではない」。

これは悪手だと思います。議長が仲介しているのです。韓国への回答と違う「協議を開かない理由」をちゃんと示して、韓国側の勝手な言い分を、論破する機会に変える必要がありました。韓国側が反論しようとしたら、「ここで議論はしない」とキッパリ拒否。あくまで議長に対する説明というスタンスを維持しつつ、日本の主張を世界に示していく形です。

「3年間、必要な意見交換をしてこなかったのは韓国だ。また、輸出における不適切事案もあった。日本としては、世界の安全保障のために正しい輸出管理を行っていることを示さなければならない」。

こういうふうに、しっかり主張することが、世界を相手にした世論戦というものなのです。

今回、外務省の山上信吾経済局長が出席したようですが、外務省のやり方はまだダメです。カンペを読むだけでなく、もっと臨機応変に対応できる柔軟さを発揮して欲しいですね。

日本の輸出規制(準備)で起こる半導体大変動

韓国に対する輸出規制(の準備)で、半導体やディスプレイ市場に大激変が起きています。どういう状況なのか、専門家の話や投資ファンドの分析などザーッと見てみましたが、みんな言ってることがバラバラで、どうなるのかさっぱりです。
でも面白いのは、韓国の状況に着眼している分析ほど、低迷派が多く、アメリカの需要を基準に着眼している分析ほど、回復傾向と見ていることですね。
 
サムスンのビジネスモデルが破綻か
まず大きなトピックは、業界最大手サムスン電子の業績低迷です。
サムスン電子営業益が前年比56.3%減 前期比では増加=4~6月」2019/07/05
サムスン電子の営業利益が2四半期連続で6兆ウォン台にとどまったことを巡っては、「底を打った」との楽観論と「不振が長期化する」との悲観論が交錯している。
http://www.wowkorea.jp/news/korea/2019/0709/10237542.html
半減はすごい。でもこんなことはサムスン電子の場合、珍しくありません。これまで何度も作り過ぎによる収益悪化を招いてきました。その度に半導体価格が下落。アメリカや日本など競合企業は、価格低下に耐え切れず撤退、という構図を繰り返してきたのです。加えてウォン安が、更なる価格安を生んできました。
サムスン電子の場合、とにかく「工場を止めない」ということが収益の源になっています。
「韓経:40分間停電で500億ウォンの損失…サムスン平沢工場に何が?」
少なくとも20分間は電力の供給が完全に中断し、クリーンルームの清浄真空状態を維持できなかった。このためラインにあった製品を失うことになった。半導体に薄い膜をかぶせる蒸着工程に入っていた製品もそのまま固まって使用できなくなった。 
https://japanese.joins.com/article/631/239631.html
40分工場が止まっただけで、これだけの損失が出てしまうのはハンパ無いですね。高純度フッ化水素にこだわるわけです。
この「需要の増減関係なく工場動かしっぱなし。需要があればオッケー。無くて在庫が余っても、価格安で他社が困るからオッケー」という構図をなんとかしないと、半導体やディスプレイ市場はどうしようも無いのですね。
では、今回の日本による輸出規制措置(の準備)が、市場にどう影響を与えるのでしょうか?
 
■韓国と世界は逆方向?
「19年の半導体製造装置市場は18%減、前回予測から大幅下方修正」2019年7月17日
17~18年の過去2年はメモリー投資拡大で韓国が最大マーケットであったが、19年は主要メーカーが投資を抑制する一方、ファンドリーの積極投資で台湾が再び1位の座に返り咲く見通し。韓国は前回予測に比べて40億ドル引き下げられており、今回の大幅下方修正の主因といえる。
https://news.infoseek.co.jp/article/toushin1_12215/
日本の対応に関係なく、半導体市況はマイナス予想でした。業界の7割を占有する韓国企業の投資先送りが影響し、回復が遅れるという状況です。
しかしよく見ていくと、サムスン電子などの韓国メーカーと、韓国以外の半導体メーカーの動きが、逆方向なのですね。
日本株は急反発、米利下げ観測や半導体業績期待高まる-全33業種上げ」2019年7月19日
上げを主導した半導体関連については「TSMCが予想されていたより設備投資を行うことで、需要や設備投資が戻ってくるのがみえてきた。半導体サイクルは在庫調整一巡から来年には回復してくるのではないか」と予想した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-07-18/PUUZRD6JTSEB01
上の記事の「TSMC」とは、台湾の半導体メーカー「台湾セミコンダクター」のことです。投資を先送りした韓国メーカーに対して、新たな工場建設に着手した形です。
 
「マイクロン、広島工場の拡張工事を完了 - 年末より1Znm DRAMの生産を計画」2019/06/12
同社は1Znmプロセス世代以降としても1αnm、1βnm、1γnmと微細化を進めていくことを明らかにしており、1α、1βnmプロセスに対応予定のF棟も一部だが広島工場内にて建設が開始されるなど、引き続き日本地域への投資を行っていくとしており、その額もこれまでの投資を含め、累計で数十億ドルにおよぶとしている。
https://news.mynavi.jp/article/20190612-841736/
アメリカ最大の半導体メーカーが、なぜか日本の広島に進出しました。稼働は今月からで、まさに狙ったようなタイミングです。とはいえ、工場建設は年単位の検討が必要なので、今の時期に稼働させるのは、偶然なんでしょう。
 
「北上に「東芝メモリ」新工場建設 工業団地で区画争奪戦」2019年02月17日
東芝メモリは北上を三重県四日市市に次ぐ拠点と位置付け、将来的に複数の製造棟建設の方針を表明。呼応して市は同社が進出する北上工業団地周辺の用地買収に奔走し、団地の敷地を21ヘクタール拡張する考えだ。
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201902/20190217_32030.html
10/1付けで名前が変更になる予定の、東芝メモリも新工場が稼働します。テスト稼働は今年中。本格稼働は来年からです。
他にも続々と、半導体やディスプレイ関係企業の設備投資が明らかになっています。
 
「東エレク、逆張り投資成功の条件」2019/7/22
東京エレクトロンが研究開発分野で逆張りの大型投資に動く。半導体市況の悪化が鮮明となるなか、ビッグデータなどを支えとした中長期の需要回復シナリオは揺るがないと判断。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47547400Z10C19A7000000/
東京エレクトロンは、フラットパネルディスプレイ製造装置の分野で、世界3位の企業です。
 

「ディスコ、設備投資6割増 半導体需要の急減に逆らう 」2019/7/3

米中摩擦などで半導体需要が冷え込み、2019年3月期は減収減益に陥った。それでもディスコはひるまない。むしろ収益力強化の機会だととらえ、積極的に攻めに出た。

「ディスコ」は、半導体・電子部品の切断、研削、研磨装置の世界シェア8割の企業です。

 

半導体市場は、むしろ正常化に向かう?

「日本の輸出規制、世界のハイテク企業に悪影響=韓国政府筋」2019年07月17日
韓国政府筋は17日、日本による半導体材料の韓国向け輸出規制の強化は世界のハイテク企業に悪影響を及ぼすとともに、米テキサス州オースティンにあるサムスン電子半導体工場の操業に打撃を与えると述べた。
https://www.newsweekjapan.jp/headlines/2019/07/244003.php

 韓国は日本の今回の対応について、盛んに世界市場への悪影響を叫んでいます。まぁ、完全に輸出を止めるならまだしも、書類審査が厳しくなった程度で、世界に打撃が出るとは大げさに過ぎると思いますが。

ただ確かに、これまで安価な半導体やメモリで製造されてきた製品にとって、悪影響があるのは間違いないでしょう。サムスン電子などが減産を行えば、自動的に半導体やディスプレイ価格は上昇し、末端製品の価格も上がることになります。

でもこれはチャンスでもあります。これまで安すぎてビジネスにならなかったIT市場が、適正価格に戻り、様々な会社が参入するキッカケになるかもしれません。実際、韓国系以外の半導体やディスプレイメーカーが、ナイスタイミングで新工場を稼働させており、このまま行けば「韓国IT依存市場」を変えてしまう匂いがします。

複雑怪奇なグローバル経済の中で、どこに影響が跳ね返るかまだまだ不明ですが、崩壊した半導体やディスプレイ市場の再構築につながるよう、みんなが正しい選択をできればいいですね。

 

仕事しろ外務省! ソウル日本大使館突入は『自爆テロ』だ

ソウルの日本大使館が入っている多目的ビルに、自動車が突入し、火災が起きました。

が、日韓共に報道が事件を矮小化し過ぎています。外務省は、直ちに日本大使館を狙った『自爆テロ』として抗議すべきです。

 

■過去に「爆発音事件」で同じことが

2015年11月23日。靖国神社の南門付近のトイレで、爆破テロがありました。しかしこの時も各報道機関は、なぜか事件を矮小化。「爆発音事件」として扱い「爆破テロ」とは報道しませんでした。しかしですよ。

爆発音は昨年11月23日午前10時ごろ、神社南門近くの公衆トイレ男性用個室で発生。穴が開いた天井裏で束ねた金属製パイプ4本が見つかったほか、床にタイマーなどが散乱していた。パイプ内部には黒色火薬が詰められ、うち3本の火薬は、ほぼ燃焼していた。

https://www.sankei.com/affairs/news/160121/afr1601210016-n1.html

金属製パイプ爆弾4本で、トイレの天井を破壊してるわけですね。下にたまたま人がいなかっただけで、下手をすると大変なことになっていたかもしれないのです。犯人は公判で、「金属パイプの中に殺傷物を入れなかったことでもわかるとおり、殺意を持っていなかった。」と供述していますが、 本来、パイプ爆弾は金属パイプが破裂するだけで、十分殺傷能力があります。

上の記事にある通り、パイプの中で火薬が燃えた状態でした。おそらく金属パイプの強度が高すぎて、破壊にまで至らなかったんでしょう。逆に言えば、もう少し柔らかい金属を使ったパイプにしていたら、大変な破壊力を生み出していたわけです。不思議なことに、報道や裁判でその点に関する指摘は、全くありませんでしたが。

今回でも、似たような「事件を矮小化させよう」という力学が働いているようです。

 

■総合ニュースの第一報に引っ張られる

「ソウルの日本大使館前で乗用車出火 70代男性が全身やけど」(2019年7月19日 8時46分)

【ソウル聯合ニュース19日午前3時24分ごろ、ソウル市鍾路区にある日本大使館が入ったビルのそばに止まっていた乗用車から出火し、70代の男性1人が重傷を負った

https://news.livedoor.com/article/detail/16795849/

ほとんどのニュースが、この「総合ニュース」の第一報をそのまま流しました。しかし明らかに事実と違います。この記事にある写真をどう見ても、「ビルのそばに止まっていた」ように見えません。

続報が入って、だんだん事態が明らかになってきます。

 

「ソウルの日本大使館前で車炎上=突入試みる?70代男重傷」(2019年7月19日 10時19分)

ニュース専門テレビ局YTNによれば、男は出火前、車でビルに突進しようとしたが、警察に制止されたという。

https://news.livedoor.com/article/detail/16796081/

 止まったのは警察が頑張ったからじゃん。「総合ニュース」は韓国のニュース配信業者最大手なのですが、事実を単純に配信するのではなく、ねじ曲げて偏向ニュースを流すことが、多々あります。

 

日本大使館前で放火の男死亡 ソウル、「日本に反感」」(2019年7月19日 19時30分)

車内からはガソリン計約40リットルやライター、ガスのカセットボンベ約20本が見つかった。車は知人から借りていた。

https://www.chunichi.co.jp/s/article/2019071901001839.html

筆者が「自爆テロ」と判断した最大の根拠が、ここにあります。ただの「抗議の焼身自殺」なら、ガソリン40リッターやガスボンベ20本など必要ないはず。

この記事も「放火の男」と記述してますが、可燃物満載した車で大使館の入ってる建物に突入することを、「放火」と呼称するのかと。

「爆発音事件」の時と同じです。たまたまガスボンベに着火しなかっただけで、もし20本のガスボンベが爆発し、ガソリン40リッターが撒き散らされていたら、大惨事ですよ。

 

■たまたまが続くとは限らない。一般人に被害が出る前に抗議を

現在のところ、日本の報道機関のこの事件の捉え方は、「焼身自殺事件」です。

「ソウル日本大使館前で焼身自殺か「義父が徴用工、日本に不満」」読売新聞(2019.7.19)

https://www.yomiuri.co.jp/world/20190719-OYT1T50210/

それより今のトピックは、京都アニメーションの放火殺人事件ですね。確かにいろいろ不明なこともあるし、死傷数も大変な数になってますが、ソウル日本大使館のこの事件も、無視して良い事件ではありません。 

日本大使館が入っていた多目的ビルは、他の企業なども入っているビルで、一般人の被害が出なかったのは、単なる偶然です。偶然で済んでる間に、海外での最悪の事態を回避するのは、外務省の仕事でしょう。

「日本に対するテロ攻撃は許さない」。この主張を韓国含めた、世界に発信していくことは、これから続く韓国との戦いの中で重要な視点になります。

既に2度、日本は韓国による爆破テロを受けました。そして3度目もあるでしょう。その時に被害を出さないよう、日本は先手を打ってあらゆる手段を講じていくべきだと思います。外務省頑張ってください。日本のために。

 

<輸出規制発動>混乱続く韓国 事実を報道しないマスコミのせいで更なる大混乱に

韓国の報道をキャッチしている人ならわかると思いますが、史上空前の大混乱が続いています。

文大統領と 金正恩委員長との「歴史的会談成功」の時ですら、ここまでの報道はありませんでした。しかも、その大量に溢れかえる報道が、ちゃんと事実を報道していません。はっきり言ってメチャクチャな状態です。

 

■なぜ、韓国国民は責任を日本のせいと考えるのか

 「日韓対立「日本の責任」61% 韓国世論調査

韓国ギャラップが12日に発表した世論調査結果によると、元徴用工訴訟や輸出規制などを巡る最近の日韓対立について、61%が「日本政府に責任がある」と回答した。「韓国政府の責任」は17%、「両政府の責任」は13%だった。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47297470S9A710C1EA2000/

 現在の日韓対立の原因が、日本にあると考える韓国人が6割以上もいるんですね。なんでこんな結果になっているかというと、少なくとも理由が2つあります。

1つは、日本が史上初めて韓国に反撃(の準備)をしたことです。日本側にはちゃんとそうするだけの理由があるのですが、彼らに見えるのは「日本が韓国より上の立場になろうとしている」(韓国を日本の下の立場にしようとしている)ということなんですね。

この辺が日本人には、なかなか理解し難い思考なんですが、ずーっと中国の脅威に晒されてきたせいなのか、韓国人は他国から「立場が下」な扱いされることを、恐ろしく嫌がります。具体的にどんな扱いかというと、以下のようなものを言います。

「日本がわざと冷遇」会合場所を韓国メディアが批判「おもてなしにほど遠い」」

韓国紙、中央日報(電子版)は、事務用の机や椅子を並べた会場を「みすぼらしい」と表現。日本の「おもてなしとはほど遠く、日本側がわざと冷遇したといえる」と批判的に報じた。

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/190713/for1907130002-n1.html

 筆者はうっかり電車の中でこの記事を開いて、その写真に「ブフッ」って噴き出してしまい、隣にいたオバサンに、「なんだコイツ」というような冷たい視線を貰ってしまったんですが。

こういう「冷淡な扱い」のことを韓国では、「無視された」と表現します。日本とは「無視」の意味が違うのですね。経産省が韓国の嫌がる形を、こういう分かり易い方法で示したのは、ある意味日本が一番変わったところです。今までの外務省なら無理だったのでは、ないでしょうか。

2つ目は、 韓国のマスコミがこれまでキチンと事実を報道して来なかったことです。文政権が日本の姿勢を本気に捉えて来なかったこともありますが、「日本側が何をどこまで問題にしているか」ということについて、「選挙目当ての安倍首相のパフォーマンスだ」という結論が必ずと言っていいほど、報道に結論として書かれてきました。しかも新聞の論説委員や、大学教授や、外交部関係者など様々な立場の人間が、そういうコメントをしているんですね。お陰で一般国民には、突然日本が輸出規制を始めたように見えているのです。

ただ、たぶん国民性なんでしょうね。反応が脊髄反射のような、よく考えないものなんですよ。

一部の団体が推進する日本製品不買運動については67%が参加の意向を示し、27%が「参加しない」と答えた。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47297470S9A710C1EA2000/

 日本製品の不買をするなら、そもそもやり玉に挙がったレジスト、フッ化水素、フッ化ポリイミドをまず不買にする必要があるんじゃないですかね。だって日本製なんだから。この辺のことは矛盾を感じないんでしょうか。

 

■韓国は脊髄反射国家か

今の韓国の大混乱は、「日本に反撃された」「日本が韓国の扱いを下にしようとしている」という理解で、上から下まで脊髄反射していることに理由があります。そのいくつかを見てみましょう。

「輸出優遇除外:戦略物資管理も弁明もでたらめな韓国産業部」(2019年7月11日)
日本の西村康稔官房副長官が「戦略物資会議が開かれていないのは韓国のせいだ」という趣旨の発言をすると、韓国産業部関係者はすぐに「2018年に戦略物資会議が開かれなかったのは、当時の日本側担当局長の座が空席だったからだ」と反論した。すると9日、世耕弘成経済産業相ツイッターで「(日本側担当局長の座が空席だったという)韓国政府の説明は明白な事実誤認だ」と指摘した。経済産業省の石川正樹貿易経済協力局長は2017年から今月5日まで在職していたからだ。韓国産業部は「勘違いだった」と釈明した。
 「韓国のせいだ」と言われたので、「違う日本のせいだ」って言いたかっただけ、としか考えられません。何でちょっと調べれば判明するような内容を平然と間違うんでしょうか。

 

「ハ・テギョン議員「北朝鮮フッ化水素を密輸出した国は日本」」
ハ議員が公開した資料には、日本企業が1996年1月に大阪港に入港中だった北朝鮮船舶にフッ化ナトリウム50キロを、2月には神戸に入港中だった北朝鮮船舶にフッ化水素酸50キロをそれぞれ輸出託送品として船積みし、北朝鮮に不法輸出したという内容が出ている。
2003年4月には直流安定化電源3台をタイを経由して北朝鮮に不法輸出したなどの内容も含まれている。

 フッ化水素摘発のリストが出てことに対する反応です。しかしそもそも、北朝鮮に対する経済制裁は2013年からです。その10年も前の資料を出して、「日本の方が悪い」と言うのは、無理があり過ぎでしょう。

さらに、このフッ化水素不正輸出事件は、北朝鮮の支援団体、朝鮮総連系の企業が関わっており、逮捕者も在日朝鮮人でした。この事件を持ち出した議員は、その背景を全く調べないで「北朝鮮フッ化水素を不正輸出したのは日本」と言っているのです。ただ反論したいだけ。まさに脊髄反射です。

  

「専門家が見た韓国不正輸出リストの問題点……韓国政府は悪質企業名の公表を」韓国の産業通商資源省は以下の通り指摘した。

「日本は我が国とは違って総摘発件数も公開しないでいて、一部摘発事例だけを選別して公開している(www.cistec.or.jp)。」

これは誤りである。

まず、このURLのリンク先は、経済産業省参加の一般財団法人「安全保障貿易センター(CISTEC)」のホームページであり、日本政府の機関ではない。この情報をもとに日本政府を批判するのは、筋違いである。https://www.fnn.jp/posts/00047206HDK/201907121200_KatsuhisaFurukawa_HDK

なんと禁輸資材の取り締まりとは、全然関係ない外郭団体を問題にしてしまいました。やり玉に挙がったCISTECの紹介文は、「1989年4月に設立されたわが国で唯一の輸出管理問題に関する民間の非営利総合推進機関です。」とあり、民間の海外進出をサポートする団体であります。

記事でも指摘していますが、韓国の産業通商資源省が、日本の輸出管理部門がどこにあるのか知らないってことが大問題です。

 

今の韓国は、こうした脊髄反射の記事で溢れかえっております。「アメリカが日本に警告を与えた」だの、「輸出禁止措置で日本の経済がヤバいので、安倍首相が選挙で敗北する」だの、事実と違う記事がものすごい数飛び交っているのです。

「輸出管理に関する事務的説明会」で、またまた議事内容と韓国政府の発表が違ってましたが、抗議だけで終わらせず、ちゃんと事実確認を行わないと韓国の脊髄反射は止まりません。経産省にはもう少し頑張ってほしいですね。