逆切れする韓国 文大統領親書への無反応を「無礼だ!」

10月24日、韓国の李首相と安倍首相が一年ぶりに会談を行いました。日本側の報道は総じて冷静。過度な期待はしない報道が目立ちました。

 

「日韓、展望なき対話継続」日経新聞2019/10/25)

安倍首相は元徴用工訴訟で日本企業に賠償を求めた韓国大法院(最高裁)判決を巡り「国際法に明確に違反している」と是正を求めた。李首相は日韓請求権協定を守っていると主張した。日韓両政府は対話を継続するが、関係改善は見通せていない。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO51355140U9A021C1EA2000/

 また注目された文大統領からの親書も、何の解決策を示す者でなく、肩透かしな内容に終わったようです。

 

李氏が示した文(ムン)在寅(ジェイン)大統領の親書は「日本は北東アジアの平和のために協力する重要なパートナーだ」とし「懸案が早期に解決されるよう努力しよう」と呼び掛けているというが、当事者意識がある内容とは思えない。

https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/960309

 福井新聞の社説ですら、この手厳しい評価ですからね。しかし、韓国側では全く違う期待を寄せていました。

 

■「親書は韓国の誠意」という『とてつもない』意識の差

韓国側の報道では、日本は不買運動で経済が大打撃を受けていることになっており、さらに当ブログで取り上げたとおり、「二階発言などからアメリカが仲裁に出てきた」と分析していました。

だから李首相が即位の礼に出席し、さらに安倍首相に親書を渡せば、日本はそれをきっかけにして、韓国の協議に応じると見ていたのです。

 

「「安倍政権が変わることを」…韓国政府が“制限的な期待感”」2019/10/21

韓国政府の最高幹部の一人であるイ首相が“天皇即位の礼”に参席すること自体、また 文在寅ムン・ジェイン)大統領の親書まで持参するということ自体が、我々としては(日本に対する)対話の意志をみせていることであるというのが青瓦台の認識である。

https://www.wowkorea.jp/news/korea/2019/1021/10243846.html

アメリカが出てきた。良かった、よかった」というわけで、韓国では李首相の訪日と親書があれば、問題解決されるという報道が山のように溢れていました。

日本と韓国間にあるこの意識の差は、本当にここしばらくマリアナ海溝より深く感じます。

そして蓋を開けてみれば、結局ほとんど何も進展せず。韓国紙の日本語版ではなかなか記事になっていませんが、その衝撃度は凄いものがあります。

 

■「安倍首相は無礼である」

一例を出しましょう。以下のサイトは韓国の報道局SBSの公式サイトです。実際に報道されたニュースの、文字起こし記事ですね。

 

[アンカー]
韓日首脳会談で、李洛淵首相と安倍首相は「疎通」に共感しました。もちろん疎通の必要性に対して両国が感じる温度は冷たくはありますが、 今日(25日) 日本報道を通じて知られた安倍首相の言動は、一方疎通を越えて、無礼でした。

(中略)


 [記者]
チョ・セヨン外交部次官は、今日のラジオでのインタビューで 「解決案のようなものが用意されなければ、首脳会談は容易でない、という立場を日本は持っている」と明らかにしました。次官は 「日本はすぐ首脳会談ができる思っていない」と言いました。
総合して見れば、安倍首相は私たちの方から徴用問題の解決なしには、問題解決の意志がないということを再び確認したように見えます」。

https://cnbc.sbs.co.kr/article/10000959900

無礼って言っちゃった。

李首相がわざわざ日本に行って、文大統領の親書まで渡したのに、今までの態度と全く変えなかった。なんという無礼な態度だ、というわけですね。

他の様々な報道を見ても、親書で何も状況が変わらないということが、本当に衝撃だったんだなと感じます。

GSOMIAの失効する期限が、11月23日に迫っています。アメリカからの圧力がこれから本格的になるにつれ、韓国も切羽詰まってくるでしょう。日本の冷静な対応が求められます。

ですが、共同通信が、スクープ記事を流しています。これどこまで本当なのでしょうね。

 

「日韓、「徴用工合意」へ検討着手」2019/10/28

日韓両政府が元徴用工問題を巡り、事態収拾に向けた合意案の検討に着手したことが28日、分かった。複数の日韓関係筋が明らかにした。これまでの協議で、韓国の政府と企業が経済協力名目の基金を創設し、日本企業も参加するとした案が浮上。1965年の日韓請求権協定で賠償問題は解決済みだとする日本政府の立場を踏まえた考え方とみられる。

https://this.kiji.is/561493460296647777?c=39546741839462401

こんな基金を作ったとしても、文政権の次の政権で、「真正性がない」とかなんとか理由をつけて、なかったことになるのは目に見えているのですが、本気でしょうか。「経済協力名目では謝罪していない」って言って、「慰安婦合意」と全く同じ展開になりますよ。

今は焦って動くことは無い状況だと思います。今後100年先を考えて、正しい選択をして欲しいですね。

「GSOMIA継続で輸出管理撤回を引き出せ」 相変わらず韓国は暴走中

10/22に行われる「即位礼正殿の儀」。韓国の李洛淵首相が参列することが決まっていますが、このタイミングを利用して、日韓関係を『正常化』しようと頑張っているようです。
 
■安倍首相の「韓国は重要な隣国」発言に色めき立つ
10/16の参議院予算委員会で行われた安倍首相の発言を、韓国各紙は一斉に報道しました。

「安倍首相、李洛淵首相の訪日控えて「韓国と対話継続しなければ」」中央日報(2019.10.17)
たとえ短い分量ではあるものの安倍首相が対話の必要性に言及したのは、今月22日に李首相が徳仁天皇即位式への出席を契機に22日から24日まで訪日することに先立ち、韓日関係改善の必要性が提起される日本国内の世論を意識したものとみられる。
https://japanese.joins.com/JArticle/258630

日本にそんな世論はあったかな? と思いますが、安倍首相が韓国との対話の重要性について発言したのは、久しぶりですので、その理由を探さないといけないわけですね。
もともと、李洛淵首相を「知日派」として日本が期待しているという認識が、韓国にはずっとありまして、そういう報道がたくさんありました。

「李首相が天皇即位の礼に参列へ、日本で期待感」東亜日報(2019.10.15)
李首相が5月中旬、「司法手続きが行われているのに、政府が出て何かをするのは、三権分立の原則に合致しない」とし、一部要人は失望感を示した。にもかかわらず依然として官僚社会では、「韓国で話が通じる人は李首相」という認識が強いという。
http://www.donga.com/jp/article/all/20191015/1874677/

この「日本側の『官僚社会』ってどこやねん」って思いますが、外務省なんでしょうね、おそらく。日本側としては、文大統領に期待できない裏返しの言葉なのでしょうが、韓国側はそう素直に取りません。
「一度期待外れの発言をしたのに、諦めない日本」→「日本は韓国と和解したくて、そのタイミングを探している」
と、こんな理解をするのですよ。
確かに筆者も、文大統領より李首相の方がよっぽど話が通じるだろうな、と思います。しかし、話が通じようが何だろうが、今の韓国は文大統領の独裁状態なんですから、李首相に何か期待しても意味が無いんですよ。だから「李首相に期待するか?」と問われたら、「文政権の間は何も期待できない」と答えとけばいいのです。そうじゃないと、今の韓国はまた変な方向に暴走するだけなんですね。

■GSOMIAは切り札足り得るのか
李首相が以前「経済報復を撤回すれば、GSOMIA破棄を再検討する」と発言したせいか、未だに韓国内ではこの二つの問題をセットにする報道ばかりです。

「韓国首相、22日に訪日…安倍氏と会談の可能性」2019.10.14
日本としても強制徴用者問題の解決法が用意されないまま「貿易規制(ホワイト国リスト排除)-GSOMIA(韓日軍事情報包括保護協定)」問題について話し合うことを負担に思ったものとみられる。
https://japanese.joins.com/JArticle/258510/

しかし、GSOMIAは当ブログで指摘してきたとおり、「軍事情報共有協定」ではありません。「軍事情報包括保護協定」です。情報の保護、つまり第三国への漏洩防止を目的にした協定です。日米韓の中でどこが情報漏洩しそうかを考えたら、韓国の足枷が目的である協定なのは明らかです。
それだけではありません。GSOMIAの更新は毎年あるんですよ。もしこれで交渉できてしまったら、毎年更新を渋って、無理難題をゴリ押しできてしまうじゃないですか。日本も、もちろんアメリカだって、そんなことは望んでいないでしょう。
ただ、既にGSOMIAは再延長済みという分析もあったりします。

「韓国、GSOMIA破棄撤回への下準備が進行中。日本に頼るしかなく、北のSLBM発射で観念=勝又壽良」
米統合参謀本部は10月2日(現地時間)、マーク・ミリー同本部議長が米国防総省で、日本の山崎幸二統合幕僚長、韓国の朴漢基(パク・ハンギ)合同参謀本部議長と1日に会い、北東アジアの平和と安定のための多国間協力を活用することで合意したと発表した。日本の防衛省統合幕僚監部も3カ国の軍制服組の会談結果を発表している。
だが、なぜか韓国合同参謀本部だけ、公式結果の発表をしなかったのだ。
https://www.mag2.com/p/money/783465/2

 2日に韓国が日本に対して、GSOMIAに基づく情報提供を依頼してきましたが、それは日米韓の軍事部門の責任者が会って、「多国間協力を活用することで合意した」と発表したせいだ、というわけですね。
これが本当なら、李首相は日本の輸出管理強化について交渉する材料自体持ってないことになるんですが、果たしてどうなのでしょうか。

■中国に全面降伏したハンギョレ
そんな中、ハンギョレ新聞がGSOMIA継続できない理由として、「中国が怖いから」と本音をブチ撒けました。

「韓日GSOMIA終了、その先にある問題」2019-10-16
韓国は、米・日とは違い、中国を現実的脅威としては認識しない。たとえ潜在的な中国脅威を認めても、現実的に中国を敵対視するいかなる集団防衛体制にも参加できない。中国を頭に載せて生きる朝鮮半島地政学的運命といえる。
http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/34666.html

 「地政学的運命」と言ってますけど、それって「永遠に中国に逆らえないことを運命として許容する」ってことですよね。潜在的な脅威を認めても、現実的な脅威としないなんて、中国に対する土下座ですよ、土下座。
日本やアメリカに対して強硬な姿勢を貫いてきたハンギョレ新聞が、中国に対してここまで低姿勢の記事を掲載するなんて、ある意味凄い話です。日本人もアメリカ人も、到底理解しにくい思考でしょう。
でも理解しにくくても、「韓国はそういう国なのだ」と納得するしかありません。アメリカが遂に韓国を切る決断をしたという報道がチョロチョロ出てきていますが、日本も韓国の位置づけを再設定して、対応していく必要があるのだと思います。
李首相への期待のように、「韓国の覚醒」に望みを持つような姿勢が、相変わらず外務省内部にあるようですが、そろそろ目を覚ますのは自分たちだと気付いて欲しいものです。

<輸出管理強化3か月>韓国の焦りと二階幹事長の余計な一言

7月から行われた輸出管理強化から、丸3か月が過ぎました。サムスンやSKなどの韓国企業にとって、備蓄していたフッ化水素の量が、枯渇する時期であります。
ただ、日本で9月26日に相次いで報道された、「フッ化水素の8月輸出はゼロ」報道については、経産省が否定する発表を出しています。

「主要メディアの「8月の韓国向けフッ化水素輸出ゼロ」の報道を経産省が否定」2019年9月30日
日本の経済産業省は、日本の主要メディアが軒並み「8月の大韓民国向けフッ化水素輸出がゼロ」と報道したことにたいして、この報道を否定するとともに、経済産業省として8月中も許可の対象となるフッ化水素大韓民国に輸出されていることを確認していることを発表した。
https://portal-worlds.com/news/asean/19252


財務省が発表する貿易統計と、経産省の輸出品目には、相違があるそうで、管理対象のフッ化水素案件が「再輸出品」という項目に入っていることがあるのだとか。上の記事では、「貿易実務に携わっているなら、通常認識していること」としていますが、わかりにくい話であります。

■肝心の液体フッ化水素の輸出がゼロ
一方、韓国の産業通商資源部は、10月1日に「日本の対韓国輸出規制発表から3カ月経過に関する立場文」を発表しました。
これによると、韓国側が敏感に反応しているのは、エッチングガス(気体フッ化水素)ではなく、ハイエンド半導体製造に使用される「液体フッ化水素」です。

「韓国政府「日本の輸出規制、非常に差別的」…3カ月間で液体フッ化水素の輸出許可0件」2019-10-02
「特に、半導体用の液体フッ化水素の場合、国連の武器禁輸国に適用される9種の書類提出を求めているうえ、数回の書類補完を理由に申請後90日が経ったにもかかわらず、まだ一件も承認されていない状況」だと明らかにした。
http://japan.hani.co.kr/arti/economy/34533.html

大事なのは後段です。「数回の書類補完を理由に」ということは、追加書類を数度求められた上、その書類が提出されていないことを理由に、審査が止まっているってことです。
このことについて、立場文は「4大輸出統制体制に加入していない国よりもさらに差別的に制度を運営している」と指摘しています。
つまり、経産省パブリックコメントまで集めて改正した輸出貿易管理令が、クリティカルに液体フッ化水素を直撃しているんですね。

では、その改正とはどんなものだったのでしょうか? 制度変更の文章は非常に分かりにくいので、簡単にまとめますと、以下のように申請書類の「様式6」が追加されました。


1 貨物の需要者の当該貨物の調達実績(過去3年間)
2 最終製品の生産状況(過去3年間)

要するに、「液体フッ化水素の調達実績と、それによって製造された製品リストを過去3年間分出しなさい」というわけです。もちろんこれは、韓国だけじゃなく全ての国の申請者が提出を求められますから、そこは差別的ではありません。実際「立場文」も「運営」を問題にしています。
おそらくですが、単に「リストが埋まっていればいいのか」、それとも「グラム単位で整合性を求められているのか」、の違いを言っているのでしょう。
製造に使われても、製品自体のロスも出るでしょうし、保存が難しいフッ化水素の廃棄分も出るわけです。そこで製品のロスが出たなら、その資料。廃棄が出たら産廃処理証明書を、全て求められてるのかもしれません。

実際、本当に資料請求されたら、大変な事務量になります。提出する方だけでなく、審査する側の手間も、半端ありません。
でも、未だに1件も審査を通過していないってことは、やってるんでしょうなぁ、それを。この審査の厳格化を「差別的」とするかどうかは、見解の相違ということになるんでしょうが。
結果、待ち切れなくなった韓国企業は、国産フッ化水素の使用を開始したようです。

「日本がフッ化水素の韓国向け輸出を許可 規制強化後2例目」2019年10月2日 
SKハイニックスは、規制強化後まだ1回も輸入されていない液体のフッ化水素については「1日に一部生産ラインに国産の液体フッ化水素を投入した」と明らかにした。
 先月初めにはLGディスプレー、サムスン電子などが日本の高純度フッ化水素の一部を国産品に切り替えている。https://news.livedoor.com/article/detail/17170009/

影響の少ない一部分に投入していた国産フッ化水素を、韓国企業がこの10月からどのように扱っていくのか、注目です。

■二階幹事長、その考えはもう古い
9月28日、読売新聞の二階幹事長のインタビューが、韓国で話題になりました。なにしろ各紙一面トップですよ。

「二階幹事長の発言「韓国に譲ろう」 日本ではベタ記事、韓国紙は1面トップの大騒ぎ」2019/10/ 1
『円満な外交が展開できるよう、韓国の努力も必要だが、まず日本が手を差しのべて、譲れるとことは譲るということだ』と述べた。二階氏は韓国政界に独自の人脈を持つ知韓派として知られる。『我々はもっと大人になって、韓国の言い分もよく聞いて、対応していく度量がないとダメだ』とも語った」
https://www.j-cast.com/kaisha/2019/10/01368865.html

元記事は、二階氏の政治姿勢に関するインタビュー記事で、タイトルも「二階氏、課題の山 改憲論議都知事選対応 党内融和に腐心」という政治全般に関するものです。

その中で韓国に触れたのは、たったの16行。韓国各紙が取り上げなかったら、誰も気付かなかったんじゃないかっていう記事です。

そこで言及された「韓国に譲って経済がうまくいくなら、譲ればいいじゃないか」という考えは、かつてなら、普通の思考だったと思います。なにしろ20年ぐらい前に、筆者も同じこと考えてましたからね。
しかし、今の日韓関係を見れば、その思考では現状維持どころか悪化の原因になってしまうのです。
実際、韓国側はこの二階発言をどう報道したでしょうか。

「観光客の急減に…二階幹事長「韓国に譲れるところは譲る」中央日報(2019.09.30)
二階氏が両国関係の改善を主張し始めたことをめぐり、「韓国内の日本製品不買運動日本旅行忌避による日本経済の打撃のため」という見解もある。韓国観光客の減少で西日本地域の経済が落ち込み、8月1カ月間の日本ビールの韓国輸出は昨年同月比92%減少した。
https://japanese.joins.com/JArticle/258051

不買運動のおかげで日本がすり寄って来た」という反応です。もうこの、「不買運動で日本がヤバい!」という報道は、韓国における日本の報道で大流行中でして、韓国報道だけ見てると、日本人はみんな安倍首相に激怒して、次の選挙では自民党は消え去るんじゃないかって感じるくらいです。もちろん単にマスコミが煽ってるだけなら、大した問題はありません。とりあえず「いつもの二階」で終わる話です。
でも、現在の色々と余裕のない韓国側はそうは取りません。韓国政府側ですら、間違ったサインとして捉えてしまっています。

韓国サイドから見ると、米国は悪化した日韓両国の仲介役を果たそうとしてこなかった。それが最近、ようやく重い腰を上げ始めたというわけだ。その米国の水面下の動きが「二階発言」という形で表れてきたと、韓国政府は見ているというのだが......。
https://www.j-cast.com/kaisha/2019/10/01368865.html?p=3

おそらく二階氏は『ごく一般的な意見』のつもりだったと思いますが、韓国政府は、「米国政府によって日本が軟化した」と見てる可能性があるのですね。日本政府としては、「韓国政府が具体策を取る」事無しに何らかの行動は取らないと、再三言ってるはずですが、またその理解が遠くなる可能性があるのです。で、何が起こるのかというと、全く関係ない国際会議で、福島原発問題を取り上げたりといった、暴走するのですよ。

幹事長という立場であるならば、二階氏はもっと余計な一言に注意を払う必要があるでしょう。その方が日韓関係の解決は、どんな形であれ、早まると思いますよ。新たな日韓関係のために、まっすぐ進んでいって欲しいですね。

韓国不買運動はどこに効いたのか 脱出する日本企業、悲鳴を上げる在日企業

韓国の破棄宣言から、早1か月が過ぎる「韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」。韓国側の報道からは、日本の沈黙が予想外と言った反応が出てきています。

 

「1カ月になろうとしているのに少しも動かない日米…GSOMIA「心肺蘇生」は可能か」2019年09月17日

先月22日、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了決定以降、1カ月近く時間が流れたが、日本が少しも動かないため「GSOMIAカード」の実効性に対する疑問が韓国政府内にも広がっている。弱り目に祟り目で、予想より強い米国の否定的反応に逆風の懸念まで出ている。

https://japanese.joins.com/article/696/257696.html

 「日米が両方とも破棄するな、と言ってくる。これは交渉カードになるに違いない」。例によってこのような「韓国思考」によって、行動してしまった韓国政府。

しかし予想に反して、日本は「破棄は残念」としか言わず、アメリカは韓国の「破棄の批判は自重せよ」との言葉に応じるつもりは無いようです。

 

■「暴走韓国」 今度は在韓米軍基地を叩く

「米政府、韓国のGSOMIA破棄に「失望」=再び強調」2019/08/29 

日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄の決定と関連し、韓国政府が米国側に「批判発言の自制」を要請。しかし、米政府の高官らは28日(現地時間)、なおも相次いで批判のメッセージを発信した

https://www.wowkorea.jp/news/korea/2019/0829/10240739.html

まぁ当たり前と言えば、当たり前であります。メディアの前で抗議されたハリス大使はアメリカの全権大使。その言葉はトランプ大統領と同じという位置づけです。韓国のやったことは、トランプ大統領を呼び出して、発言の自制を要請し、それをメディアで吊し上げにしたのと同じなわけですから、アメリカが怒らないはずがありません。

にもかかわらず、韓国政府は在韓米軍基地の「早期返還」を推進することを決定しました。

青瓦台「米軍基地の早期返還を」…「GSOMIA葛藤」圧力カード?」2019年08月31日

政府はこの日の発表について「定められた手続きに基づいている」という立場だ。しかし韓日の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了決定で韓米関係が冷え込んだ時点に発表されたという点で微妙な波紋を呼ぶと予想される。米軍基地返還問題は韓国が米国を相手に攻勢的に使える「カード」であるからだ。

https://japanese.joins.com/article/138/257138.html

「韓国が米国を相手に攻勢的に使える「カード」であるからだ」って、本気ですかね。散々トランプ大統領が「基地縮小」だの「米軍撤退」だのに言及してますが、あれは単なる交渉術で、本気じゃないと思ってるってこと? まぁ確かにトランプ大統領は「貰えるものは貰っとけ」という精神ですが、撤退できるなら何時でも在韓米軍を引き上げて良いと考えてると思いますよ。

この辺りの「アメリカは韓国を必要している」という一方的な「韓国思考」が、事態を悪化させているんじゃないでしょうか。実際に米軍司令部は、早々に撤退できると発表しています。

 

「在韓米軍 「15の基地はすでに閉鎖し、早期返還可能」」2019-09-18

在韓米軍司令部は18日、報道資料で、「26の韓国駐留アメリカ軍基地 のうち、韓国政府が早期返還を要請したキャンプ・イーグル、 キャンプ・ロングなど4つを含む15の基地は、すでに移転し、閉鎖されたため、早急に韓国側に返還できる」と明らかにしました。

http://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=j&Seq_Code=73369

 いまから「やっぱりそのまま駐留して」と言っても、もう戻らないでしょうね。

 

不買運動直撃は在日韓国企業

韓国の不買運動によって、韓国人旅行者が減っています。これまで彼らによって観光事業が支えられてきた九州地方や対馬などが、特に影響を受けています。

 が、まず大きな影響を受けているのは、韓国人観光客向けの在日企業のようです。

 

「韓国客減 観光地悲鳴 「このままでは倒産」 「秋夕」も予約少なく」2019/9/12

韓国の旅行大手「旅行博士」の日本法人(福岡市)の黄教允社長は「リーマン・ショックなどの経済問題ではなく、政治問題でこれほど客が減ったのは初めて」と話す。昨年の秋夕は40組のパッケージツアーを取り扱ったが、今年は1組のみ。年間の売上高が半減する可能性も出てきた。

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/542744/

よく考えれば当然なのですが、第一に影響を受けるのが日本企業とは限らないんですね。韓国人旅行者相手の韓国旅行業が、大きく影響を受けるのは当たり前です。

 

「韓国官邸、大型連休中に記者団呼び「自画自賛」」2019/9/20

外国人の直接投資は、前年同期比36%も減少した。韓国企業と外資系企業が韓国を離れる現象が加速化しているということだ。 日系企業AGC(旧旭硝子)をはじめ、日立造船日産自動車まで、最近の日本製品不買運動によって、日本企業が相次いで韓国を離れる恐れが強まっている。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190920-00010000-socra-int

では「肝心の日本企業の方はどうなのか」と言うと、もちろん不買運動の影響はありますが、それはつまり「カントリーリスク」なので、「撤退」という選択肢になるわけです。

もともと、一つの国に依存する経済形態に問題があるわけで、この機会にリスク分散に取り組むのは、正しい経済の在り方と言えるでしょう。

 

■またまた囁かれる日韓スワップ

 9/11にアメリカの格付会社、ムーディーズが韓国企業19社を「ネガティブ」になった警告する報告書を公開しました。続いて米S&Pがやはり警告する報告書を公開しました。

 

「S&P「韓日貿易紛争が長期化なら韓国がやや不利にも」」2019年09月19日

S&Pは「韓国が日本から輸入する機械装置、高純度化学物質、部品および素材は、電機・電子とIT製品を含む韓国産業生産量の約2-4%を占める」と伝えた。続いて「韓国経済で日本が占める比率は減少しているが、絶対的比率が大きくないとしても貿易紛争が長期化する場合、企業が新規調達先を確保して日本からの輸入を完全に代替するのは難しいかもしれない」と指摘した。

https://japanese.joins.com/article/757/257757.html

上半期は何もいい情報が無かった韓国だけに、下半期に一気に企業評価の格下げが起きるかもしれません。そもそも日本の輸出管理が強化され前から、韓国経済の低迷は問題になってました。韓国政府は「日本のせい」にするつもりでしょうが、このまま何もしなければ、年度どころか年を越す前に、大変な事態になってしまうかもしれません。

そんな中、安全弁として、またも日韓スワップの要望が、韓国から出てきています。

 

「国家としてのプライド0、今更「通貨スワップ」を日本に要望! 情けない韓国」2019年9月23日

2019年9月22日、韓国のCBSは、ウン・ソンス金融委員長が、日本との通貨スワップ再開を希望する意思を明らかにしたと報じた。

http://www.globalnewsasia.com/article.php?id=5902&&country=1&&p=2

記事のタイトルでは、「プライド0」と過激な文言が踊ってますが、むしろ高いプライドがあるから、平然と日韓スワップに関する言葉が出てくるんです。

「韓国思考」では、加害者(日本)は被害者(韓国)に奉仕すべきと考えますから、むしろ「日韓関係の改善の良い機会だ」ぐらいの考えですね。

前朴大統領がいみじくも「1000年立場は変わらない」と言ったのは、まさにその通り意味なのです。で、謝罪しようが金を出そうが、「もう謝罪はしたので、二度としない」と言ってしまうと、「真正性が無い」って言われてしまうのですね。

でも不思議です。2018年の韓国と北朝鮮の間で行われた「板門店宣言」では、「相手方に対する一切の敵対行為を全面的に中止」 とうたったはずなのに、北朝鮮はミサイルを発射しまくり、韓国を罵倒しまくっています。北朝鮮の行動は、「真正性が無い」はずなのに、そのことを韓国は指摘しません。

韓国の言う「真正性」が、相手によって変わるのなら、そんな理由で国際条約を破れると考えること自体不可能です。

結局日本は、韓国の言うことを「マトモに受け取る必要が無い」ということになります。ですから、今後は「真正性という言葉を恣意的に運用する以上、その言葉を協議に持ち込むことを認めない」と宣言したらどうでしょうね。相手のよくわからない論理に振り回されないために、外務省は一線を引いた方がいいと思いますよ。

 

<産業用バルブWTO結審>日韓どっちも勝訴宣言ってどうなってるの

今週、立て続けに日韓のWTOに関する案件が報道されました。
まず、産業用バルブに対する韓国のアンチダンピング関税に関する結果ですが、なんと日韓双方が勝訴を叫ぶという事態になっています。どういうことなのでしょうか?

■どこを勝利したと言っているのかその差を見てみる
今回のWTO紛争は、2015年に日本企業が国内価格よりも安い価格で、韓国に産業用バルブを輸出しているとして、最大22.7%のアンチダンピング関税を課したことが発端です。
なので当然、このアンチダンピング関税が適正がどうかが争点です。それを踏まえて日韓両国の主張を見てみましょう。

「なぜ?WTO紛争で日韓とも「勝訴」を主張する事態に=韓国ネット「どう見ても日本の完敗」「WTOは賢い」」2019年9月11日
WTOは日本が提起した13件の争点のうち10件について「韓国の措置はWTO協定に違反しない」、3件について「協定に合致しない」と判断したが、同部はこの3件について「手続きと方法論についての問題であるため紛争の核心的事案とは関係ない」と判断したと説明。
チョン局長は「WTOの最終判断に基づき多少調整することはできるが、措置を却下または取り下げよと主張するのは間違い」と強調したという。
https://www.recordchina.co.jp/b744057-s0-c10-d0058.html

韓国は、日本の主張を認めた部分のWTOの判定を、「核心的事案でない」としています。一応「多少調整することはできる」と幅を持たせていますが、「措置を却下、取り下げよ」という日本の主張を認めていません。
対して日本は単純明快です。

「韓国の反ダンピング課税はWTO違反 日本の勝訴が確定」
報告書は30日以内に正式に採択される。経済産業省は11日、韓国が報告書の勧告を早期に履行し、本件措置を速やかに撤廃することを求めるとし、「仮に韓国が勧告を履行しない場合には、WTO協定が定める手続きにのっとり、対抗措置を発動することができる」とした。
https://www.asahi.com/articles/ASM9C027CM9BULFA03J.html

「勧告を履行しろ。でなければ対抗措置を取る」ということですね。この対抗措置ですが、即座に行うことはできません。そして手順を踏む必要があります。

韓国がすぐに履行できない場合には15カ月間を越えない範囲で猶予期間が与えられる。
この期間内に勧告などを履行できなかった場合には日本は代償を求めることができ、一定の期間の間に代償について合意ができなかった場合は、日本は対抗措置を取ることについてDSBの承認を求めることができる。
DSBは全加盟国が異議を唱えない限り採択されるネガティブ・コンセンサス方式を採用しているため、DSBの承認が得られるのはほぼ確実。
https://maonline.jp/articles/wto_japan_korea20190912

つまりWTOの紛争解決機関(DSB)に、「対抗措置を取りますよ」と承認を求める必要はありますが、これを拒否されることはまず無いということですね。WTOのお墨付きが出た形になりますから、WTOの判定は強力なのです。
もちろん今回の結果が委員会で採決されるまで、30日の猶予期間がありますから、その間に日韓が妥協点を見出せば、判定の結果を回避できます。
ただ、朝鮮日報の続報を見ると、韓国側がこの猶予期間の意味を、勘違いしている可能性があります。

WTOダンピング紛争判定に韓日いずれも「勝利宣言」」朝鮮日報2019年9月12日
WTOは一審で韓国を支持したが、今回は「韓国の分析方式は不適切だ」として、日本を支持した。実際にこうした主張が認められ、関税が見直された例があるため、日本は重要な争点だと主張した。しかし、専門家は関税を引き下げるかどうかはまだ推移を見守るべきだと主張する。韓国が論理を補強し、WTOを説得すれば、関税を見直さなくてもよいからだ。
https://news.livedoor.com/article/detail/17069764/

いやいやいや。
WTOの紛争解決機関(DSB)は二審制で、今回の上級委員会が最終判定です。今から論理補強をしてWTOを説得って、WTOの紛争解決規則を何もわかってないじゃないですか。これ今からロビー活動してひっくり返せって言ってるんですかね? WTOでそれをやると?
まぁ、今の韓国は暴走状態ですから、何をやるかわかりません。各省庁は先入観に囚われず、緊密に対応していって欲しいですね。

■ついにホワイト国排除についてWTO提訴
そしてもう一つのWTO案件。日本が7月から実施した、フッ化水素など3品目の輸出管理を厳格化した措置について、韓国がWTOへの提訴を決定しました。

「「日本輸出規制」WTO提訴…韓国政府、69日ぶりに剣を抜いた」
韓国政府は、関税と貿易に関する一般協定(GATT)最恵国待遇(1条)、数量制限の一般的禁止(11条)、貿易規則の公表および施行義務(10条)に違反したと見た。
http://japan.hani.co.kr/arti/economy/34345.html

日本は、1条と11条に関しては、21条の「安全保障における例外規定」で反論するつもりでしょうし、10条の公表と施行義務は、5時間説明会をやったことで反論するつもりだと思います。
とりあえず、今後10日以内に2国間協議を行うかどうかが焦点です。

 

「韓国のWTO提訴、日本の反論根拠は「GATT21条」」
WTOの紛争解決手続きは、まず2国間で協議を行う。日本は原則10日以内に、韓国からの協議要請に応じるかどうかを回答する。日本が協議に応じたら要請から30日以内に協議を開く。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20190912-OYT1T50024/

「輸出管理の強化」ということについて、当初誤解を与えそうな報道やコメントがあったことも考えると、協議においてはっきり、「ホワイト国認定において必要な手続き不備」を宣言した方がいいでしょう。特に2年ごとに開催するはずの「戦略物資会議」が開かれなかったのは、明白な事実ですので、韓国もこの点を否定はできないと思います。
問題は、これまで明らかにしてこなかった「輸出管理を巡る不適切な事案」というのが、どんなものなのかですね。結局は、これがしっかり示してこなかったせいで、混乱を招いている面があります。日本国民も知りたい事実でしょうし、是非「不適切な事案」というものを明示して欲しいですね。

一連の対立で、政府は国際的に日本が優位になったとみている。韓国による世界貿易機関WTO)への提訴も「優遇措置から日本を除外しようとしている韓国が提訴できるわけがない」(外務省幹部)。
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/538770/?page=2

 心配なのは、この外務省側の見通しの悪さです。今の韓国に「できるはずがない」という先入観は極めて危険です。実際提訴に向けて動いてますし、しなかったら逆に韓国国民から突き上げを食らうでしょう。

いい加減、外務省は従来の楽観主義から脱却し、厳しく現状分析して、適切な対処をしていって欲しいですね。

<暴走韓国>日本製品不買条例で日韓は「投資紛争」状態に

9月6日、韓国のプサンとソウルの市議会で、日本企業を「戦犯企業」と呼称し、公共機関が製品を購入しないことを「努力義務」とする条例が可決しました。

 

日本製品の不買条例相次ぐ 韓国 ソウル・釜山市制定」2019/9/6

戦時中に朝鮮半島出身者を働かせたとする日本企業を「戦犯企業」と呼び、これらの市や教育機関が対象企業の製品を購入しないよう努力義務を設ける条例を可決した。ニコンパナソニックなど284社を指定している。

 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49493590W9A900C1EAF000/

 対象企業の数は、実に284社です。凄い数ですね。しかもプサンとソウルの議会だけに留まりません。

 

「日本284社を「戦犯企業」 三菱重など指定 釜山市が条例」2019年9月6日

 釜山市議会によると、ソウルを含め全国十七の地方議会で条例制定に向けた動きが進んでおり、今後相次いで成立する可能性がある。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201909/CK2019090602000292.html

この流れでいけば、韓国中の議会が条例を可決するでしょう。可決しないと「親日」としてバッシングされるんですから、どうしようもないです。

ちなみにこうした企業排除運動では、有名なもので「BDS運動」というものがあります。

 

■吹き荒れた「対イスラエルボイコット運動」とは 

「アラブボイコット調査成果報告書(2018) 」日本貿易振興機構ジェトロ
ボイコット運動に対し各国政府が距離を置き始めている環境の変化
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H29FY/000544.pdf

BDS運動とは、「ボイコット、投資撤収、制裁」(Boycott, Divestment, and Sanctions)の頭文字を取った運動です。イスラエルによるゴラン高原占領に反対し、イスラエルに対する企業活動を、「ボイコット、投資撤収、制裁する」というものです。

ただ、やはり自由貿易を妨げる運動は長続きしませんで、今回の韓国のように条例化までいくことは、余りありませんでした。当のパレスチナにも条例はありません。むしろその後に成立した「反BDS法」の方が導入した国の数が多いくらいです。

それだけではなく、韓国の日本製品不買運動と大きな違いがあるのですね。それは、イスラエルによるゴラン高原占領は、1981年に国連安保理決議第497号で「国際法違反である」と、決議されているんです。しかも全会一致です。アメリカも拒否権を発動できませんでした。まぁ今年の6月にトランプ大統領が発言をひっくり返して、結構物議をかもしたりしたのですが。

しかも、日韓には「日韓投資協定」という国際条約があります。今回の地方議会が「戦犯国」として日本企業に一方的に不利益を与える行為は、この条約における「紛争状態」になってしまうのです。

 

■GSOMIA破棄から韓国は暴走状態

「日韓投資協定」とは、日韓が互いに「最恵国待遇」で投資経済活動を支援する国際条約です。「最恵国待遇」とは「自国の企業に与える待遇と同じもの」という意味ですから、日本企業を一方的に「戦犯国」として韓国経済から排除するのは、明白な条約違反です。

「投資の自由化、促進及び保護に関する日本国政府大韓民国政府との間の協定(略称 日・韓投資協定)

第二条
1 各締約国は、自国の領域内において、投資財産の設立、取得、拡張、運営、経営、維持、使用、享有、売却その他の処分(以下「投資及び事業活動」という。)に関し、自国が同様の状況において自国の投資家及びその投資財産に与える待遇よりも不利でない待遇(以下「内国民待遇」という。)を、他方の締約国の投資家及びその投資財産に与える。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/treaty_020418.html

もちろん不買運動が、市民運動レベルで留まっていたなら、問題ありません。まぁホントは良くないんですが、それと議会で条例を制定するのとは、まるでレベルが違ってきます。

第二十二条
1 各締約国は、この協定に基づく義務を履行するに当たり、自国の領域内の地方政府によるこの協定の遵守を確保するため、利用し得る妥当な措置をとる。

ちゃんと地方政府が勝手なことをしないよう、韓国政府は措置をしないといけない条項がついているわけです。当たり前ですね。「地方政府が決めたことだから仕方がない」とか言ってたら、国際条約を締結する意味がありません。

こうした一方の国が一方に不利益を与える場合、事前に通告しないといけないことになっています(第16条第3項)。そして解決のために「合同委員会」を設置しなければなりません(第20条第1項)。にも関わらず、韓国政府は何もやってないわけですよ。

おかげで、日本からの是正要求を韓国政府が対処しない限り、日韓は「投資紛争」状態に突入してしまうわけです。そして国際仲裁裁判所に付託することができてしまいます。

 「募集工(徴用工)問題」と違うのは、最初の段階で「両国の合意」項目自体がないことです。特に第14条の仲裁裁判所は、相手国が拒否しても手続きは進みます。

第14条:
国対国の紛争処理:締約国は、協定の解釈等について協議を行う。円満な解決が図れない場合、拘束力を有する決定を得るため、一方の締約国の要請に基づき、仲裁裁判所へ付託される。

 そして裁判結果は拘束されます。もちろん、福島産水産物規制で負けた時のようなことは許されません。

 

 ■自由貿易への攻撃である

先に説明したBDS運動では、アイルランドイスラエル排除の法案を決めようとしたことがあります。しかし「自由貿易」を叫んだアメリカが介入し、通りませんでした。

自由貿易への攻撃」というフレーズは、アメリカに特に大きな影響があります。日本は直ちに「自由貿易への攻撃」だとして、韓国を非難し、アメリカと意識を共有するべきでしょう。

 韓国は、GSOMIA破棄以降、「市民が独自に不買運動をしてるだけ」など、表面上取り繕うことすら止めてしまいました。日本も韓国の早い動きに対応していかないと、ドンドン不利益が重なっていくことになります。

 外務省はのんびりしている暇はありませんよ。

<GSOMIA破棄>「国格が上がった!」 大喜びの韓国国民と慌てる保守派マスコミ

韓国側による「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」の破棄が日本側に通告されました。

「日本大使の厳しい抗議に韓国「日本は自尊心を傷つけるほど無視続けた」(2019年8月24日)

日本と韓国が軍事機密を共有するために結んだGSOMIA(=軍事情報包括保護協定)について、韓国政府は23日、日本側に協定の破棄を通告した。

https://news.livedoor.com/article/detail/16972998/

 ■妥協のつもりだった文大統領

上で引用した記事のタイトルが、なかなか強烈です。本文を見てみましょう。「自尊心を傷つけた」ってなんのことを言ってるのでしょうか。

韓国大統領府国家安保室・金鉉宗第2次長「日本の対応は単純な拒否を超え、我々の国家的な自尊心まで傷つけるほど無視を続け、外交的な礼儀を欠いた」

GSOMIAを破棄したのは、日本のせいだと言いたいらしいのですが、そもそも日本側に、ここまで「外交的礼儀を欠いた行動をした」という認識はないと思います。

「日本が対話と協力の道に乗り出せば、われわれは快く手を取る」

この件で他の政府高官の発言を見てみると、決定的だったのはこの8月15日の文大統領の演説のようです。「文大統領が日本に対話の姿勢を示したのに、日本側は無視した」ことが「自尊心を傷つける」ほどの外交的欠礼だというわけですね。

しかしねぇ。両国にある問題について、何の具体的な策を示さないで、「日本側から協力しろ」という発言に、日本がどう反応しろと言うのでしょうか。日本が何か言って、それが外交欠礼だと言うならともかく、無反応だったことが「自尊心を傷つける」とまで言われるのは、納得しがたいものがあります。それに妙に上から目線だし。

この妙な上から目線は、韓国の日本に対する通常対応ではありますが、それにしても輸出管理で困ってる立場の韓国が取る態度ではありません。

 

■「不買運動で日本は大損害」

なぜ文大統領が「日本側が対話をしてくる」と考えていたのでしょうか。その理由は、事実を捻じ曲げる韓国のマスコミにあった可能性があります。

 「【ソウルから 倭人の眼】GSOMIA破棄の韓国、「快く手を取る」と言いつつ逆襲連発」

韓国メディアには「日本が大打撃を受けている」などと報じる社もあった。

韓国での不買運動に日本全土がそれほどの衝撃を受けているとは思えないのだが、少なくとも韓国で不買運動に賛同する者は、そのように信じているか、信じていたいようで、「日本が慌てふためき、困っている」と満足そうに振る舞っている。

 https://www.sankei.com/premium/news/190824/prm1908240009-n3.html

 韓国の反応をインターネットで確認すると、様々なメディアで「日本は不買運動で困ってる!」という報道ばかりです。実際、ユニクロの売上が急減して、「社員を有給で休ませた」という報道もあり、影響はそれなりに出ています。

 

「売り上げ70%急落の韓国ユニクロ、結局全職員に有給休暇検討」(2019年8月20日

https://news.livedoor.com/article/detail/16953001/

がしかし、それで日本の企業が立ち行かなくなるほど大きな損害ではありません。むしろLCCなどの航空会社は日本から中国に振り替えようとした航空路線を中国に拒否されて、全社が赤字確定という緊急事態です。結局困るのは韓国経済という図式です。

ユニクロも有給とか言ってないで、社員を解雇していかないと、不買運動が結局韓国の経済に悪影響があると理解できないのではないでしょうか。

こうした状況を文大統領が誤認して、「日本が困って、対話に乗り出してくる」と考えていたとしたら、先の上から目線の演説も理解できるところです。

 

■事態の深刻さを報道しない韓国マスコミ

GSOMIAの破棄で、韓国マスコミの反応は二分されています。

「協定破棄に韓国世論は二分 深入り避けた米の覇権に陰り」

https://www.asahi.com/articles/ASM8Q6KC2M8QUHBI02X.html

 韓国マスコミは、保守派がGSOMIA破棄に反対。革新派が賛成と分かれました。ただ、この報道のように韓国世論は二分されていません。

インターネットや韓国テレビの報道を見ればわかる通り、圧倒的多数がGSOMIA破棄を賛成しています。なぜか「国格が上がった」と喜ぶ反応もあり、日本人にはよく理解できません。この辺り、マスコミが相変わらず正しい報道をしないことに原因があります。

改めてGSOMIAの正式名称に注目しましょう。正式名称は「軍事情報包括保護協定」です。「軍事情報【共有】協定」ではありません。情報共有ばかり注目されていますが、この協定は「情報の保護」、つまり「第三国への情報共有の禁止」も、うたっているのです。そもそもこの協定は北朝鮮のミサイル発射情報を目的にしてますから、「第三国」の想定は中国、ロシア、そしてもちろん北朝鮮です。日本が軍事情報をこれらの国に流すわけはありませんから、韓国側が流さないように「足枷を掛けた協定」だったのです。もっと言うと、この協定はアメリカが推進したわけですから、アメリカが韓国に足枷を掛けていたのですね。

それを今回、韓国は破棄してしまったのです。

青瓦台「GSOMIA終了決定、韓米同盟一段階アップグレードさせる」」

金鉉宗(キム・ヒョンジョン)国家安保室第2次長はこの日の記者会見で「韓国政府は今回の決定が韓米同盟の弱化ではなく、むしろ韓米同盟関係を一段階アップグレードさせ、今よりさらに堅固な韓米同盟関係とすることができるよう努力していく」と述べた。 

https://japanese.joins.com/article/890/256890.html

 何を寝言を言ってるのでしょうか。別の報道では、「アメリカは韓国との協議で(GSOMIA破棄を)理解した」という報道もありましたが、速攻でアメリカに否定され発言を訂正しています。

「GSOMIA破棄に米が理解と説明していた韓国大統領府「うそ」と米高官」(2019年8月24日)

トランプ政権の高官はまた、青瓦台がGSOMIA破棄について「米国が理解を示した」と説明したことに関して、本紙に「うそ(lie)」だとして、「明確に言って事実ではない。ここ(駐米韓国大使館)とソウルの(韓国)外交部に抗議した」と語った。記者の質問に答えたものだが、「うそ」という表現を使ったのも極めてまれなことだ。

https://news.livedoor.com/article/detail/16974107/

ただ問題は、文大統領自身は、本当はわかってやったかもしれないんですね。なにしろ北朝鮮に情報を渡す足枷がなくなるわけですから。 

 

■迫るホワイト国除外決定 また勘違いしそうな韓国

日本は淡々と28日に、韓国のホワイト国除外を推進するでしょう。でもGSOMIA破棄と関連させて、なんらかの処置を取るとは思えません。あくまで輸出管理の変更ですからね。でも韓国側は違った予想をしています。

「GSOMIA終了の影響が長期化なら…半導体業界の生産に支障も」

韓日の軍事情報保護協定(GSOMIA)終了で韓国の半導体業界がまたも悪材料に直面することになった。GSOMIA終了宣言の翌日の23日、証券業界ではGSOMIA終了の影響が長期化すれば国内半導体業界にも追加の被害が予想されるという見方が出てきた。

  https://japanese.joins.com/article/891/256891.html

面倒くさいのはですね。単に「ホワイト国除外」を決定しただけだと、「日本は追加措置を取らなかった。韓国政府の強い姿勢が日本を退かせた」などという報道になりかねないことです。輸出管理と報復措置の区別が全くわかってないので、また勝手に勝利宣言する可能性があるのですね。

韓国には、GSOMIAがアメリカ主導の「保護協定」だったということが、スコーンと頭から消えてるようです。日本は単独で対応するのではなく、アメリカと緊密に連携し、できれば共同で何かを発表する形で対抗していって欲しいですね。それもできるだけ早く。そうでないと、また韓国がどこかトンデモナイ方向へ暴走を始めてしまうかもしれません。