発売3年目(Xbox360は4年目)に突入する各陣営

早いもので、PS3Wiiが発売されて2年が経とうとしています。Xbox360に至っては3年目ですね。そろそろ本体の販売台数もまとまった数となり、サードパーティー含めて陣営の在りようが見えてきているようです。
本体の販売台数はWiiが圧倒的な大差で、他陣営を引き離し続けています。これに対抗するソニーマイクロソフト各陣営はどのように戦略を展開していくのでしょうか?

SCE 平井一夫社長
「世代、地域を超えたゲーム市場の拡大というチャンスを生かすためには、社風を改革する必要もある。 一番のポイントは、SCEとして、ゲーム会社として基本を大事にしながらも、インタラクティブ(双方向)なエンターテインメントの会社だという方向に広げていくことだ。ゲームという原点を確立し、社員の意識を変化させる段階に来たと考えている。
もちろんゲームをインタラクティブに発展させるという話をすると「去年は、『PS3はゲーム機である』と言っていたのに、どうしてまたインタラクティブなのか」という批判も受ける。しかしゲームを否定するのではなく。どのように発展させるかという観点で力を合わせようと社員には言っている。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20081010/173512/

「ゲームの原点を確立した」とは言っても、未だ日本でミリオンソフトが出ていません。一番売れたメタルギアソリッド4ですら、65万本です。「キチンと作ってマーケティングしたソフトは、きちんと売れる」ということが証明されないと「ゲーム機としてのPS3」は確立されないと思うのですが。にもかかわらず、「ゲームの原点は確立した。次はインタラクティブだ」と言ってしまうから、SCEの腰が定まらないように見えてしまうのです。MGS4の次に売れたのが「みんなのゴルフ5」です。素晴らしいですね。しかし販売本数は39万本でハーフミリオンにも到達していません。ということは、MGS4以外の全てのソフトがハーフミリオンに到達していないことになります。この状態で「ゲームの原点は確立した」と宣言できるのか、宣言してしまっていいのか、かなり微妙なところだと思います。

マイクロソフト ジョン・シャパート副社長(ゲーム事業担当)
マイクロソフトは、「ハードコア」と呼ばれる従来からの中核ゲーマー層から手軽なゲームを楽しむ「カジュアル」層までをターゲットにしている。例えば、RPGロールプレイングゲーム)の「テイルズ・オブ・ヴェスペリア」で遊べるゲーム機は、当社の「Xbox360」しかない。スクウェア・エニックスRPG最新作「インフィニット・アンディスカバリー」も、ゲーム好きの人に支持されることを期待している。
従って、(ユーザー層が最も重なる)ソニーPS3との競合を意識している。マイクロソフトは既に「Xbox360」を手頃な価格帯で提供しており、十分な数のタイトルを用意している。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20081014/173758/

最近、日本でようやくXbox360が売れ始めたようです。やはり本体価格が2万を切ってきたのが大きいのでしょう。しかしそれでも3年経って、まだ本体がミリオンを出せない現状は辛すぎるものがあります。
私が思うにやはりレッドリング問題が尾を引いているのではないでしょうか? 買っている人は「故障しても元が取れる」としっかり判断してる人ばかりです。日本では、松下のストーブや食品偽装問題を見ても「謝罪して、きっちり対策を取った」ことをアピールしない製品は、どんな分野でも生き残れないのですね。
確かにレッドリング問題に関して手厚いサポート体制を取っています。しかし「熱対策を行った新型発売」というフレーズで、大々的にCMを流すことを何故マイクロソフトがしないのか不思議でなりません。すぐに賠償問題になる海外と違って、日本は問題を即座に解決する「真摯さ」や「誠意」が重視されます。日本でしっかり売れていれば、こんなに簡単にWiiに抜かれることがなかったはずだけに、対応の遅れが足を引っ張っていると思います。

最近の各プラットフォームの開発の現場から聞こえてくるのは、Wiiは「ソフトが売れるかどうかはともかく、ソフトは作りやすい」、PS3は「開発が相変わらず難しい」、Xbox 360は「ソフトは作りやすいが、もはやDVDメディア1枚にハイビジョンゲームコンテンツを収めるのがつらい」といったあたりのこと。PS3用ゲーム開発の難しさは、筆者のレポートしたVolitionの「Red Faction Guerrilla」のインタビューでも開発スタッフが漏らしている。
Xbox 360のDVDメディアについては、単純に考えればデータを複数枚のDVDに分割収録すればいいだけの話に思えるが、DVD枚数が増えるとマイクロソフトへ支払わなければならなくなるライセンス料が高くなるので、そう事は単純ではないらしい。
西川善司の3Dゲームファンのためのゲームグラフィックス講座」――TGS2008の中から気になる日本産ゲームをピックアップ!
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20081014/3d_tgs.htm

開発現場からの声は、PS3不利の状況がまだ解決されていないようです。CELLの構造からして、解決することは不可能と言えますが。
Xbox360はメディアの問題が深刻になりつつあるようです。DVDの枚数が増えるとライセンス料が上がるとは、また妙な足枷をマイクロソフトは課してますね。仮想敵をPS3とするなら、そんなライセンス契約は早々に無くした方がいいと思いますが。
そしてWiiは一番開発しやすいそうです。そりゃそうです。シングルコア、シングルスレッドのCPUに、HD出力未対応。映像のクオリティに手間が掛からない分安く上がるのは当然でしょう。
売れる売れないというのも、これからいずれ解決していく問題と思います。なにしろキャパが広がっているので、きちんとWiiユーザー向けにソフトを供給すれば、必ず結果に結びつくことになるでしょう。
年末商戦ではXbox360の奮闘に期待しています。