明らかになった石油高騰の理由

「ガソリン141円、1年3か月ぶりの安値」2008年11月6日
8月4日時点の最高値185・1円からは44・1円の下落となった。埼玉や神奈川、大阪など14府県で140円を割り、東京都世田谷区のガソリン安売り激戦区「環八通り」沿いでは、レギュラー1リットルあたり120円台前半の看板を掲げるスタンドもある。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20081106-OYT1T00536.htm?from=navr

原油価格が下げ止まりません。と言うか、ようやく元に戻ったという感じです。なにしろかつての価格の半額ですから強烈です。
経済誌国際通貨基金に至るまで、これまでの原油価格の理由は、大きく2つに分けて議論されていました。
1 中国・インドといった急速な経済発展を続けてきた国々の石油需要の増加
2 アメリカのヘッジファンドの仕掛け
どちらかが理由であると言うよりは、2つの理由の相乗効果というのが大多数の見方でした。しかしここ最近の原油価格の急落でわかったことは理由は1つしかなかったということです。
もちろん答えは2。原油市場に食いついたアメリカのヘッジファンドによる仕掛け的な高騰だったのですね。サブプライムローンの損失を取り戻すためとも言いますが、サブライムローンショックが起きたのは2007年6月以降ですから石油価格の値上げが始まった後です。
またもし1ならば、原油価格がこんなに急激な下落になりません。株式市場が実経済に影響を与え、中国やインドの景気が縮小し、石油消費量が激減する必要があるわけですから。両国の経済動向を見ると、むしろ両国はアメリカの景気後退の被害者です。

「中国、インドも利下げ、追加支出 減速回避へ試される刺激策」2008/11/4
全世界がリセッション(景気後退)入りするとの懸念が強まる中、欧米市場が縮小し、世界の経済成長の5分の1を担うといわれるアジアの新興経済も足を引っ張られはじめている。インドや中国の政策決定者は、経済減速を恐れ、歳出を増加させようとしている。
インドのチダンバラム財務相は先月国会で、2兆4000億ルピー(約4兆8000億円)の追加支出を提案した。「今こそ」経済を刺激すべき時だと言う。
中国の温家宝首相は、経済成長を持続させていくことは政府の「最優先事項」だとした。中国はすでに輸出振興策をとっているほか、住宅購入者の費用軽減、インフラ投資を宣言している。
外需が弱まる中、これらの刺激策は実行にあたってスピードが要求されることになる。
http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200811040011a.nwc

石油高騰の結果、アメリカでは代替エネルギーとしてトウモロコシを原料とするアルコールが注目され、農家が一斉に小麦からトウモロコシ栽培に事業を変更しました。結果として小麦相場が急騰し、食料品の価格高騰を招いたのです。煽りを受けて日本でもあらゆる食料品が値上げし、家計を直撃しました。
いや全くいい迷惑。アメリカのヘッジファンドは相変わらず余計なことをやり過ぎです。