市長選前夜

狛江市では、市議会の議事録を公開しています。ところが、ちょうど市長選直前の丁々発止となった第2回定例会の議事録が、長々公開されていませんでした。公開されていれば、そのやり取りの面白さを取り上げられたのに残念です。
 まず自民系、須田議員。

特定財源を維持すべきと大多数の市長は自筆で署名したことも載っておりました」「都内では矢野市長と共産党推薦の国立市の関口市長のお2人だけが署名をしていないということでありました」「市長は代々木のほうを見ているのか市民のほうを見ているのか,私から見るとさっぱりわからない」「まず最初に道路行政の基本的計画の位置づけについてどのように位置づけられているのか,これをお尋ねしたいと思います」
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 矢野市長は道路特定財源に関しては、反対の署名しているんですね。その点市民の方に向いていないんじゃないかと突っ込んでいるようです。
 これに対して、矢野市長は「共産党中央委員会は、千駄ヶ谷にあって、代々木はただの下車駅だ」と軽いジャブ。
 そして「どちらを向いているかと言えば,それは市民のほうを向いてすべて判断をしているところでございます」と型どおりの答え。
 さらに須田議員が

「市長として独自の物の考え方,その考え方の基準は市民のほうを向いて市民のためにやっているという御答弁でした。そのことと署名をしなかったということ。まちづくりの中でその基幹をなす道路ということを考えると,整合性がないというふうに私は感じるんです」
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と突っ込むと、

「署名をすべきだった,一般財源化について私が求めたのが市民のほうを向いていないと言われるとすれば,福田内閣は来年度からなぜ一般財源化をすると言っているのか。一般財源化が市民・国民のためでなければ,一国の総理大臣の判断も,私が間違っているとすれば間違ったことになる。これは同じ党としては須田議員のお話のほうが間違っているのではないだろうか」「批判されるならば総理大臣のことも批判されることなる,そういうことをお含みおきいただきたいと思います」
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 と切り返され、ジ・エンド。残り時間を持論を展開するだけで終わってしまいました。毎度のことながら、矢野市長のディベートテクニックは秀逸です。
 
続いて与党であるところの共産党、田辺議員。
「前の市長が12年間でつくった借金が176億円,矢野市長が12年間でつくった借金が222億円だという文書を目にした」
これは当ブログでも問題にした「新生狛江をつくる会」のビラのことです。

「普通会計について,昭和60年度から平成8年度までの起債の合計額は幾らでしょうか。また平成9年度から平成20年度予算までの起債の合計額は幾らでしょうか」
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ビラでは、前市長の時より矢野市政の方が、借金を46億円も多く作っているという指摘がされていました。本当にそうなのか企画財政部長に確認しています。

「昭和60年度から平成8年度までの起債額の合計額は216億7,000万円ほどとなります。平成9年度から20年度までの借換債を除く起債合計額は200億5,000万円ほどとなります。また,この期間で臨時財政対策債を除きますと131億2,000万円ほどとなっております」
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おお? いきなり数字が違います。前市政の起債額が40億円も増えて、矢野市政の起債額より多くなってしまいました。
ちなみに一番最後に出てきた「臨時財政対策債」というのは、国の「三位一体改革」により突然発生した借金分です。発端は小泉首相(当時)が地方への税源委譲を叫んで行った「改革」なのですが、「地方交付税交付金減額:税源委譲額=1:1」とならずに、『交付金削減額が税源移譲額よりも一〇倍近く多い』という凄まじい不公平を起こしてしまいました。当然、地方財政は大混乱。ほとんどの地方自治体で、入ってくるはずの交付金がガタ減し、それを補うため臨時に地方債を発行しました。それが「臨時財政対策債」ですね。
というわけで、確かにこの債務分を「矢野市政の失政だ」と追及するのは、無理があると言えるでしょう。
では前市政の176億円という金額は、どこから出てきたんでしょうか?

「前市長の時代の217億円という借金を一体どこをどう計算したら176億円などという数字になるのか。いろいろ私も七転八倒して計算をしてみましたが,ぴったりした数字にならない。比較的近い数字は,先ほど伺いました平成4年度から平成8年度までの5年間の起債総額が170億円ですから,この5年分を12年分と称しているのかもしれません。一番近い数字がこの5年」
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私も計算してみましたが、何をどうすれば176億円になるのかわかりませんでした。前市政は12年続いてますから、その半分以下の5年で計算するのは、実に変な話です。
本当の前市政の起債額は216億。矢野市政の起債額は131億円。やはり前市政の借金が遥かに多いというのが正しい結論のようです。
経常収支比率の不誠実といい、「新生狛江をつくる会」のすることはイマイチ信用できないですね。