初動売上型と中古市場の影響力増加――日本化するアメリカゲーム市場

NPDによるアメリカ11月の月間販売台数が上がってきました。

任天堂、Xマス“独り占め” Wii、11月米販売が倍増
http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200812130033a.nwc

Wii       204万台
Xbox360   83万台
PS3       37万台
いや、Wiiが圧倒的です。11月のゲーム機本体販売台数の記録を塗り替えたのですから、その数字の凄さが分かります。12月はいったい何万台売れることになるのか皆目見当がつきません。
そんなアメリカゲーム市場ですが、今の日本のような傾向があるという記事が出ていました。

「As Recession Deepens, Used Games Get More Painful」(中古ゲームによる痛みが、不況を深刻化させる)
http://www.gamasutra.com/view/feature/3872/as_recession_deepens_used_games_.php

この記事によると、アメリカのゲーム市場が日本のように「新作ゲームの売上が発売から数週に偏りつつあること」、「大作ソフトであろうと中古市場に売られ、ソフトメーカーの資金回収に影響を与えていること」。さらに「中古市場に回せないようダウンロードサービスや、MMOサービスの付加が多くなっている」と指摘しています。
特にダウンロードサービスなどがないソフトで、多く中古市場に流れたソフトとして「アンチャーテッド」「アサシンクリード」「BioShock」の名前が挙がっていますね。
アナリストは「高い新品ソフトでなく安くなった中古ソフトは、ユーザー拡大につながる」として擁護するコメントを出しています。しかしそのいい事例が「中古自動車市場」という所がアメリカです。

「車が新品しか買えなければ、頻繁に新車を買う人は少なくなるでしょう。中古市場に下取りできるからこそ、そのお金で新車を買う人がいて、中古車を買いながら、時々新車を買う人がいるのです」

しかしゲームの場合、中古車と違って劣化しません。単に早く遊べるか否かという早さの問題だけです。中古車と同じ理屈でゲームの中古市場を擁護するのは危険だと思います。
今、日本のゲーム会社は、発売数ヶ月で売り切るゲームの販売事情に四苦八苦しています。任天堂のDSやWiiで見えてきた息の長いソフトを作れればいいですが、いわゆるゲームゲームしたゲームは超初動型の販売から脱皮できずにいます。対してゲームを売る小規模店舗は、中古ゲームを売らなければ店を維持できません。
SCEが中古ソフト撲滅を狙って映画の頒布権で最高裁を負けてから、ソフトメーカーと小規模ゲーム店は、互いに利益を削り合う敵同士になってしまいました。
思えばあの時、中古ソフトの何パーセントか利益還元できる形で妥協し合っていれば、歪んだ形にならなかったのではないでしょうか?
ソフト開発費の高騰により、ソフトメーカーは資金の回収に知恵を絞っています。アメリカが日本の後を追うように、歪んだ形にならないように望みます。