任天堂VSマジコン

「「マジコン」販売禁止命じる 東京地裁任天堂の訴え認める判決」2009/2/27
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0902/27/news077.html

予想通りの勝訴でした。ファミコンの時にも同様の判決が出ていましたので、プロテクトをはずしてしまった段階で判決は確定したようなものです。しかし見逃せない点も出ています。

「被告側は「ユーザーが自分で作ったソフトも使えるようにする機器」と主張。しかし、判決は「マジコンの大部分は複製ゲームの使用に用いられている」と指摘し、不正競争防止法が販売を禁じている機器に当たると判断した」
http://mainichi.jp/enta/mantan/game/news/20090227mog00m200103000c.html

不正競争防止法」第2条第10項の禁止項目「営業上用いられている技術的制限手段の回避機能の提供」で、販売差し止めはわかっていましたが、さらにマジコンの大部分は複製ゲームの使用に用いられている」という事実認定をしたのは、非常に大きいです。任天堂にとって極めて欲しかった判決内容でしょう。この事実認定があるのと無いのとでは、今後の展開がまるで違ってきます。

ニンテンドーDS「プロテクト外し」横行 経産省が法規制検討」2009/2/27

「現行法ではプロテクト外しに対する刑事罰の規定はなく、民事訴訟で損害賠償や差し止め請求による被害回復しかできないのが実情で、同法を所管する経済産業省は今後、刑事罰の適用拡大も含めた法改正について検討する方針」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0902/27/news053.html

早っ! どういう訳か今回経産省の動きがメチャクチャ素早い。というか、これ。どんな判決が出るかわかってて待ってたでしょう?
元々この裁判は、任天堂1社ではありませんでした。わざわざ手間をかけて54社という「業界全体の総意」の形にしたのは、経産省に対するアピールを考慮していたようです。
そして裁判は、今回マジコンの使用目的を「複製ゲーム使用である」と事実認定してしまいました。
これでは経済産業省が無視するわけにはいかないですよね。

また以前書いたように、「個人の複製権」も今回「技術的保護手段の回避」が認定されたことで、権利消失の可能性が高くなってしまいました。マジコンが刑事犯罪として立件された場合、次に来るのは使用者側であるのは間違いないところです。
綿密に計算されて、外堀はじわじわと埋まりつつあります。任天堂法務部の次の1手に注目しましょう。