マッドワールド狂想曲―リアル表現にカウンターパンチを浴びせた快作

「我々は、このソフトを見過ごすことはできない。愛するか憎むか、そのどちらかだ」byIGN
遂に3/10にアメリカで発売されたMadWorld。実は想像以上に話題になっているようです。

各ゲーム情報サイトのメタスコア(平均評価)では、83点(最高100点)。ユーザー評価では9.3点(最高10点)。
http://www.metacritic.com/games/platforms/wii/madworld
と極めて好評。またスポーツ番組風のPVなどの宣伝戦略もバカウケで、バイオハザード5に匹敵するほどの知名度を誇っているようです。ただし理由の1つには、その過激な描写のせいで各国団体から圧力を受けたせいもあるようですが。

「『MADWORLD』は残虐過ぎる? 英国のロビー団体が反対の声」
http://www.inside-games.jp/news/308/30832.html

「「任天堂は“家族に優しい”を返上すべき」−米国のNPOが辛口コメント」
http://www.inside-games.jp/news/341/34123.html

実はWiiでレーティングM(18歳以上対象)のソフトは、過激な描写で問題となった「MAN HUNT2」以降も「No More Heroes」が出ています。海外バージョンは日本バージョンと違い画面が真っ赤になるほど血の表現があるのですが、マッドワールドのように各国で問題視されていません。今回マッドワールドが槍玉に上がったのは、白黒世界に血の赤という斬新な表現に拠るところが大きいようです。
「MAN HUNT2」と同じくレーティングMだった「The Godfather」や「Scarface」もHD画像によるリアルなグラフィックを追求していました。いやむしろ、ギアーズオブウォーシリーズなども含めて、鮮血が派手に飛びまくる過激な描写は、今世代のリアルグラフィックのベンチマークのように各社追求しています。
そんな中でマッドワールドは、目の肥えた海外ユーザーの高い評価を勝ち取りました。よく言及されている賛美は「芸術的」。本来のアメコミ的表現を「芸術的」とするのは、違和感がありますが、何でも極めれば「芸術的」になると言うことでしょうか。
とにかく、リアル路線が幅を利かせていた海外ゲーム市場で、マッドワールドのデフォルメ調が高い評価を受けたことは、1つの事件です。Wiiというハードの限界によって、多機種と同等の精緻なグラフィックは望めません。しかし本来ゲームは、劇画からデフォルメまで表現の幅があるマンガと同じく、もっと多様な表現方法があるはずです。
続々と赤字に転落してしまった海外ゲームメーカーにとっても、これはリアル追求以外の方法を模索するチャンスじゃないでしょうか? もっと想像力豊かにゲームを作って欲しいものです。