警戒レベル6間近―実はその後もある警戒レベル

新型インフルエンザのヨーロッパでの人=人感染が、確認されると同時に宣言されると言う「警戒レベル6」。いわゆる感染爆発「パンデミック期」という最悪の事態です。
しかしWHOの警戒レベルを調べると、まだその後ろにも警戒レベルが設定されていることをご存知でしょうか? それが「後パンデミック期」。流行の収束とセカンドウェーブです。
まず警戒レベルを確認しておきましょう。

パンデミック間期
[フェーズ1]
ヒトにおいては、新たな亜型のインフルエンザウイルスは同定されていない。動物において、ヒトに感染したことがある亜型のインフルエンザウイルスが存在しているかもしれない。もしも動物にみられたとしても、ヒトへの感染リスクは小さいと考えられる。

[フェーズ2]
ヒトにおいては、新たな亜型のインフルエンザウイルスは同定されていない。しかしながら、動物において循環している亜型が、ヒトの発症に対してかなりのリスクを提起する。

パンデミックアラート期
[フェーズ3]
新しい亜型によるヒト感染(複数も可)がみられるが、ヒト−ヒト感染による拡大はみられない、あるいは非常にまれではあるが、密接な接触者への感染に留まる。

[フェーズ4]
限られたヒト−ヒト感染が起こり小さなクラスター(単・複)がみられるが、感染拡大は非常に限局されており、ウイルスがヒトでの感染伝播にあまり良く適応していない事が示唆される。

[フェーズ5]
より大きなクラスター(単・複)がみられるが、ヒト−ヒト感染は依然限局しており、ウイルスはヒトでの感染により適合しつつあるが、まだ完全なヒト−ヒト感染伝播能の確立に至ってないと思われる(著しいパンデミックリスク)

パンデミック
[フェーズ6]
パンデミック期:一般ヒト社会の中で、感染伝播が増加、持続している。

よく言われていることですが、これだけ飛行機などで人の行き来が頻繁にあると、水際で感染を止めるのも限界があります。いずれ国内でもそれなりの蔓延が起こるでしょう。今回の新型インフルエンザの致死率は、それほど高くないことが既に報告されています。が、ウイルスは変異を起こすことがあるので、安心できません。
そもそも豚から人にうつったのも、ウイルスの変異が原因です。別の病気を患っている人にこのウイルスがうつり、その別の病気のせいで変異を起こし、致死性の高いウイルスになったりするのです。
だからできるだけ感染者を増やさないことに意味があるのですね。

そしてその後も警戒が必要です。それが「後パンデミック期」です。

パンデミック
パンデミック間期への回帰(セカンドウエーヴ)

昔猛威を振るった新型インフルエンザに「スペイン風邪」というのがあります。日本でも30万人以上の死者を出した猛烈なウイルスです。今でもワクチンが無いという凄いインフルエンザなんですが、実はこのスペイン風邪、連続で3回も流行しました。インフルエンザですから、春になると勢いが止まり、冬になると蔓延するわけです。
これが怖い。日本の被害も、実は3回目の蔓延のときが一番酷かったと言われています。
今回の豚インフルエンザに始まる蔓延が収まったとしても、また来年起きる可能性があるわけですね。その時警戒に慣れてしまうと、痛いしっぺ返しを受けることになります。
過度なパニックを起こす必要はありませんが、正しい知識で警戒を怠らないようにしたいものです。