セカンドライフ復活を叫んだITメディアの記事は本当か――そして似ているあのゲームのヒット

かつて「Second Life“不”人気、7つの理由」という衝撃的な記事で話題を呼んだ、岡田さんの最新セカンドライフ事情が紹介されました。

Second Lifeは終わらない 増えるユーザー、成長する経済 (1/2)」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0905/18/news037.html

読んでみると、いくつか気になる記述がありましたので、取り上げたいと思います。

minaさんの店はブーム当時より拡大し、今も毎日、多くの人が訪れている。来訪する日本人の比率は半数ぐらい。ブーム当時より増えているという。
実際、日本人のユーザーは増えている。Linden Labによると、Second Lifeにアクセスするユーザー数は月間約100万で、うち日本のアクティブユーザー数は4万5000人程度とブーム当時の2〜3倍に拡大。ここ最近は右肩上がりに伸び続けているという。

まず気になったのが、アクティブユーザーの数です。そもそもリンデンラボは、2008年4月を最後にアクティブユーザーの数の発表を止めてしまっているのです。また国別のユーザー数も2008年10月以降ありません。公開していない情報をどうやって取得したのか興味があるところです。
そして「4万5000人程度とブーム当時の2〜3倍に拡大」という記述。2008年4月までのデータで確認すると、かなりの矛盾があります。

見てわかるとおり、ピーク時に4万5000人程度いますよね。4万5000人を1/2すると2万2500人ですが、ブームが過ぎてもっとも低い数字を出した2008年3月でも2万2500人より多いです。4万5000人のユーザーは、「ブーム当時の2〜3倍」という岡田さんのリポートは、どう考えても誇張に過ぎると思います。これではセカンドライフが復活したと言われても信じられません。
ちなみに表の折れ線グラフは、延べプレイ時間です。リンデンラボは業績が好調である根拠として、延べプレイ時間を公開しているのですが、ご覧の通り全くユーザー数との関連がありません。
ブーム時の特殊状況によるせいかと思い、アクティブユーザー数が持ち直した2008年4月の翌月も述べプレイ時間を載せたのですが、また大きく減っています。プレイ時間が会員数に連動しているなら、5月にまた大きく減ったことになるんですが、どうなんでしょうか?

特に、主婦など女性ユーザーが増えているようだ。ファッションに敏感な女性ユーザーが、高価なアバターアイテムをひんぱんに購入し、アバターを美しく着飾って楽しんでいるという。
記者もminaさんに連れられ、アバターアイテムの有名店をめぐってみた。ヘアスタイル、肌色、メイクから、シャツやワンピース、ドレス、アクセサリーまで、現実世界に存在するありとあらゆる服飾品があり、細かいディテールまで丁寧に作り込んである。

  1. 女性のプレイヤーが精緻なデザインの服飾品を作り出している。
  2. それらを購入しアバターを着飾らせる女性プレイヤーが増えている。
  3. 『着飾る』こと自体を目的としたコミュニティが、オンラインで生まれている。

以上の特徴を見て、最近ヒットしたあるゲームを思い浮かべませんか?
そうです。「わがままファッション ガールズモード」ですね。
自らのセンスに合った服飾品を選び、『着飾る』ことを目的にして遊べて、オンラインで自分の店も持つことが出来る。とても似ています。確かに最初の「自分でオリジナルの商品を作り出す」という点こそ違いますが、できることに制約がある代わりに、非常に遊び易くできているわけです。
 
さて、この2つのヒットにある共通点。それが今の女性の潜在的なニーズなのではないでしょうか? つまり「ファッションデザイナー」ですね。女性は『何かを創造すること』、それも『ファッションに関わる何かを創造すること』に対して、今物凄く飢えている。だからガルモのヒットや、セカンドライフの女性プレイヤー層の増加が起きたのだと思います。
これが昔からそうだったのか、今のトレンドなのかはわかりません。でもモーニング娘。で小学生がアイドル歌手になったり、初音ミクで素人の作った歌がオリコン入りしてしまったり、最近の素人パワーは侮れないものがあります。そしてそういう素人パワーの1つが、セカンドライフの勢いを戻させ、ガルモをヒットさせたのではないでしょうか?
このニーズは、まだまだ眠っていると思います。素人ファッションデザイナーの潜在的なニーズを、これからどこがうまく捉えるのか、非常に楽しみですね。