PSP goの前に立ちはだかる暗雲

11月1日の「PSP go」の発売が近づいてきました。以前「PSPはどこへいく――SCE社長平井氏の言葉から読み解く」で検討したとおり、PSPgoは、既存のゲームユーザを相手にしていないと思われるゲームハードです。
価格の割りにユーザーへのメリットが多いことはわかっていましたが、これを小売店にとっても旨味が少ないようです。

「オランダの大型小売店PSP Goにボイコット。店頭での販売を見合わす」
http://gs.inside-games.jp/news/202/20243.html

オランダで、PSPgoのボイコット騒ぎが起きました。
もともとダウンロード専売のPSPgoは、小売店にとって旨味の少ないハードです。ダウンロード専売というハードでは、小売店の利益が削られるのも当然。自らの売上を確保するためにも、PSPgoには売れて欲しくないのが、本音でしょう。そんな中でのオランダの小売店が宣言したボイコット騒ぎ。正直「やっぱりな」という気持ちの人も多いのではないでしょうか?

こうしたボイコット宣言に、アメリカの経済アナリストが批判コメントを出しています。

「発売前から“死に体” vs. ボイコットは“愚かな行為”――PSP Goをめぐり騒動が拡大」
取り扱いを拒めば、ソニーグランツーリスモアンチャーテッドを回してくれなくなるリスクが生まれる。そうなればPSP Goを拒んだ業者の負けだ。http://gs.inside-games.jp/news/202/20255.html

日本でこんな出荷調整を行ったら、公正取引委員会が黙っていませんけど。
問題はPSPというハード自体のブランド力が、海外では非常に低いことです。日本ではモンハンのヒットで持ち直しましたが、海外のPSP市場は既に消滅と言っていい状況です。PSPgoというハードの性質上、ブランド力を向上させると言うよりは、消耗させる可能性が高いせいで、ますます小売店PSPgoに距離を置きたくなるのではないでしょうか?

ですからPSPgoの売り上げを本当に稼ぐのは、iPhoneが海外ほど大ヒットしておらず、PSPブランドが生きている日本ということになると思います。
しかし、日本のPSPも実はかなり厳しい状況なのです。
以下のグラフは、ファミ通PSP販売実績を各月ごとに集計したものです。

2008年10月に発売されたPSP3000が、ほとんどPSPのシェアのカンフル剤になっていないのがわかります。クリスマス需要も2008年3月の数字に至っていません。DSの変動と比べてみましょう。

ピンク色がDS+DSiです。クリスマス商戦になると販売数が倍増する任天堂ハードらしい推移です。PSPと違って、2008年のクリスマスにDSiの効果が高かったこともわかります。2008年7月にDSの販売数が増えているのは、もちろんドラクエ9の影響です。やはりソフトがハード需要を喚起する構図は変わっていないようです。
PSPの場合、DSにとってのドラクエのように、モンハンの次のソフトが出ていないのですね。もちろん通信機能に着目して、モンハンの次を狙ったソフトはそれなりにあったのですが、ハードを牽引するほどのソフトはなかったと言えそうです。

さて日本においても、こんなに厳しい結果を出しているPSPブランド。9/24から開かれる東京ゲームショウで、なんらかの新情報が出てくることを期待しています。