IPS細胞の最前線

再生医療のブレイクスルーとして、世界中から注目されるiPS細胞。
その開発競争の中で、ゲームの世界と同じく特許ゴロ(パテントトロール)との戦いが早くも始まっているようです。

「iPS(上)実用化へ特許戦争激化…京大 対 海外勢」
iPSアカデミアジャパン知的財産・法務部の白橋光臣部長は今、「パテント・トロール(特許の怪物)」と呼ばれる動きを警戒している。
有望な技術の特許権を安く買いあさり、実用化が見えてきた段階で高値で売りつけるビジネス。「せっかくの技術が高すぎて使えなくなり、iPS細胞の実用化が遅れてしまう」。白橋部長は今後、海外での訴訟もあり得ると考えている。
http://osaka.yomiuri.co.jp/science/news/20091018-OYO8T00291.htm

一時、ドイツのバイエル製薬が日本より専攻して特許を申請したのではないか、との報道もありましたが、申請は日本の山中研究室の方が早かったようです。そのバイエル製薬も、自分の特許をアメリカのベンチャー企業に売却。
京都大学知財センターは、特許紛争ではなく、相互に協力し合う契約を米ベンチャー企業と結びました。
今までの流れをまとめると以下のような時系列になるようです。

2005年 12月 京大、作製技術の国内特許を出願
2006年 8月 山中教授、マウスでの作製を発表
     12月 京大、作製技術(人を含む)の国際特許を出願
2007年 3〜6月 米ウィスコンシン大など3大学と独バイエル社が人での作製に関する国際特許を出願
     11月 山中教授と米ウィスコンシン大、人での作製を同日発表
2008年 9月 京大、作製技術(人を含む)の国内特許を取得
     10月 山中教授、ウイルスを使わない方法での作製(マウス)を発表
2009年 2月 独バイエル社、人での作製に関する特許権を米バイオベンチャー企業に譲渡
     4月 京大、米バイオベンチャー企業と研究協力の契約締結

再生医療どころか、毛髪の再生や歯の再生も研究が進むiPS細胞。
今後も世界との熾烈な競争が続きそうです。