DSi LL初週10万台―PSPgoとの明暗くっきり

DSiLLが発売されました。集計はまだ2日なのですが、既に10万台を突破し、まずまずの滑り出しと言えそうです。PSPgoとの比較でいくと、DSiLLPSPgoの4週分の販売台数54,102台を倍の数値で、軽々と抜き去ったことになります。あまりにもわかり易い差ですよね。
今回の新バージョン対決は、目指す路線の違いがはっきりしていて、見ていて非常に面白いものでした。PSPgoは極端な携帯性実現を目指し、DSiLLはその真逆。携帯ゲーム機にも関わらず携帯性を殺す選択をして来ました。
携帯性の追求には、実は任天堂は一度失敗しております。ゲームボーイミクロがそれですね。非常に小さく携帯ゲーム機の限界を極めたハードでしたが、失敗に終わりました。極端な携帯性はユーザーに受け入れられないということでしょう。
 
そんな前歴を踏まえてのDSiLLの発売です。高齢者向けとも言われるその大きさは、どう考えても携帯して遊ぶことを狙ったハード構成ではありません。野安氏が指摘する、「画面が小さい据え置き機」という視点は、結構任天堂の戦略を突いているのではないかと思います。

いまのところ、そういったゲーム機は、基本的に「テレビを間借りしている」というスタイルになっているけれど、今後も延々とテレビを間借りしなくちゃならない理由は、とくにありません。ゲーム機自身が、自前の大きなモニターを持っていればいいわけですからね。
値段が許すのであれば、むしろ、そっちのほうが便利なんだよね。家族がテレビを使用しているときでも、気にせずゲームができるから。
そんなことを考えていると、ニンテンドーDSi LLってのは、「画面が小さい据え置き機」だと認識しても、そんなに間違いではないだろうなぁと思うのです。そうやって使用する人も、それなりにいると思うよ。この方向性は、今後、もっと発展してほしいなぁと思っています。
いずれは「ノートパソコンくらいの画面を持っているゲーム機」とかも出してほしいものです。これはDSの世代では、ちょっと間に合わないかな? でも、未来には、そんなゲーム機があるといいなぁと。
http://retro.mmoh.jp/e126404.html

重さが100gも増えていることからも、DSiLLが「携帯ゲーム機」からノートパソコンのように「移動もできるゲーム機」として、新たな市場を開拓しようとしているとするならば、戦略としてかなりわかり易い姿です。
なにしろこの路線は成功の前例があります。東芝DynaBookシリーズですね。それまでの「ラップトップパソコン」と言われたパソコンは、「ラップトップ」、つまり膝の上にホントに乗せたら、江戸時代の拷問のように重くて大きいものでした。しかし、ノートパソコンの走りとなった東芝ダイナブックの登場で、劇的に市場が変貌したのです。
現在のゲーム市場でも、据置ゲーム機の販売台数は携帯ゲーム機に抜かれており、巻き返しは容易ではありません。携帯電話でミニゲームの市場が開拓されたのを見ても、携帯ゲーム機にはまだまだ伸びしろがあります。
「お母さんを敵にしない」がWiiのコンセプトにありましたが、このコンセプトを突き詰めると、テレビの占有からも開放する必要があると任天堂は結論したのかもしれません。
自前で液晶を持ち、テレビへの出力も行えるハイエンドノート型ゲーム機と、携帯性を重視したローエンド携帯ゲーム機という、今のオールインワンA4ノートパソコンとB5ノートパソコンの関係にそっくりなゲーム市場が、将来誕生することになるのでしょうか?



「週間ハードセルスルーランキング」(2009年11月16日〜11月22日)メディアクリエイト
それまで1万台前後あったPS3Wiiの週販台数差が、2000台にまで詰まりました。FF効果でPS3が差を広げるのか、Wiiが逆転に成功するのか、来週も白熱しそうです。

機種 10月5週 11月1週 11月2週 11月3週
PS3 36,061 48,925 38,498 34,752
Wii 28,888 31,810 26,764 32,844
Xbox360 6,047 4,679 4,124 4,085
PS2 1,966 2,066 2,031 2,024
DSi 37,517 37,421 33,749 32,070
DSll - - - 100,553
PSP 34,911 33,784 38,770 32,752
PSPgo 29,109 13,992 6,427 4,574