ソニー、ゲーム事業を下方修正 本当の戦犯は何か?

最後にソニーの決算発表会です。遂に発売されたFF13によって、どのように情勢が変わったのでしょうか?

ソニー、ゲーム事業見通しを下方修正 PSPが500万台減、「GT5」延期も響く」
PS3は新型投入効果が続き、3Qは2Q(7〜9月期)の倍以上となる650万台(前年同期比44%増)を販売。4〜12月までの販売数合計は1080万台となり、通期目標の1300万台達成に向け順調に推移している。
 一方、PSPの3Q販売台数は420万台と、前年同期比で約18%減にとどまり、「期待ほど伸びなかった」(同社)。このため通期の販売計画を下方修正し、従来予想の3分の2(500万台減)となる1000万台にとどまる見通しだ。
 PS2の3Q販売は210万台。前期は下回っているものの、新興国などで需要が堅調なことから、通期で500万台としていた販売計画を700万台に上方修正する。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1002/04/news100.html

FF13という待ちに待った大作が遂に発売されたPS3。ここで伸びなければ、いつ伸びるんだとばかりに台数は出ています。ところが今まで黒字を支えてきたPS2PSPのソフトが落ち込み、PS3の逆ザヤを吸収しきれずに赤字幅が悪化してしまいました。またPSPが当初予定の500万台も減る予測となり、棚卸資産(要するに在庫)が大きく増えてしまいました。

ソニー2009年販売見通し(2009年5月時点)              2010年2月時点
PS2ハード:500万台                           → 700万台 (差+200)
PSPハード:1,500万台                          →1,000万台 (差-500)
PS3ハード:1,300万台                          →1,300万台 (差 0)
PS2+PSP+PS3 パッケージソフト:2億4千万本            →2億本
(ネットワーク売上については、前年度比3倍の約500億円を見込んでいます。)

そして問題はソフト売上です。当初予定より、4000万本も見込みを減らしたのですが、その理由をGT5の発売延期と説明しました。確かに延期は痛かったのですが、それだけでは4000万本減の理由がつきません。質疑応答でこの点を追求されて出てきた答えは、PSPのソフト売上の低下でした。
実際の本数で比較してみましょう。

   2009年2月時点                             202010年2月時点
PS2ソフト:7,220万本                         →3,080万本 (差-4,140)
PSPソフト: 3,910万本                         →3,620万本 (差-290)
PS3ソフト: 8,480万本                         →8,630万本 (差+150)

2009年の同時期までの販売合計で見ると、明らかに戦犯はPS2のソフト売上落ち込みです。綺麗に4000万本減ってますよね。でもハードの目標台数を増やした以上、責任をPS2に押し付けるわけに行かなかったのでしょう。しかしそうするとPS2を買った層は、何に使っているんでしょうね?
また、去年に比べてPS3ソフトの伸びがないのも気になります。+150万本というのは、全世界で見ると誤差の範囲といっていい数字です。本体が増えているのに、クリスマス商戦を超えて去年同じ販売本数というのは、正直意外ですし、今後の暗雲を感じさせる結果です。2010年がPS3の真のブレイクになるといいのですが。
さらにソニーが当初理由のトップに上げたGT5なのですが、その延期具合がハンパじゃありません。

当初、国内で2010年3月リリース予定だったのが発売延期になり、新しい発売時期がまだ発表されていないグランツーリスモ5。スペインのサイトでインタビューを受けたSCEポルトガルの幹部James Armstrong氏によると、正確なリリース時期は依然として未決定ながら、2010年秋の発売になると信じているそうです。
http://gs.inside-games.jp/news/218/21849.html

発売は2010年秋! それも「信じてる」という頼りないお言葉。その程度のデキなら、なぜ3月発売予定だったのでしょうか? FF13発売に合わせた宣伝効果を狙ったハッタリ?とにかく1ヶ月半前に延期がわかるほど、完成度が高かったとは思えないのですが。ソフトウェア側の戦犯としてあらかじめ仕込まれていたんじゃないか、と疑いたくなる状態です。
 ソニーの決算発表会は、いつも言ってることの裏を数字で探すと、違う事実が出てくるので油断がなりません。小手先でこねくらないで、もう少し素直に業績を発表して欲しいものです。
 そんな中SCEは、意欲作「HEAVY RAIN」を発売します。HD機種の中では珍しいオリジナルAVGです。せっかくFF13で増えたユーザーの心を掴む、ヒット作となるのか結果が楽しみです。