やっと出てきたリーク情報:PSP2成功へのシナリオ

ようやく出てきたPSP2のリーク情報。予想通り携帯電話化への道を進もうとしているようです。

ソニー新情報端末発売へ 対iPad、携帯・ゲーム機能」2010年5月29日
ソニーが、携帯電話やゲーム機などの機能を持つ新型情報端末を、日本を含む世界各地で今年度中に発売する方向で検討していることが分かった。タブレット(平板)型など複数の新製品を投入する見込みで、米アップルの多機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」や、タブレット型の「iPad(アイパッド)」に対抗する。
 ソニーは、携帯ゲーム機「プレイステーションポータブル」、多機能携帯電話「エクスペリア」、携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」など様々な機器を持つ。地域のニーズに応じて、これらの機能を組み合わせたさまざまな小型端末を投入する考えだ。
http://www.asahi.com/business/update/0529/TKY201005280501.html

うーむ。この記事を読む限り、「携帯電話にゲーム機能を付ける」といった位置づけであり、PSP2と言うのは難しい展開になるかもしないですが。この新型機の情報が、6/15から始まるE3で公開されるかわかりませんが、ソニー本体のコンテンツ産業の一翼になることを狙っているのは間違いないところです。
しかし当然のことながら、このスマートフォン化路線はIPhoneとぶつかります。先行しているIPhoneは、既に世界的なシェアを確立し、後追いとなるPSP2は厳しい戦いを免れません。と言うよりこの段階に至っては、成功するのは事実上不可能に見えます。 では、本当にPSP2スマートフォン化の勝利に目はないのでしょうか?
肝となるのは、やはりゲーム市場です。
IPhoneのゲーム数は実に数万種類にのぼります。しかしその価格のメインストリートは、0〜300円の格安市場。そして売れるソフトは、あっと言う間にパクリ、模倣ソフトが氾濫する、混沌とした状況を呈しています。これは携帯電話のゲーム市場全般に見られる傾向で、IPhoneに限らず共通の問題です。 この状態では、普通のゲームメーカーがナンバリングタイトルを投入するには危険すぎますよね。
つまりここにPSP2の成功への道が隠されているのです。 携帯電話において、従来示せなかったゲームのビジネスモデルを提示する。PSP2の名前がブランドが、ここで生きてきます。
たとえば以下のようなビジネスモデルはどうでしょうか? 

1 パケット定額コースと合わせた、月1500円程度のゲーム専用コースを用意する。
2 そのコースでは1000円、2000円、3000円と価格を設定されたゲームをDL購入できる
3 0〜300円程度のツールソフト、簡単ゲームソフトの販売はソニーが独占する。

1から見ていきます。ゲームをDL販売するコースを組み合わせることで、通常より高めの月払いコースを導入します。これはゲーム市場に参入しやすくするインフラ整備に当たるもので、維持費以外をソフトの売上本数に応じて、ソフトメーカーに分配させます。つまりソフトメーカーには、売れれば売れるほど、ソフト単価+月額からの配当がつくわけです。
2は、価格設定を最初から明らかにするためで、3000円のソフトでも公認された価格であることをユーザーにアピールするためのものです。
そして3。今多機種で広がっている0〜300円台で売られているソフトを販売するには、各ソフトメーカーは、ソニーに期間限定とかで権利を売るのですね。もしくはソニーが買い付ける。1で月額料をソフトメーカーに分配しているので、ソニー本体はそちらから利益を上げられません。その代わり、この3の販売独占で利益を生み出すのです。
要するに、これまでの携帯電話のビジネスモデル「1」と「3」の部分を、完全に逆にしたのが、ミソなのです。
そして同時に、氾濫する低価格ソフトをコントロールすることも視野に入れています。これまでゲーム事業で培ってきた経験を大いに発揮することになるでしょう。と同時にゲームの流行などの動向も、自動的に把握できることになります。
 
スマートフォン化は当然の流れとはいえ、IPhoneができていないビジネスモデルを構築しなければ、PSP2の成功はありません。それに3のような「ゲーム事業での経験」を生かす方策を作らないと、SCEの存在意義がさっぱりなくなってしまうことになります。
実は今回報道された記事の内容で気になるのが、そこです。今は据置きゲーム機より携帯ゲーム機の方がシェアが大きいわけで、その上「携帯電話にPSPのゲーム機能を付加する」という形では、SCEという組織の存在意義が危なくなります。ソニーSCEをどうするつもりなのでしょうか?
これから示されるであろうPSP2の姿に、今後のソニーの選択が判明すると思われます。