PSP2ことNGPが遂に発表! 年末発売までのスケジュールからいろいろ逆算

ついに発表されたPSP2ことNGP
以前書いたエントリ「SCE解散へ。これから何が起こるのか考える」で予想した通りの結果です。
このNGPが、SCEが解散となる前から、ずっと開発していたPSPの後継機であることは間違いないでしょう。開発費は、負債と共にソニー本体が負担していると思われます。つまりこのNGPは、単なる新機種ではなく、新SCEの命運も握っています。
だからと言う訳ではないでしょうが、NGPは実にソニー的ハード性能至上主義の構成となりました。

・CPU ARM Cortex-A9 core (4core)
GPU SGX543MP4+
・5インチ(16:9)、960 x 544、約1677万色、有機ELディスプレイ
・マルチタッチスクリーン(静電容量方式)
・背面タッチパッドマルチタッチパッド(静電容量方式)
・ワイヤレス通信機能モバイルネットワーク通信機能(3G)
IEEE 802.11b/g/n (n = 1x1)準拠(Wi-Fi) (インフラストラクチャーモード/アドホックモード)
Bluetooth 2.1+EDR準拠(A2DP/AVRCP/HSP対応)
http://www.4gamer.net/games/000/G000000/20110127032/

素晴らしい性能です。今のスマートフォンがこの性能に追いつくには、あと2、3年掛かるでしょう。懸案だったPSPとの互換は、UMDがなくなったことによりゼロとなりましたが、エミュレーション動作によるダウンロードには対応しているようです。ただしスペック表を見ればわかるとおり、テレビなどへの出力機能はありません。(西田宗千佳のRandomTrackingに該当記事 http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/rt/20110128_423489.html)
そして、肝心の価格が発表になりませんでした。この性能ですとバッテリー持ちを2時間以上にするには、非常に豪快に充電池を積まなければなりませんが、それも価格に跳ね返ります。



シビアなNGP発売スケジュール
NGP発表の場で「年末発売」と発表されましたが、これも懸案事項です。とにかく3DSが来月にも発売される中で、一度でもクリスマス商戦を越えてしまうと勝負になりません。なにしろ現在のDSは、北米市場のクリスマス商戦で250万台も売ってしまいます。2009年にはたった一年間で1122万台(!)という驚異的な台数を売りました。これは絶頂期のPS2より売れている大記録でもあります。つまり3月末に世界に投入される3DSは、最初の1年の間に圧倒的な市場を作り出す可能性が高いのです。今回の慌てた感じのNGPの発表も、それを少しでも妨害するために行われたと言っても過言ではありません。
にも関わらず、年末発売スケジュールには越える山がいくつもあります。表にしてみましょう。  
12月11月10月9月8月7月6月5月4月3月2月1月
中旬発売生産   審査 中旬仕様決定
 
まず北米年末商戦に間に合わせるために、発売を11月中旬に想定しています。そうすると、生産に最低でも3ヶ月は欲しいので、8月中旬には生産を開始しないといけません。これ以上遅くなりますと、PS3の時のような在庫枯渇が起きて機会損失となってしまいます。

そして審査に6ヶ月。これはNGPが3G機能を備えた通信機器扱いとなるため、認可の審査に6ヶ月かかるためにです。*1

つまり計算すると、通信の仕様決定は、最低でも2月中旬。北米戦線を諦めて12月に発売したとしても、2月末までには確定しておかないといけないことになります。くしくも3DS発売日が2月26日にあるわけで、通信仕様の発表は3DS発売日にぶつけることがベストであり、最低ラインになるのですね。



いつサードパーティに開発機器を配ったのか?

今回発表されるに当たり、カプコンコナミなど各社からNGP参入の表明がありました。しかし対応ソフトの発表は無し。カプコンの辻本氏が年末発売されたゲーマガに、モンハンの3DS対応をほのめかすなど、NGPの開発機材配布が年末ギリギリだったことが伺えます。
もう3年前からPSP2発表を記事にして、ほとんど狼少年状態だった後藤氏の記事にも

紆余曲折あったNGPは、初期のスケジュールから、ずれ込んでいると見られる。当初噂されていたスケジュールは、現在のものより、もう少し前だった。NGPの開発機も、昨年(2010年)末からデベロッパに配布されていると言われるが、現在のフォームファクタの機材が揃うには、少し時間がかかるだろう。
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/20110128_423409.html

と書かれており、それを裏付けます。実際、PSPgoおよびNGP対応MHP3を発表したカプコンの辻本氏も、「移植は2週間で、何週間も掛けたのではなく、2週間でできました」と語っているのですね。移植にかかる期間は、何週間どころではなく、何ヶ月も、下手をすると年単位でかかってしまうものですが、ここで週単位の発言をしたのは、文字通り開発機材がカプコンに来てから、何週間しか経っていないからでしょう。

しかしという事は、先の辻本氏の爆弾発言は、NGPの打診が来る前の発言と言うことになり、依然としてその可能性が払拭されないということにもなる?







価格をどうするのか?

この性能を実現するデバイスを売ろうとすると、現状どうしても5万9800円程度になってしまいます。しかしもちろん、そんな価格で出すわけにはいきません。3DSが2万5000円と非常にハイレベルの価格帯で供給されることが決定してますので、この価格に狙いをつける必要があるでしょう。
ここで考慮に入れる必要があるものに、3G機能があります。これはそのシステム上、契約で課金が発生します。これを逆手に取って、分割払いをさせる形にするのはどうでしょうか?

3DSに対抗するために思い切った価格をつけます。つまり1万9800円で売るのです。残りのハード代金を課金で補います。契約は3年縛りとしました。

5万9800円 - 1万9800円 = 4万円

4万円 ÷ 3年 ÷ 12ヶ月 = 月額1,111円

これにパケット定額サービス1,980円に加算します。1,980 + 1,111 = 3,091円

それほど難しい価格にはならない気がします。できれば月額2980円で提供するために、定価を5万5800円にしたいところですね。ちなみにWiFiバージョンは、そのまま5万9800円で売ります。課金の場合、4年目からは指数関数的に利益が出るわけで、3Gバージョン推奨の価格を提示することが望ましいでしょう。



NGPは、汎用部品を使い、スマートフォンと非常に似た構成となりました。NGP独自のスタイルは、その操作性と背面タッチパネルに依存することになります。発表当時の、会場の雰囲気を伝えたレポートが日経トレンディに上がっていました。厳しいスケジュールの中、本当に年末に発売できるのか、3DS発売付近のSCEの動きに注目です。

NGPの発表中、来場者が驚きの声を上げることはなかったのも不安な点だ。NGPは性能・機能に隙のない優秀なゲーム機であることは理解できたが、ニンテンドー3DSの「裸眼3D表示」のような、皆をビックリさせる機能は発表されなかった。この点では、一般ユーザーに対してのアピールが弱い。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20110127/1034317/?P=4