3DSでマジコンを使うと履歴が消えない! 任天堂の最新マジコン対策

2月26日に遂に発売となった3DS
各地で好調な販売が伝えられています。そんな中、さっそくDSのマジコンを挿してみた人がいるようで、その報告によると、動作はするけど履歴から、マジコン使用の履歴が消えないという結果になっているようです。初期化すると見た目消えているようですが、内部でどう処理されているかは不明です。
奇しくも経済産業省からはマジコンについて刑事罰化が報告されました。マジコン対策は3DSの発売で新局面を迎えることになります。

経産省,マジコン規制の強化などを目的とした不正競争防止法改正への報告書を公開」
2011年2月21日,経済産業省は,「技術的制限手段に係る不正競争防止法の見直しの方向性について」の報告書を公開した。
改正が検討されているのは,以下の5点についてである。
1 回避手段の「のみ」要件の見直し
2 ユーザーによる回避行為の規制
3 回避装置の製造と回避サービス提供への規制
4 回避装置提供の刑事罰
5 回避装置への水際措置の適用

http://www.4gamer.net/games/000/G000000/20110222062/

少し細かく見ていきます。
1については単純です。これまで裁判では「のみ」の解釈について争点となってきましたが、実態を踏まえるとして「専ら(もっぱら)」と言葉を変更し、争点の決着を考えたようです。
次に2の「ユーザーによる回避行為」の規制です。これまで踏み込んでこなかったユーザーの行為を規制しており、本当に導入されたら極めて影響力の高い規制となります。が、今回の報告書でも触れられていますが、非常に踏み込むのが難しい話ですので、実際に法規制かされるかどうかは不透明です。
そして3の「回避装置の製造と回避サービス提供への規制」ですが、これは報告書を読み限り、携帯電話の「白ロム」規制ですね。携帯のプロテクトを突破してDLコンテンツを使えるようにする会社があるのですが、そのサービス業者をターゲットとしているようです。報告書も「消極的」としており、大した問題になりそうにありません。
 
さて、4は、もっとも報告書の目玉である「刑事罰の導入」です。これについて、「刑事罰の導入に慎重だったのは、不正競争防止法の改正によりマジコン等の機器の流通に、一定の制限がかかるだろうという観測があったからだ」と記述があります。しかし現状はインターネットの普及と共に悪化しているわけで、平成11年の不正競争防止法の改正時の観測は完全に裏切られた形となりました。
報告書では、「不正な利益を得る目的を有する者」だけに留まらず「愉快犯的にこれらを行うもの」を規制対象と踏み込んでいます。これはどういうことなのでしょうか?
マジコンをネットストアやオークションで売る行為は「不正な利益を得る目的」ですので、問答無用で違法です。対して「愉快犯的にこれらを行うもの」は、利益を目的としていません。とはいえ、マジコンを販売する人はそれで利益を上げるのが目的であって、愉快犯なんて人はほとんどいないでしょう。マジコンだけにこだわると、愉快犯うんぬんは意味が通らなくなってしまいます。
ではこの愉快犯うんぬんは、いったい誰なのか?
報告書では、「技術的制限手段を用いる者に損害を加える目的」として「不正な利益を得る目的」と「愉快犯的にこれらを行うもの」の行為について、刑事罰を与えると書いてありますから、要するに前者の「技術的制限手段を用いる者に損害を加える目的」が成立しさえすれば、利益の有無は問わないと言ってることになります。今後の議論の流れによりますが、ひょっとするとインターネットを通じて解除コードをやり取りすること自体を、違法化するつもりなのかもしれません。この「愉快犯的にこれらを行うもの」の適用範囲については、今後注目すべき点のようです。
最後の5は、入管での摘発を刑罰導入で具体化するもので、アジア圏からの入国では荷物検査を徹底することになるのでしょうね。
 
経済産業省の報告内容と、今回3DSでマジコンの使用履歴が消えない仕様というのは、おそらくリンクしてくるでしょう。刑事罰化されたマジコンとそれに類する物を使用した場合、違法行為の排除を理由にネットワークからのBANなどを視野に入れていると思われます。また本体に紐付けされたフレンドコードの使用不可などもあり得るかもしれません。
以下は3DS利用規約に書かれている内容です。

本体の更新について
違法な機器や任天堂が承認していない機器を使用した場合、または任天堂が承認していない改造を行った場合は、本体機能更新によりニンテンドー3DSが起動しなくなる可能性があります。
任天堂が承認していない改造に関連したソフトウェアやコンテンツ、データなどは、事前の告知なく変更や削除されることがあります。
また、本体機能更新に同意されない場合は、ソフトが起動できなくなる可能性があります。
 
本体の自動更新について
ニンテンドー3DSは、お使いになる方や通信相手が不快に感じる言葉の使用を制限する「NGワードリスト」、ニンテンドーゾーンのサービスを利用できるアクセスポイントの追加など、本体を快適に使用していただくための機能を自動で更新します。
自動更新は事前の告知なく、確認画面なども表示されません。自動で更新される内容は、任天堂 ホームページをご覧らんください。

自動更新について、事前告知や確認画面も無いというのがミソですね。
文科省でも著作権保護の観点から法改正が進められており、こちらはユーザーのダウンロードの法規制に踏み込むかどうかが焦点となっています。もしダウンロードが違法化された場合、3DSを覗けば履歴で違法行為の証拠が保存されてるわけですから、摘発し易い状況になるでしょう。今後の動きに注目したいと思います。