発売延期中のPS3ソフト「人喰い大鷲のトリコ」の人材募集が増える

電撃的に発表された3DS定価引下げによって、揺れに揺れた1週間。私もほんの2週間前に、2万円で買ったばかりでした。
SCEのPS VITAが発売される前に値引きがあるであろうという情報は、実は結構前からあったのですが、額までは分からず仕舞い。自分の情報分析では、5000円引下げの2万円というのがヨミだったのです。
ところが開けてびっくり。なんと1万円引下げという前代未聞の事態に。「やられた」(苦笑)と思いましたね。まさか1万円とは。
さて、当然PS VITAも対抗値下げを余儀なくされる形になりました。もちろんSCEも値下げについては予想していたはずです。しかしその幅を1万円と見ていたでしょうか? 私はやはり5000円までと予想していたのではないか、と思います。来るTGS、9月15日に発表されるであろう新価格に注目です。
 



7月28日に、SCEの公式ホームページが更新され、新たな人材募集が始まりました。

ソニーコンピュータエンタテイメント採用情報
2012RECRUIT

ゲームタイトルプロジェクトスタッフ募集中 
「人喰い大鷲のトリコ」製作チームスタッフ募集
http://www.scei.co.jp/saiyo/career/

 
「人喰い大鷲のトリコ」ページを見ると、その職種は実に多彩。

1.ゲームプランナー  ゲームプランニング全般 ステージ設計 仕様書の作成 実データ作成 管理全般
2.ゲーム制作プログラマ 描画(システム、シェーダー、エフェクト、ユーザインターフェース) モーション(システム、キャラクター制御) その他、ゲームプログラマーとしての豊富な実務経験をお持ちの方
3.モーションデザイナー キャラクターモーション エクスプレッションアニメーション リグ作成
4.グラフィックデザイナー キャラクターモデリング 背景モデリング
5.エフェクト/パーティクルデザイナー 専用ツールを使用したエフェクトの作成
6.ラインプロデューサー 制作進行 予算管理 プロデュース補佐
http://www.scei.co.jp/saiyo/career/wanda.html

過去の募集は以下のとおり。

1.ゲームプランナー ゲームプランニング全般、ステージ設計、仕様書の作成、実データ作成・管理全般*CG経験者優遇
2.アニメーター モーションデザイン、キャラクターセットアップ
3.アーティスト 背景デザイン、キャラクターモデリング、CG技術全般、UIデザイン全般
4.エフェクト/パーティクルデザイナー 専用ツールを使用したエフェクトの作成
http://web.archive.org/web/20090122221257/http://www.scei.co.jp/saiyo/career/wanda.html

増えてますね。しかも予算管理や制作進行が、新たに募集されるというのは、どういうことなのでしょうか? 今まで何を作ってたのでしょう?
その一端がうかがい知れる内容が、現在発売中のファミ通(7/28発売)に載ってました。

スペシャル対談企画」水口哲也(キューエンタテイミント)×上田文人ソニーコンピュータエンタテイメント)
 
上田「(前略)ところで水口さんは自分のイメージをチームのスタッフに伝えたいとき、どうしていますか?」
 
水口「僕がCoE(チャイルド オブ エデン)の開発で最初に行ったのは、頭の中に浮かんだイメージを、30ページくらいの「散文詩」にすることでした。僕はなるべくスタッフの想像力を最大限まで引き出したいので、ディテールにあまり書き込まない散文詩のスタイルにしました。それ(スタッフの想像力)に対して、ここをもっとこうしてほしいとか、こう変えてみようとか、こんなものを作ってみようとか、指示を出していきました。その作業を根気よく、延々と続けるのです。
イメージのパズルを、みんなで解きながら、作り上げていくという感じです。上田さんは、世界観のイメージをどうやって膨らませていますか?」
 
上田「これまでのパターンで言うと、僕のゲーム作りは映像化から始めます。まず絵コンテを描いて、それをもとに映像化するんです。これから作ろうとするゲームが完成し、その一部分を切り抜いてトレーラー映像にしたらこんな感じ、というものです」
 
水口「その映像を表現的な目標にしたいという意味を込め、ハードルを設けるんですか?」
 
上田「それもありますね。あとは「こういうシーンやシチュエーションを描きたいんだ」という、ゲームの細部まで最初に設計してから作るというよりは、自分の表現したいビジュアルの一部分をまず映像として表現して、そこからイメージを膨らませ、最終的なゲームに落とし込むという感じですね」

上田氏の、「まずトレーラーを作る」という作成法は、実は今のファイナルファンタジーチームの作成法と同じです。そのファイナルファンタジーチームも、似たような人材募集をかけているのが、面白いですね。

(中略) 
水口「上田さんはゲームのコアになる遊ぶの部分って、どうやって作っていますか? 僕の場合、たとえば「CoE」だったら、最初の試作版でビジュアルは最小限で抑えて、鳴っている楽曲が変化して、その楽曲がビジュアルに変化を与えていくという一連のシーンの作り込みを一生懸命やりました。このゲームの快感が、どこにあるかを探すためです」
 
上田「いまのビジュアルとはまったく違う絵を盛り込んで実験したのですか?」
 
水口「ええ。最低限のビジュアル要素は入っていますが、素うどんのようにシンプルな状態です(笑)。画面がそこまでリッチではなく、なんとなく遊んでいると、頭の中で補完しながら遊べるものです。
 
上田「なるほど。・・・ビジュアルではなく、ゲームデザインの根幹部分の組み立てかたについてですよね。うーん、僕はいったいどうやってたんですかね?(笑)」

昔「スーパーテレビ」― 激震!テレビゲーム業界にて、Rez製作中の水口氏とスタッフの苦闘が流されましたが、上田氏とは逆に、到達点を見せずにダメ出しをするせいで、スタッフが迷ってるシーンばかりが映ってました。対談の中で水口氏と上田氏は、「お互い似てるかも」と笑ってましたが、ゲームの根幹に関わるところを、スタッフにはっきり伝えてない点で、非常に似ている感じです。

上田「水口さんは、ゲームファンだけでなく、別の層のユーザーも取り込めるようなタイトルを作れる数少ないゲームデザイナーのひとりだと思うので、これまでと同じように、意欲的な作品を作り続けて欲しいです」
 
水口「ありがとうございます。僕は上田さんにスタジオジブリ宮崎駿さんを超えるような存在になってもらいたいです」

最後は握手をして終わった対談ですが、上田氏は「トリコ」の話を全くしていません。今回SCEの人材募集は、2012年版。「トリコ」はいったいいつ発売されることになるのでしょうか?