マジコン裁判:任天堂がフランスで逆転勝訴

世界中で猛威を振るったマジコン。世界各地で任天堂は裁判を起こしていますが、残念ながら勝訴ばかりではありませんでした。

任天堂、フランスのマジコン訴訟で負ける」2009年12月4日
 先週、任天堂がフランス6 件でマジコン6 件製造業者を訴えていた訴訟で敗北した。同国の判事は、マジコンは自作ゲームのプレイなど合法的な目的にも使えるとして、任天堂の訴えを退けた。また判事は、任天堂がDSでのマジコン6 件利用を禁止しようとするのは間違いであり、Windowsのように独立系開発者をサポートするべきだと述べたという。
 任天堂は最近スペインでも、マジコン業者に対する訴訟で敗北を喫している。同国の裁判所は、マジコンは合法的な使い方もできるため販売差し止めはできないとの判決を下している。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0912/10/news073.html

ヨーロッパで最も違法コピーゲームが氾濫しているフランスとスペインにおいて、任天堂は1審敗訴していたのです。
しかもこのフランスの裁判では、
・DSの開発を締め出すのは逆に違法
Windowsのように、開発者が自由に開発出来なければならない
任天堂の方が権利を侵害しているという驚きの判決でした。しかし任天堂はここから大逆転。控訴審でひっくり返しました。

「輸入および販売、頒布を行った5社に有罪判決」
任天堂フランスは2011年10月3日、“リンカー”と呼ばれる(そのほかの国では“R4”や“マジコン”などと呼称される)装置の輸入および販売、頒布を行ったDivineo SARL社および5社に対して有罪判決が下されたことを発表した。法廷は、罰金として46万ユーロ(日本円で約4750万円)以上、任天堂への損害賠償として480万ユーロ(日本円で約4億9500万円)以上、そして一部の被告に対しては、執行猶予付きの懲役刑が言い渡されたとのこと。
http://www.famitsu.com/news/201110/04051344.html

罰金だけでなく、任天堂への賠償金、実に約4億9500万円! その上、一部の被告には、執行猶予付きとはいえ、懲役刑まで出てしまったのですから半端ではありません。
これで違法判決は、オランダ、イギリス、ドイツ、イタリア、ベルギーと今回のフランスで6カ国。合法判決はスペインのみとなりました。スペインの控訴審に影響を与えるのは、必至の情勢と言えるでしょう。このまま欧州でマジコン違法化の流れが加速するのか、スペインが我が道を行くのか、続報を待ちたいと思います。
 
一方、日本では、12月1日により「改正不正競争防止法」が施行されます。

6月に改正された不正競争防止法では、DVDやBlu-rayなどに施している複製を防止する技術や、ゲーム機などに施している複製されたコンテンツを動作させない技術を無効化するプログラム・装置の提供に関する規制が強化された。
 具体的には、DVDビデオからの複製を可能にするリッピングソフトや、ニンテンドーDS海賊版ソフトを動作させるマジコンなど、技術的制限手段を回避するプログラム・装置を提供することに刑事罰が導入された。また、関税法も改正され、技術的制限手段を回避する装置・プログラムの輸出入は、税関における差止対象となった。
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20110928_480221.html

これまであくまで民事裁判に依っていたマジコンの取り締まりは、刑法化により警察のお仕事になります。もちろん捕まれば前科付き。5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金。これを併科することもできます。マジコンは数千円の価格ですから、全く割に合いません。
今のところ3DSのプロテクトは突破されておらず、3DS用マジコンは出ていません。
 
また、これとは別に著作権の改正検討を進んでいます。ダウンロード違法化は既に2010年1月に施行されていますが、刑事罰がありません。今後違法ダウンロードの流れが止らなければ、刑事罰導入の論議も現実味を帯びてくるでしょう。