アップルVSサムスン サムスンが連敗

トップページを巡る戦いで、アップルとグーグルの代理戦争となっているタブレットスマートフォン市場。
タブレット訴訟について、ドイツでアップル勝利(2011年9月9日)が出た後、今度はオーストラリアで第1審の結果が出ました。

「豪、サムスン製端末を販売禁止 アップルの請求に仮処分」2011年10月13日
オーストラリアの連邦裁判所は13日、韓国のサムスン電子製多機能端末「ギャラクシー10・1」が複数の特許を侵害しているとして、米アップルが求めていた同機種の販売差し止めの仮処分を認めた。ロイター通信が伝えた。
http://www.47news.jp/CN/201110/CN2011101301000355.html

9月に出たドイツの判決では、形状がそっくりと言う「デザイン権」の判決でした。しかしアップルが提出した資料が、iPADに合わせて縮尺を変えるなどしていたため、ヨーロッパ全土の販売禁止措置から、ドイツのみの禁止措置に切り替えられた経緯があります。
今回の裁判では、もっとずっと深刻な「特許侵害」の判決です。

当初アップルは7月28日、ギャラクシータブ10.1のが、アップルの特許5件を侵害したとして訴訟を起こした。しかし、特許3件は、審理過程でアップルが自ら撤回し、裁判所は三星電子が、「マルチタッチ」と「ヒューリスティックス」の2件のアップル特許を侵害したと認めた。(中略)
しかし、三星は、今回侵害の判決が出たタッチスクリーン関連技術を避けて製品を出す計画はないとしている。その代わり、アップルが根拠として示した特許自体を無効化する戦略を展開する計画だという。
http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2011101468338

判決に対しサムスン側は即日控訴を決めました。サムスンは代替技術で訴訟を回避するのではなく、アップルの特許無効化を目指すようです。これは「アップルの特許は、先行特許が別にあるため無効である」という主張です。必ずしも自分で技術を開発する必要はないので、戦いやすいと判断したのでしょうね。
 
さて、タブレットの訴訟合戦では、2連敗となったサムスンですが、スマートフォンでも同じく2連敗となりました。

サムスンのiPhone販売差し止め申請、オランダで棄却」2011年10月14日
ハーグ裁判所はiPhone・iPadがサムスン電子の3G(第3世代)通信標準特許4件を侵害したというサムスンの主張を棄却した。
裁判所は「アップルが使用したサムスンの技術は欧州通信標準研究所(ETSI)の規定上、標準化された‘必須特許技術”であり、誰にでもいわゆる‘公正で、合理的で、非差別的な(FRAND)方式’で提供する義務がある」と明らかにした。6月にサムスンが仮処分申請と同時に起こした本案訴訟は継続して進行される。
http://japanese.joins.com/article/649/144649.html?servcode=300§code=330

スマートフォンでは、オランダで8月24日に、タッチスクリーン上のページを指先で別のページに移す技術(フォトフリッキング技術)の特許侵害で、販売禁止の仮処分が出ていました。今回、アップルに対抗してサムスンが特許侵害の逆提訴を行いましたが、棄却となってしまったのですね。
訴訟の焦点は、サムスンの持つ「3G通信に関する特許」を侵害しているという主張でしたが、この技術をアップルは通信大手のクアルコム社から使用権を得ていました。そしてクアルコムサムスンから権利を購入して開発していたわけです。アップル的には、文句があるならクアルコムに言ってくれというわけで、裁判にはクアルコムサムスンの権利契約内容が示され、今回の棄却につながりました。
また、サムスンからアップルへ、使用権に関する交渉もあったようですが、それも市場より高価な権利契約だったようで、クアルコムとの契約内容が同様に威力を発したようです。裁判内容で、「公正で、合理的で、非差別的な(FRAND)方式」という言葉が使われているのは、ライバル会社に対して、不当に特許価格を吊り上げるマネはできないと判決されたことなります。通信技術の特許を保持していることが、サムスン側の強気な姿勢の根幹だったわけで、この判決は予想以上に痛いでしょう。
これでサムスンスマートフォンタブレットの両方で4連敗という結果になりました。
そして現在、総本山であるアメリカでも裁判が進行中です。今回の結果が、全く影響しないということは無いでしょう。2週間以内に出るという判決がどうなるのか、世界が注目しています。