オバマ、さっそく韓国に牙を剥く

米韓自由貿易協定(FTA)が、アメリカ議会が承認しました。日本でも乗り遅れるなとばかりに、TPP(環太平洋経済連携協定)への参加を検討しています。
どちらも関税を撤廃、または条件付削減をして、貿易を活発化させようというのが目的です。特に中国など物凄い関税を掛けて、自国の産業を守っている国などから、条件付き関税撤廃を引き出せれば、巨大な市場が花開くことでしょう。
が、問題は中国がどう動くかではなく、アメリカが何を狙っているかです。この問題で出てくるお題目である「例外なき貿易自由化」という言葉が、額面通りの意味とは限らないのですね。
以下の記事は中日新聞です。

「米韓大統領がGM工場視察」(2011年10月15日)
オバマ大統領は「協定で米国人7万人の雇用が確保される。韓国が製品輸出をするだけでなく、米国製品も買うようになる」と米国の利益を強調。李大統領は「オバマ大統領と私の頭にあるのは雇用(の確保)に尽きる」などと演説。従業員らから拍手を浴びた。
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2011101590111044.html?ref=rank

韓国とのFTAについて、オバマ大統領は盛んに「貿易の均衡」という言葉を用います。中日新聞で「米国製品も買うようになる」と断言していることが記事になっています。
韓国のニュースサイトでは、これがもっと突っ込んだ内容だったことがわかります。

オバマ大統領、「韓国、米国に売った分だけ買うのが均衡貿易」」
バラク・オバマ米国大統領は14日(現地時間)、米国を国賓訪問中の李明博(イ・ミョンバク)大統領と米国自動車産業の心臓部、ミシガン州デトロイトGM工場を訪問し、韓米自由貿易協定(FTA)を言及して、「韓国は米国に売った分だけ買う。これが均衡貿易」と強調した。
オバマ大統領はGMオリオン工場の米国勤労者に、「米国人が現代・起亜の自動車を買うなら、韓国人も米国で製造されたシボレー、フォードを買うべきだ」と強調した。
http://contents.innolife.net/news/list.php?ac_id=1&ai_id=139411

アメリカに売った分、韓国も輸入せよなんて、どう考えても不可能な話です。
そもそもFTAは関税の撤廃しか決めていないわけで、輸入の増減は純粋に消費者ニーズに委ねられたはずでした。ところがオバマ大統領の言葉は、量的な均衡が当然に求められると宣言しているのです。どんなに韓国でアメリカ車ブームが起きたとしても、国民の資力が違いすぎる以上、量的な均衡は韓国にとって圧倒的に不利です。最悪の場合、不均衡の是正を、韓国政府が税金を投入して補填するという信じられないような事態になるかもしれないのですね。
かつて1990年代に猛威を揮った「スーパー301条」というものがありました。アメリカが一方的に「不公正な貿易」と認定し、3年以内に改善されない場合は報復として高い関税が掛けられるというトンでもない法律です。ターゲットにされた日本は、取引として小麦や柑橘類の関税を引き下げ、輸入の達成目標まで科せられました。
オバマ大統領の言葉を総合すると、米韓自由貿易協定(FTA)とは、巨大なアメリカ市場と量的均衡を求められるというスーパー301条の逆転版ということになります。
当時の日本は、アメリカに工場を建設し、雇用を創出することで、なんとか乗り切りましたが、韓国はうまく乗り越えることが出来るでしょうか?
 
今、日本で話題となっているTPP(環太平洋経済連携協定)も、一番乗り気なのはアメリカです。「例外なき貿易自由化」というのは、アメリカの考える「例外なき貿易自由化」であって、対米黒字を出している貿易は、全て自由化の名の下にターゲットになる可能性があります。もちろん日本も対米貿易は黒字ですから、ターゲットに入っているのは間違いありません。
巨大市場を持つアメリカに、貿易で赤字を出す可能性なんて、アジア諸国にあるわけが無いのです。
もっともっと慎重に、アメリカがTPP(環太平洋経済連携協定)で何をしようとしているのか、研究した方がいいと思います。