SCEが再び債務超過へ 未来描けぬソニーに批判が集中

2010年4月1日をもって一度解散し、新しく生まれ変わったSCE。当ブログでも「SCE解散へ これから何が起こるのか考える」において、VITAの登場を予測し、これが成功しなければSCEは消滅することになると指摘しました。残念ながら26日付けで発表された決算公告によると、VITAは有効なビジネスモデルを構築できず、SCEは再び債務超過になってしまったようです。

売上高  5320億7000万円
営業損失 742億4700万円
経常損失 754億2900万円
純損失  943億7400万円
純資産合計△722億3800万円
http://kanpou.npb.go.jp/20120626/20120626g00138/pdf/20120626g001380148.pdf

債務超過722億円。前回の債務超過は、104億7200万円でしたから、なんと2年で7倍の金額に膨れ上がりました。
この他にも、1年以内の返済が迫っている流動負債が3000億円を突破しているなど、ぞっとするような決算数字が出ています。ソニーはこの状態に何か手立てを考えているのでしょうか?
 

ソニー株主総会で批判相次ぐ、社長は経営方針への理解求める」
平井氏は4月12日に発表した経営方針に沿って、(1)デジタルカメラ、携帯端末、ゲーム事業の強化、(2)テレビ事業の再建、(3)新興国の事業拡大、(4)医療事業の育成、(5)事業ポートフォリオ見直し――の5分野に重点領域として取り組むと説明。株主からは「具体的でない」との批判があったほか、より詳細な説明を求める株主もいたが、平井社長は「危機感を持って仕事をしている」「ユーザーに喜んでもらえる組織に変えた」と答えるにとどめた。

http://jp.reuters.com/article/jpMobile/idJPTYE85Q00S20120627

 
この質疑応答では、かなり怒号が飛び交っていたようで、これまでのソニーのおとなしい株主総会とは雰囲気が違ったようです。
 

男性株主「コンシューマー事業の業績が長年低迷している。さきほど、工程表の話もあったが、もっと具体的にどんな施策があるのか。『結果を見てください』だけでは何も分からない。決意表明ではなく、具体例を挙げてくれ」

 平井社長「具体的プロセスの説明には時間がかかるが、私が4月1日に就任して以来、会社の組織について改編を加えた。4月以前からも行っているが、これまである意味で、独立して商品企画をしてきたが、1つのソニーらしさを表現できない部分もあった。縦の事業本部メーンの商品企画から、横のネットワークの中で、ソニーらしさとは何か、全体で議論する組織を立ち上げている。今までよりも研究開発のテーマを3年後、5年後にどういうものができるかを精査している。研究開発が同じ方向を向くように組織を変えている」
http://www.sankeibiz.jp/business/news/120627/bsb1206271207007-n2.htm

「具体例を上げてくれ」という株主からの要求に、「ソニーらしさとは何か、全体で議論する組織を立ち上げている」という回答に、全てが集約されているでしょう。「ソニーらしさ」などという抽象的なものを議論する、しかもまだその組織を立ち上げている段階ということは、議論も始まってないことになるわけです。株主の要求は、「ソニーらしさ」の議論なんぞやってる時は過ぎたということだと思いますが、全く通じてません。これじゃあ、メディアの見方も厳しくなるわけです。
そんな中、SCE代表取締役会長だった平井氏が、会長を退任しました。

「役員人事のお知らせ」
退任
代表取締役 会長
平井 一夫
http://www.scei.co.jp/corporate/release/120625.html

なんというか、ヤバいSCEから距離を取ったように見えるのは穿ち過ぎなんでしょうか?
 
とにかくこのままでは、PS4なんぞ話題にする以前に、SCEがなくなってしまいます。なんとかVITAのビジネスモデルの再構築が必要でしょうね。