コンプガチャショックから2年。ソーシャルゲーム業界はどう変わったか

コンプガチャショックから、ちょうど2年が過ぎたソーシャルゲーム。なんだかんだといろいろありました。
当時のことを振り返りつつ、先週相次いで発表された最新決算を見ていきたいと思います。
 
■激変したソーシャル業界
ゴールデンウイーク真っ只中から、読売新聞のスクープから始まったコンプガチャショック。インプレス「ケータイWatch」の津田 啓夢記者の誤報騒ぎなどもありました。
ちなみに事件を起こした津田記者は、その後11年も勤めたインプレスを退社する破目になり、今ではネットニュースの「Engadget」の記者となっております。まぁ、津田記者の記事が出た後、誤報を信じて、時間外でグリーの株を買い占めた方もいらっしゃったわけで、彼らの財産は、数百万。下手すると1千万単位で吹っ飛んでしまった計算になります。被害者がいるということからも、インプレス退社はやむなしと言えるのではないでしょうか。
 
さて、2012年のグリーとDeNAの決算数字はどうだったと思いますか? コンプガチャで荒稼ぎしてただけに、凄まじい数字が出ています。

営業利益 2012 2014 下落率
グリー 245億4900万円 99億5000万円 -59.5%
DeNA 182億円 97億円 -46.7%

 
グリーは半減どころか6割減という凄まじい数字です。ちなみに2012年の利益率は50%を突破するという、とんでもないものでありました。如何にコンプガチャが暴利を生み出していたかわかります。
問題は下げ止まらない課金収入ですね。
 

課金売上 2012 2014 下落率
グリー 428億8200万円 290億7000万円 -32.2%
DeNA 583億円 436億円 -25.2%

スマートフォンの移行と共に、そのままユーザーが逃げてしまう展開が続いています。最初はグリーに顕著に影響が出ていたのですが、ここに来てDeNAにも影響が出始めています。
 
■グリーとDeNAの業績悪化競争 DeNAが前年同期比61.7%減で圧勝

DeNAは年初来安値を更新、第1四半期業績見通しが市場予想を大幅に下振れ」
DeNAは大幅安となり、年初来安値を大きく更新している。先週末に決算を発表、前期営業利益実績は532億円で前期比31%減益、第3四半期決算時に示した水準での着地となった。
http://news.mynavi.jp/news/2014/05/12/153/

「グリー:今第3四半期の純利益は36%減、国内売上が減少」
売上高は同14%減の990億円、営業利益は同29%減の288億円、経常利益は同31%減の302億円だった。
http://www.sakurafinancialnews.com/news/3632/20140508_8

両社とも、未だに二桁の業績悪化が続いており、株価が年初以来最低を記録しました。
しかし特に酷いのが業績予想です。そうそう、ようやくグリーが決算見込みを出したんですね。まぁ、あと1ヶ月先の予想ですけど。

DeNA急落、時価総額2000億円割れ グリーが上回る」
DeNAが9日発表した前期決算は軒並み約30%の大幅減益だったが、4〜6月期は営業益が前年同期から61.7%減となるなどの弱気な見通しを示したことが投資家を失望させ、12日は大幅に下落していた。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1405/13/news109.html

グリーが8日に発表した2014年6月期第3四半期の純利益は前年同期比36%減の145億円だった。国内市場において売上高が減少したことが影響した。
なお、同社はこれまで未定としていた通期連結業績予想を発表。売上高は前年同期比15%減の1290億円、営業利益は同22%減の380億円、経常利益は同26%減の393億円、純利益は同11%減の200億円を見込んでいる。
http://www.sakurafinancialnews.com/news/3632/20140508_8

DeNAの前期比約6割減は、とんでもない数字です。バブルが弾けたとか、サブプライムローンで債権が紙クズになったとかでなく、本業でいきなり6割減とか普通は考えられません。なにがDeNAに起きているのでしょうか?
もちろん、グリーも良くなっているわけではありません。DeNAが悪過ぎて、相対的に傷が浅いように見えるだけです。人件費を削ったことで、短期的なコスト改善が行われるのは、どの業種でも同じなわけで、この先大きな改善が無ければ、ジリ貧となっていくだけです。
ソーシャルゲームメーカーの両雄がどうなるのか、海外の動向も含めて注目しています。