「ひょっとして自分が孤立してる?」 ついに気付いた韓国

前回「韓国衝撃の3連発」を取り上げました。
韓国は「北東アジアで最も孤立している国同士の合意」 などと高官が発言して、事態を矮小化しようとして失敗。そしてアメリカと共同で日本に対する非難を打ち上げようとしたんですが、逆に在韓米軍へのミサイル配備の発言をされて藪蛇になりました。
そのうえ、中国がベトナム漁船を沈めるなど、東アジア各国が対中戦略を先鋭化させるなど、状況変化も激しくなってきています。
韓国はこれまで、北朝鮮問題や中国経済依存から、中国重視を強めてきました。しかし、その路線が、自身の孤立化につながっていることに、ようやく気付いたようです。

「【コラム】外交・安保は知恵のゲーム」中央日報2014/06/10
外交や安保は結局「知恵のゲーム」なのだろう。韓国の国益に役立つならば、たとえ敵でも握 手ぐらいは簡単にできなければならない。目的は明らかだ。北朝鮮を対話のテーブルに引き出し、究極的には核を放棄させることだ。経済・安保の面で韓国の核 心パートナーである日本との関係は、速やかに正常化しなければならない。
今、韓国が前向きな行動に出なければ、朴槿恵政権は残りの任期を対北朝鮮関係においてずっ と何の成果も得られない境遇を避けられない可能性もある。日本と北朝鮮ではなく、むしろ韓国が、自分たちの知らない間に東アジアの外交舞台で孤立していきつつあるのではないか、深刻に悩むべきだろう。
http://japanese.joins.com/article/286/186286.html?servcode=100§code=120

 笑顔も向けられない朴大統領に握手ができるのか、という素朴な疑問も浮かびますが、事態の変化にとまどう韓国の姿が垣間見えます。
 韓国はここ数年、アメリカと中国の両大国から「必要とされる国」という野望が実現されてきたと思っていました。しかし、実は両大国がちっとも韓国を重要視していない事実にぶち当たり、それどころか孤立の道が目の前に迫っている状況に混乱しています。
 そしてもう一つ、韓国を取り巻く状況変化に気付き始めました。中国経済の変調です。
 
■中国への輸出が一気にマイナスに

「中国の5月の輸入、予想外の急減…韓国製品が日本製品より大幅減少」中央日報2014/06/09
中国関税庁の海関総署は8日、「5月の1カ月間、韓国産の輸入は5.2%減少した」と発表 した。オランダ産(−17.3%)、南アフリカ産(−11.4%)、東南アジア産(−5.4%)に次いで減少率が大きい。鉄鉱石や石炭など豪州産と同じ減 少率となった。さらに領土紛争などで中国内の反日感情の影響を受けた日本産の輸入(−1.1)より大きく減った。

http://japanese.joins.com/article/232/186232.html?servcode=300§code=300

今頃、「予想外」とか言ってて大丈夫なんでしょうか。しかも、日本より減ってしまっています。
もともと韓国では、中国経済破綻を「悲観論」として、軽んじてきました。まぁ、確かに中国はアメリカの国債だけでとんでもない金額を所有しており、現金化するだけでアメリカがデフォルトすると言われるほどなんですね。経済も自由経済ではありませんから、いくらでも無茶をすることが可能です。ただ、シャドーバンキングの拡大で計画経済の枠をはずれた資金が飛び交っており、それに火がついているんですね。
韓国は「中国政府がなんとかするだろう」と思っていたわけですが、その「なんとかする」に、経済面での「韓国切り」があるとは思っていませんでした。でも、経済に変調が起きたら、まず輸入に調整が入るわけで、当然中国が一番のお得意さんとなっている韓国への影響が顕著になるわけです。
 

「【コラム】中国経済があやしい」中央日報2014/06/10
これまで韓国経済に有利に作用した中国が、これからは韓国経済の足を引っ張る恐れがあるという危機意識を持たなければならない。韓国企業は中国のリスク要因が現実化する場合に備えるべきで、長期的には中国経済構造改革方向と経済成長率鈍化に 対応する戦略をまとめなければならない。一方、中国内需市場拡大、人口構造変化、都市化促進とサービス産業の成長などは韓国に機会要因にもなる。中国の変 化は韓国に大きなリスクでありチャンスだ。
http://japanese.joins.com/article/290/186290.html?servcode=100§code=120

まだ「危機意識を持つ」レベルと思ってるのも凄いですが。
北朝鮮への対応という政治的理由と、中国市場への輸出依存という経済的理由の2つが、韓国を過剰なまでの中国寄りに、傾かせてきました。
それが日朝会談進展と、中国経済失速により、同時に破綻しつつあります。
特に、アジア圏での突出した経済力を持ったという自負が、日本に対する過剰な言動を担保していたわけです。中国の煽りを食らってそれが危機になれば、日本への強気の姿勢が保てません。どうにもならなくなる前に、日本との関係を改善すべしという意見が、頻繁に韓国マスコミから流れるようになった背景です。
 
■韓国不動産市場も崩壊の波が

「在米韓国人が韓国の不動産を相次ぎ処分」朝鮮日報2014/06/09
「早く売ってほしいという要望が多いが、購入者が見つからない」
ソウル・江南地区で5年以上、不動産投資専門会社を経営しているキムさん(46)は「今年に入り、在米韓国人の資産家たちから処分の依頼を受けた韓国国内の不動産は、江南エリアの中古マンションや小規模ビルなど10件に上る」と述べた。実際に年初から4月末までの外国人による不動産取引は796件で、1年前(2730件)の30%水準まで減少した。
ウォンの対ドル相場が、昨年6月の1ドル=1160ウォンから1年で1ドル=1020ウォンへと12%もウォン高になったのも負担になっている。新韓銀行清潭駅支店のコ・ジュンソク支店長は「外国人にとっては、何もせずに資産価値が10%以上下落し、新しいビルの購入費用はかさむという結果になっている」と指摘した。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/06/09/2014060900758.html

在米韓国人の不動産取引が、なんと7割も下落したというのです。ウォン高がこんなところに影響していたのですね。
そして問題は、「購入者が見つからない」という点です。韓国にも日本のような不動産神話がありました。常に不動産価格は上がり続けると信じられ、「チョンセ」という財産価値の7割ほどの保証金を払えば、家賃を払わなくて良いというシステムがあったほどです。
 
この「チョンセ」、退去すれば保証金が全額戻ってくるという凄い制度です。家賃は払わず、保証金は返ってくる。では家主は何もいいところが無いように思えますが、この保証金を運用するんですね。簡単に言うと、銀行に預けるか、また物件を買う。退去期限が来たら物件を売り、差額が収入になるわけです。しかし当然のことながら、銀行の高利息や不動産価格が常に高くならないと、このシステムは機能しません。なぜこんな不思議なシステムが韓国に普通にあったのかと言いますと、銀行の個人融資が全く制度化されていなかったからだと言われております。
(居住者が居座るからだ、などという説が一時飛び交ってましたが、大きな間違いです。なにしろ韓国には日本の「借地借家法」にあたる法律が無く、借家人の権利なんて存在しません。来月から家賃上げるからと言うのも、来月から出て行ってと言うのも、通知一発で抵抗できないのです。)
 
3年ほど前から、韓国の不動産市場は低迷を始め、不動産神話崩壊が囁かれるようになりました。しかし今回のウォン高によって、韓国不動産を支えていた最後の砦、在米韓国人が撤退し、ついに引き金を引いたかもしれません。
不動産価格の暴落は、当然のことながら経済を直撃します。中国と韓国で同時にそんなことが起きると、日本を始めアジア各国はとんでもない打撃を被るでしょう。
政治的、経済的の両方から、韓国が大局を見て、中国依存路線から回帰できるのか、日本にとっても重要な局面を迎えています。