慰安婦問題 自信を見せる韓国 英語表記で負ける日本

朝日新聞慰安婦問題の初報を撤回しました。日本的には慰安婦問題での大きな転換点と言えますが、これで韓国や海外の反応に変化は来るでしょうか?
韓国は来年末を目途に「慰安婦白書」を発行し、新たな証拠を載せて海外に大きなアピールをするとしています。いまさら新たな証拠を出せるかと言うと、まず無理でしょう。出せるのなら、もうとっくに出してますよね。
しかし韓国側は自信満々です。理由は簡単。新たな証拠なんてなくても、勝てる方法を見つけたからです。実際、アメリカではどんどん韓国側の主張が通っています。
なぜ、勝てるのか? その仕組みがようやくわかってきました。
 

「韓国、「慰安婦白書」の作成へ “旧日本軍の性奴隷”と韓国紙は世界にアピール」
朝鮮日報日本語版の記事では、「旧日本軍の慰安婦問題についての白書」と、他の日本国内メディアと同様の言葉で報じている。これが英語版となると、 「第2次世界大戦中に日本帝国陸軍によって強制的に性的奴隷にされた女性たちに関する白書」となる。コリア・タイムズ紙も、ウォール・ストリート・ジャー ナル紙のブログ「韓国リアルタイム」の韓国人記者が書いた英語記事も、ほぼ全く同じ表現だ。
 河野談話については、コリア・タイムズ紙は「日本の河野洋平・元内閣官房長官が、日本軍が第2次世界大戦中に韓国人の若い女性を強制的に性的奴隷化したと認めた」ものだとする。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「日本軍の慰安所で強制的に働かされた女性に対する、1993年の画期的な謝罪」 と説明する。
http://newsphere.jp/world-report/20140805-3/

慰安婦は英語表記で「comfort woman」と書きます。しかし韓国はそう書きません。昔は書いてましたが、今は書かないのです。じゃあなんて書くのか。「sex slave」または「sexual slavery」と書くんですね。 日本語だと文字通り「性奴隷」です。

「White paper will detail suffering of sex slaves」(コリアタイムズ 2014/08/03)
http://koreatimes.co.kr/www/news/nation/2014/08/113_162235.html

しかしご存知の通り、慰安所で兵士たちは慰安婦に金銭を支払いました。つまり軍が組織した娼館で働く人というのが、実態であります。スマラン事件など、強制して行われた事件も確認できますが、ほとんどはブローカーに手配させて人を集めました。
でも、そういう背景は、「sex slave」または「sexual slavery」という表記になった途端、吹っ飛んでしまいます。
 
■性奴隷事件に飽き飽きしてる欧米諸国
日本でもこんな事件がありました。

「監禁女児を「妻です」と説明」
19日夜に捜査員が自宅に踏み込み、洋間に女児と一緒にいた藤原容疑者を監禁容疑で現行犯逮捕した。捜査員が洋間に突入した際、藤原容疑者は女児のことを「妻です」と言い逃れようとしたという。
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20140722-1338539.html

この事件を見たほとんどの人が、「アホないい訳してんじゃない」と思ったことでしょう。海外のこうした事件に登場するのが「sex slave」または「sexual slavery」という単語なのです。日本の何倍も起きている監禁事件や誘拐事件に、欧米諸国はうんざりしています。
慰安婦問題が「sex slave」または「sexual slavery」と表記されると、上記の事件と同列になってしまいます。その結果、「妻です」の所が、「組織された娼館で働く娼婦です」と言ってる状態になっているのです。反応は上記の記事を見た我々と一緒。「アホないい訳してんじゃない」です。
だから、「人集めを依頼したブローカーが、脅しや虚偽の話を行った可能性はあるが、現在のところ証拠がみつかってなく、うんぬんかんぬん」と説明しても、具にもつかない言い訳を延々しているようにしか見えないわけです。
 
■まず「comfort woman」と「sex slave」の違いをアピールすべき
慰安婦を「sex slave」と表記される限り、欧米での理解は絶対得られません。「sex slave」=「犯罪」だからです。問答無用で背景とか歴史的経緯とかは、どうでも良くなってしまいます。「でも犯罪であることは確定でしょ」で終わってしまうのです。
現在、日本側はこの2つの言葉の混同による威力を認識できずに、敗北を重ねています。この現状を打開するには、「慰安婦」と「性奴隷」が違うという、以下のような点をまず海外に示す必要があるでしょう。
1 金銭授受があった。
2 ほとんどブローカーが手配した。
 
1の「金銭授受があった」を、簡単に「売春婦だ」と言ってしまうと、これまた問題が起きたりするので厄介です。欧米で「あいつは売春婦だ」というセリフは、女性蔑視の悪口の代表格ですから、「戦争被害者を売春婦呼ばわりした」というだけで、信用を失います。それより「金銭授受がある『業務』だった」と言うと、明らかに意味が違ってきます。少なくとも海外ではそういう実態を、「性奴隷」とは言いません。
2は、「全て軍が強制した」という点の誤解を解くものです。でも難しい問題です。なにしろ「自主的な娼婦はまずいない」という現実があります。
ただ、「借金や口減らしで吉原に売られる少女」の物語は、水戸黄門にすらあるほど、昔から「よくある話」なわけで、海外にもたくさん例が存在します。そう言えば、「日本への出稼ぎを手配すると言われたのに、実際は日本の風俗に行かされた」なんていう韓国や中国女性の話は、平成になってからもありましたよね。こうしたブローカーは、黒社会の人間と相場が決まっています。実際、日本の暴力団と連携していたなんて報道も過去にありました。今も昔もこういうブローカーが、まともな手配をするわけがないので、慰安所設置においても、不幸な事例が多々あったことは間違いないでしょう。
ただ、少なくとも「ほとんどブローカーが手配した」となれば、責任問題とは別に、強制という面で様々な事例があったということになり、これまた単純な「性奴隷」とは違ってきます。
 
■なにがどうなっても解決しない慰安婦問題
責任という話では、ブローカーだけに押し付けるわけにはいかないでしょう。「騙されて慰安所に連れてこられた上に、乱暴な扱いに遭い、性病にかかり、自殺した」なんて最悪の事例もあったかもしれません。日本に責任がないと開き直るわけにはいかない問題です。
が、たとえ日本政府が謝罪し、賠償金を支払った場合でも、慰安婦問題は解決しない可能性が高いのです。
現在、韓国は中国傾斜を強めており、その理由に慰安婦問題を使っています。韓国は中国傾斜をやめるつもりはサラサラ無いですから、慰安婦問題で日本が何をしようと、解決を認めるわけがありません。
韓国では、「日本を叩くため」という目的と手段が逆転現象を起こすことが多々あり、その材料として慰安婦問題は利用されてしまっています。日本はその策動に乗るわけにはいかず、やはり解決できません。
韓国は「sex slave」の使用で、事実でなく政治的勝利を目指しています。このままいけば、韓国は慰安婦問題で勝利するでしょう。日本が巻き返せるのか注目したいと思います。