DMMによる「はちま起稿」買収&売却問題 未だ残る大いなる矛盾

ITmedia系「ねとらぼ」の追跡調査によって、キュレーションサイトの「はちま起稿」の実態が明らかになり、物議をかもしています。
「はちま起稿」と言えば、当ブログでも過去に問題を指摘してきた悪質な「まとめサイト」の一番手です。(大手ゲームブログ「はちま起稿」が、広告企業サイトと判明して大騒ぎに
この「はちま起稿」について、DMM社がプレスリリースを打ったことで、事態が急変しました。

「Webメディア「はちま起稿」サービス運営・事業譲渡に関するお知らせ」
株式会社DMM.comは、Webメディア「はちま起稿」を2016年1月に買収いたしましたが、同年10月に他社への売却を決定し、現在は完了しております。
なお、譲渡先は以下の企業になります。
株式会社インサイト(東京都渋谷区道玄坂1-20-8 寿パークビル4F)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001752.000002581.html

「そもそも売買って何だよ」って普通の人は思うに違いないですね。
これまで、「はちま起稿」は、まがりなりにも「個人ブログ」の体裁を取っていたため、商業メディアや個人メディアの勝手な転載(引用の程度を超えた丸パクリ状態)、悪質な読み替えやそれさえ超えた単なるデマの拡散、一方的な叩きを目的とした偏向記事の連発などが、黙認されてきたわけです。
それが売買対象となる「Webメディア」であるということや、オンラインビジネス大手のDMM社が買収して運営していたということになるわけで、「売り飛ばしたから、もう終わり」というわけにはいきません。
 
■会長のインタビューは本当か

「はちま起稿買収問題、DMM.com亀山敬司会長が経緯を語る」2016/12/30
亀山:何度も確認したが、運営自体は管理人の清水鉄平が自分の集めたライターと記事を作っていて、DMM社員は関わっていないと聞いている。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20161230-00066087/

会長はDMM社員が関わっていないと言及し、プレス発表も「10月に売却済み」としています。
がしかし、そもそもの発端である「ねとらぼ」の記事では、DMM社内に「はちま起稿」の管理人「清水鉄平」氏の座席が存在したとしているのです。

「清水氏にはただ『はちま起稿』を運営するだけでなく、今後DMM.comのゲーム事業全般(DMM GAMESの自社タイトルや、DMM.comがスポンサードしている各社ゲームタイトル、DMMプラットフォームにおけるゲームの配信など)にも広く関わっていってほしいという意図があったようです」と関係者。また、社内に清水氏の座席があることも確認済みです。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1612/28/news105_2.html

ちなみに前述の座席表についてですが、編集部が川端氏に問い合わせを行ったその日(12月16日)のうちに、清水鉄平氏の名前が消されたことも確認しています。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1612/28/news105_3.html

12月の時点でDMM社内に自席があったにも関わらず、10月に売却したとはどういうことか。社員は関わってないも何も、席があったらそもそも「はちま起稿」の管理人がDMM社員じゃないのか。上記の引用の中で出てくる「DMM社の川端氏」とは、DMM社のマーケティング本部長であります。「はちま起稿」の管理人は、そのマーケティング本部長の隣の席だったわけで、隣に座っていた人間のことを、「知らない」で済むのか。ねとらぼが指摘するように「隠蔽」の匂いがします。
 
■このまま幕引きはありえない
ステルスマーケティング疑惑としても、DMM社が「はちま起稿」を所有していた期間に、DMM社の不利な記事を極端に小さく取り上げ、ライバル企業の不利な記事を大きく取り上げるといった、情報操作を狙ったような動きがありました。オンラインビジネス大手のDMM社が、そういうことを行って良いのか。普通にやったら、公正取引委員会から突っ込まれるような案件も、インターネット上だと問題にされないということになるわけで、これを放置すれば、いずれ公的機関の規制を受け入れることになることになります。ねとらぼが追跡しなければ、この問題は明らかにならなかった可能性がある以上、プレス発表ひとつで終わりにはできない問題であります。

亀山:調査結果を待って、責任はすべて私が引き受ける。

どう責任を取るのか、注目しています。