「なぜ、こんなことに!」 悲鳴を上げる韓国が認めない不都合な真実

大統領の弾劾決議が出され、国政が停止状態の韓国。年の初めから、関係国との激しいプレッシャーにさらされています。

韓国外交が新年早々から四面楚歌に追い込まれた。想像だにしなかったドナルド・トランプ米政権の登場と、朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾事態で右往左往する間に、少女像とTHAAD問題で、日本と中国の両方から攻撃を受けている。四方を見回しても助けてくれる友好国が見つからない孤立無援のうえに、危機を主体的に突破できる内的能力もない惨憺たる状況だ。
http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/26220.html

孤立無援になっているのには、もちろんちゃんとした原因があります。
 
■「二股外交」の破綻がそもそもの原因

【コラム】二股外交 (朝鮮日報 2013/04/07)

今、韓国が進むべき道は「二股外交」であり「洗練された中堅国外交」だ。東アジア研究院のハ・ヨンソン理事長(元ソウル大教授)は昨年末、東亜日報の対談記事で「韓国は米国と中国の協力と対立という二重構造の中に置かれている。このため、韓国が二股外交を繰り広げたからといって問題にはならない」と主張した。

んなわけあるか! って日本人なら誰でも思うこの不思議思考。当時の韓国人は、本気で実現できると信じ、朴大統領を絶賛しました。なんだって「二股」なんてものがウマクいくと思ったんでしょうか。今の日本なら多分「下種外交」って呼んだでしょうね。「下種外交」って言ってたら、成功なんて皆無だと韓国にもわかったのでしょうか?
 
さてその「二股外交」の破綻の一番の原因は、なんと言っても、2015年9月3日、中国の戦勝節行事に朴大統領が参列したことです。今ではなんでも朴大統領の実績を否定している韓国社会ですが、当時はマスコミも国民も大絶賛でした。

最近の世論調査で、中国の戦勝節行事に朴槿恵(パク・クネ)大統領が参加しなければならない(51.8%)が、参加してはならない(20.6%)より二倍以上多かった。政治指向別に見ても、保守層(参加64.0% vs 不参加23.1%)が、進歩層(40.8% vs 24.3%)よりはるかに高く出てきた。
もちろん米国は残念に思うだろう。 だが、抗日闘争での韓中両国共通の歴史経験を名分として掲げれば、米国もむやみに反対はできないだろう。
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/21594.html

しかし、この選択は大失敗。アメリカからはマスコミの前で釘を刺され、中国とのホットラインは全く機能せず。(「ホットライン がつながらない!」 中国の冷たい対応に焦る韓国
当たり前ですわね。そもそも北朝鮮を支援しているのが、中国です。それなのに「習主席の席に、北朝鮮代表より近かった!」「これで中国は、北朝鮮より韓国の方を大事にしてくれる!」と大喜びしたのですから、どんだけ分析が甘いかわかろうと言うものです。結局、中国に無視されて、なくなく日米両国との関係修復に乗り出すことになりました。
 
■THAADは、米韓関係修復の手土産
で、「アメリカさんごめんなさい」とばかりに「終末段階・高高度防空ミサイル(THAAD)」配備を決定したわけです。アメリカの警告を散々無視して中国傾斜を強めてきた代償を払うには、懸案のTHAADを認めるより他になかったんですね。もちろん中国から見れば裏切りです。
しかし、当時の韓国側の分析は甘く、「THAADで中国側への圧力をかけよう」などと言うトンチンカンな主張が出たりしていました。当ブログでもその甘い認識を記事にしています。(韓国の危険な『火遊び外交』 中国は黙っていないはず

「THAAD:韓国外交筋「中国の不満は韓国ではなく米国」朝鮮日報2016/02/17

外交消息筋は「THAADに対する中国の不満は、韓国ではなく米国に向かっている。韓中関係を犠牲にしてまでTHAAD問題にこだわらないという考えだ」と述べた。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/02/17/2016021701375.html

時系列で見ていると、韓国側の情報分析の凄まじい甘さに、仰け反ってしまいます。しかも実際に中国の報復が始まったら、今度はTHAAD設置決定撤回の大合唱が大統領候補者に始まっているのです。とはいえ、さすがにマスコミ各社は、現在の大統領候補者のTHAAD反対大合唱に危惧を示しています。
問題は、国民がわかっていないことです。自分たちが中国傾斜をした代償を払う必要があるなどと、露ほども考えていません。その近視眼的な世論がそもそも二股外交の失敗を招いたのではないでしょうか。朴大統領に責任の全てを押し付けて、それで万事解決という考えは、やはり分析の甘い韓国政治そのままであります。
 
従軍慰安婦合意における不都合な真実を直視しない韓国
2015年12月28日に電撃的合意をした従軍慰安婦問題。1年経って、撤回しろの大合唱が続いていますが、この合意も日米関係修復の一環であることは明らかです。要するに韓国の中国傾斜問題の代償の一環ですね。THAAD設置の拒否理由に、韓国は長らく従軍慰安婦問題を挙げてましたから、THAAD設置を表明するなら、従軍慰安婦問題も解決せざるをえなくなったわけです。ですから「合意見直しをすればいい」などというレベルの問題ではありません。
 
そして、この従軍慰安婦合意で、韓国が直視しない現実があります。

「10億円は少女像撤去の対価」は偽り…慰安婦被害者の傷を癒やすため(2)」中央日報 2017年01月10日
和解・癒やし財団によると、12・28合意当時、生存者46人を基準に受領の意思を明らかにした被害者は34人だった。現在まで31人に対して1億ウォンずつ支給を完了した。亡くなった被害者は199人であり、うち35人が現金受領意思を表した。
http://japanese.joins.com/article/481/224481.html

46人中34人が金額受取意思を表明し、31人が既に支給を受けているという事実です。34人ということは約74%。既に受領した人になると約67%。要するに約7割の従軍慰安婦が、「合意による金額受取を受け入れた」ということなのです。
しかし、韓国の報道は、まるで従軍慰安婦全員が合意に反対しているかのように報道します。大統領候補全員が合意見直しを公約にしているのも特徴です。

「誰が次期大統領でも慰安婦合意見直し? 潘氏も再協議に含み」朝鮮日報 2017/01/13
次期大統領選候補に関する最近の世論調査で支持率トップの共に民主党文在寅ムン・ジェイン)前代表は11日、(中略)合意は日本から公式の謝罪がなく10億円の資金を受け取っただけと断じた上で「到底受け入れられず、無効だ。合意をやり直さなければならない」と主張した。
潘基文(バン・ギムン)前国連事務総長も再協議を念頭に置いているとの観測が出ている。「(今回に限らず)両国間の合意があった場合には私はいつも協議を通じた合意を歓迎し、労をねぎらってきた」と述べ、「誤解があるようだ」と含みを持たせた。
第2野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)前代表はこのほど「慰安婦合意は大統領の独断と政府が引き起こした外交上の惨事であり、被害者の意思を無視して強行した」
朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長は自身のフェイスブックに「政府は屈辱的な韓日合意を無効にし、被害者を欺瞞(ぎまん)するうわべだけの「和解・癒やし財団」を解体して、すべてを原点からやり直さなければならない」と強調した。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/01/13/2017011302732.html

「被害者の意思を無視」とか「被害者を欺瞞(ぎまん)」とか、『金額を受領した7割の意思を無視している』ということに気付かないのでしょうか。彼らの言う「被害者」とは誰のことなのか。どうも発言をまとめていると、受領しなかった残り3割の慰安婦の言葉を代弁しているのではなく、「韓国民全体」にまで広がっている様子が伺えるのですが。
さすがに合意を行った韓国外交部は、ここまで無茶な発言はしていません。

「12・28合意の主役ユン長官「ハルモニたちが感謝している」と歪曲繰り返す」ハンギョレ2017.01.10
ユン長官は「(生存)被害者ハルモニの4分の3程度が(12・28合意をした)政府の努力を評価しており、また、生きている間に安倍が謝罪・反省して日本政府の拠出金を受け取れることになったことについて、口々にありがたいと仰っている」と主張した。
キム・ボクドン、キル・ウォンオク、イ・ヨンスさんらの激しい反対には目を瞑り、日本政府が「決して賠償金や補償金ではない」と発表した10億円を受け取る意向を明らかにした34人のハルモニたちを“12・28合意の支持者”に仕立て上げる「我田引水」式の自画自賛である。
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/26195.html

ハンギョレは「歪曲」と言っていますが、これこそ韓国マスコミや韓国国民が直視しなければならない真実であります。ハンギョレは「34人のハルモニたちを“12・28合意の支持者”に仕立て上げる」とまで書いてますが、合意支持者じゃなきゃ、彼女らはいったい何だと言うのか。
もちろん、「喜んで合意を受け入れた人たち」とまでは言いませんよ。でも、妥協はあろうと「合意を受け入れた」事実は変わらないわけで、その人数が7割を超えるということを無視するのは、それこそ「歪曲」と言えるでしょう。
 
■ウイーン条約がなぜか理解できない韓国の人々
「歪曲」と厳しく追求するハンギョレも、「慰安婦像がウイーン条約違反」という指摘に対しては、全く論評していません。韓国国民の反応を見ても、「市民団体が置いた物は撤去できない」といった不思議な発言が目立ちます。ウイーン条約や、韓国の国内法でも違法建造物に当たるものが、法的に処理できないというのは、法治国家として体をなしていないとは思わないのでしょうか。
「外交合意違反」、「国際条約違反」、「国内法違反」と言った指摘そのものに、全く頓着しない様は、日本人として非常に理解しがたいものがあります。
 
とにかく日本が大使召還などの措置により、外交的警告に踏み切ったことは確かです。次にもし実力行使をする場合は、どんな手になるでしょうか?
韓国国内の反日傾向の悪化として、外務省の海外安全情報の危険レベル上昇ですかね? 今レベル0ですから最高のレベル4まで、いくつか手が残されています。今年のアジア情勢に注目です。