反日親北政権が生まれる韓国 従軍慰安婦合意破棄にどう対応すべき?

来る新韓国大統領選出の選挙は、保守壊滅の様相が既に見えています。有力な候補者は濃度の差はあれ、全員「反日親北」を掲げる政治家です。特に人気一番手と二番手が実にわかり易い「反日」でして、対韓交渉の困難さが火を見るより明らかとなっています。
こういう展開ですと、「とっと国交断絶してしまえ」と言う人もいるのですが、私はそれには反対です。外交断絶とは、これまで結ばれた条約や協定の効力も停止するということです。たとえば漁業協定が停止すれば、「韓国は日本の領海で漁業できなくて困る」のではありません。起きるのは全くその逆。2014年の「中国漁船赤サンゴ密漁事件」のような無法状態が帰ってくるのです。過去に韓国漁船による排他的経済水域での密漁が頻発したからこそ、協定を結んで韓国政府に、漁業をコントロールさせることになったのです。国交断絶とは「韓国政府に責任を取らない免罪符を与える」ことです。彼らにそんな楽をさせてはいけないのです。
じゃあ、どうすればいいのか? それを考察していきたいと思います。
 
■「従軍慰安婦合意」が風化する未来も

文在寅大統領選挙キャンプに合流した保坂教授「韓日慰安婦合意、いくらでも再協議可能」」
保坂教授は23日、ソウル汝矣島(ヨイド)の文在寅キャンプで行われた要人招へい記者会見で「日本も1993年の河野談話を検証し、事実上、無効にした」としながら、2015年12月28日の韓日慰安婦合意の再協議の可能性を提言した。
http://japanese.joins.com/article/146/226146.html

保坂教授がどこまで本気かは不明ですが、最も次の韓国大統領に近い人物のブレーンに、こんな思考の人が入るわけで、それなりに大きい影響があるのは間違いありません。「そもそも談話と外交合意は違う」とか「安部首相は、談話を継承すると宣言してるんだけど」とか、とにかく突っ込みどころはたくさんありますけど、問題は韓国的「真正性」にあります。
以前当ブログで指摘した通り、韓国の「真正性」は、日本のそれと意味が全く違います。(日本人が理解できない韓国観念 彼らがこだわる『真正性』もかなり適当
「みんなが正しいと思えることは正しい」という韓国式「真正性」のお陰で、慰安婦の7割が合意に賛成しても、「俺は正しいと思えない」という思考ひとつで否定されてしまいます。この「0か100か」の極端な考え方が、新政権でどのように発露されるか、予想は困難です。
ただ、これまでの韓国思考の流れから推測すると、可能性があるのは「日本政府は『合意』の精神にのっとり、謝罪文を出せ」等の要求を行い、突っぱねると「日本政府は合意の精神を果たさず、合意は無効となった」と一方的に宣言することですね。日本側は「合意を果たせ」と迫り、韓国側も「日本側の謝罪がなければ従軍慰安婦像は撤去できない」と言って平行線になり、あとは風化していくというのが最悪のシナリオです。
 
■「不可逆的に解決済み」という回答だけでは元に戻るだけ
「韓国との全ての賠償問題は、日韓基本条約で解決済み」。日本のかつての対応はこれだけでした。しかし結局世界を舞台に、従軍慰安婦問題を引っ張りまわされ、今の事態に至っています。過去のこうした事例に学ぶのなら、「ただNOと答えるだけで、解決すると思ってはいけない」ということです。
では、どうするのか? 要求に、要求を返せばいいのです。
「謝罪の文書が欲しいのなら、合意を条約化すれば良い。調印式を行い、数人の慰安婦を呼んで、目の前で調印しようじゃないか。その段取りができるのか? 慰安婦の参列を説得できるのか?」
でも、できないんですよ。韓国には。韓国式「真正性」は、「みんなが正しいと思えることが正しい」ですから、一人でも「合意拒否」が出ると、そこで止まってしまうんです。たとえ従軍慰安婦全員が参列を決めたとしても、「国民全員が納得していない」という超理論すら飛び出しかねないわけで、そもそもマトモな議論になりません。でもいいのです。それが目的なのです。韓国内で延々議論してもらう。これが目的なのです。
 
■如何に韓国の国内問題にするのか、という外交アプローチを
韓国新政権は、徹底的な反日政策を取って来ると思われます。そんな中で、単に「遺憾」を表明しているだけでは、好き放題にやられるだけです。たとえば、「盗難仏像返却問題」。判決に「外交ルートで非難声明を出す」だけでは、全く意に返さない状況になると思われます。それどころか、「日本が嫌がっている。つまり正しい判断だ」と全く逆に元気付く可能性があるのです。
だから、たとえば「盗難仏像を返還しない場合には、『日韓図書協定』を破棄する」と宣言するといった、ペナルティとセットで外交政策を練る必要があると思います。『日韓図書協定』とは2010年に結ばれ、朝鮮時代の図書1205冊を日本から韓国に引き渡した協定です。もう終わっちゃってる協定ですね。今更協定を破棄しても、本が戻ってくるわけではありません。そんなことをしても、何の意味もない話です。日本人としては。
ところがですね。韓国にとってはそうではないんですよ。

「【取材日記】「菅首相談話」わざわざ誤訳した韓国外交部」2010年08月12日
日本語原文には「朝鮮王室儀軌などの図書をお渡しする」となっているのに韓国外交部の翻訳本は「返還」と遁甲させたのだった。「引き渡す」と「返還」は厳然に違う。返還は奪ったことを認めて返すことであり、引き渡しは自分の所有権や品物を渡してやることをいう。菅首相が「法律的問題はすでに解決されたという観点で(返還ではなく)引き渡しだという表現を使った」と強調したこともその違いを明確にするためだった。
http://japanese.joins.com/article/063/132063.html?sectcode=&servcode=

この時に引き渡された図書は、日韓併合時に朝鮮から日本に送られた図書なんです。これを日本が『返還』したということは、「日韓併合が当時朝鮮の意思を認めない不当なものだった」と認める傍証として機能しているのですね。だから2010年当時、韓国では本が戻ったこと以上にメチャクチャ喜びました。「日本が遂に日韓併合の不当性を認めた!」ってね。「じゃあ当時協定をやっちゃダメだったんじゃん」。うん、まぁそうなんですけどね。でも今でも有効なんです。なぜなら「真正性がなくなる」から。
従軍慰安婦合意だってそうでした。最初は「安部が謝罪した!」って喜んでいたのに、時間が経って韓国の要求どおり謝罪しなかったり、文書を出さなかったりしてくると、「真正性が無い」に変わってしまいました。これは私が以前指摘したとおり、「絶対の正義がある」という韓国の価値観に由来しています。(日本人が理解できない韓国観念 彼らがこだわる『真正性』もかなり適当
みんなが正しいと思うことは正しく、それは絶対の正義として10年経とうが100年経とうが変わりません。だって絶対の正義だから。
もう完了してしまっている協定にもかかわらず、日本が破棄すると宣言すれば、大事な大事な「日韓併合不当論」の根拠が、ひとつ消えることになります。韓国の感覚では、これを許容することは困難でしょう。ユネスコ条約違反の仏像一つと、もう完了したとはいえ国家間協定とどちらを選ぶのか? 間違いなく韓国内で大論争になるはずです。
 
■韓国活用のススメ
今も昔も、韓国の地理的重要性は変わりません。引越しが出来ない以上、うまく活用していくしかないわけです。しかし、今までのやり方では日本の国益を毀損することがわかったのです。だったら変えねばなりません。
竹島だってそうです。もっと多重的なアプローチが必要でしょう。竹島切手や竹島記念コインを政府が発行し、もっと政府が全面的に支えていく必要があると思います。
また、韓国に対しても単なる遺憾の発表以外のアクションも必要です。たとえば環境問題は、世界に大きくアピールしていく問題になるでしょう。竹島は韓国においても、「天然保護区域」なんです。しかし年間20万人以上が観光し、コンサートまで開いているわけです。絶対に環境に影響が出ています。韓国に占領されてから絶滅したアシカは、なぜか日本の乱獲のせいになっています。
中国の南沙諸島において、国際司法敗訴の判決が2016年に出ました。判決の決め手となったのは、環境破壊でした。竹島の海洋汚染は、今後絶対に必要な情報になると思います。
北朝鮮核問題の進行と共に、強烈な「反日親北」変わっていく韓国。日本もそんな韓国に合わせて、変わっていくことが必要なのです。