ついに日韓激突へ 「慰安婦合意」再検証と戦う方法を考える

2年の時を経て、韓国が「慰安婦合意」の検証を行い、非公開合意が韓国に不利な「不均衡な合意」と結論しました。

慰安婦「非公開の合意があった」韓国側検証 日本は反論」
韓国の外相直属の検証チームは27日、検証結果を発表した。両政府が当時公表した合意のほかに、韓国政府が慰安婦問題に関して「性奴隷」という表現を使わない、などとした「非公開の合意」があったと指摘。韓国側の負担が大きい「不均衡な合意」だったとした。
日本政府は韓国政府に対し、ソウルの日本大使館前に慰安婦問題を象徴する少女像を建てた「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会」(挺対協)など支援団体の説得▽第三国での慰安婦関連の像や碑の設置を支援しない▽今後「性奴隷」という表現を使わない――の3点を要求。韓国側が消極的ながらもおおむね応じたとする内容で、「不均衡な合意」の度合いが強まったとした。
https://www.asahi.com/articles/ASKDW4D6ZKDWUHBI00L.html

この他、「合意交渉が「秘密交渉」で進められ、元慰安婦の意見が十分に反映されなかった」としていますが、外交交渉をいちいち公開する外交手続きがあるわけないので、言いがかりのレベルと言えるでしょう。
さて、なぜ韓国側で「非公開の合意」の存在が、ここまで取り上げられるのでしょうか? それは、朴大統領を筆頭に、前政権が「慰安婦像の設置を支援しない」などの合意事項は「存在しない」と否定してきたからです。否定してきたのに、実は存在した。前政権は嘘をついていた。許せん。韓国国民はいきり立っています。
がしかし、よくよく読むと、なぜ「不均衡な合意」となるのか不思議に感じるはずです。日本人ならば。
 
■「合意検証」で自爆した文政権
非公開の合意は以下の3点です。

1 ソウルの日本大使館前に慰安婦問題を象徴する少女像を建てた「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会」(挺対協)など支援団体の説得
2 第三国での慰安婦関連の像や碑の設置を支援しない
3 今後「性奴隷」という表現を使わない

韓国側から公開してくれたので、今後は大っぴらにこの3点を日本側は要求できるようになりました。文政権の自爆であります。しかも30年秘匿されるはずの外交交渉内容を、日本側の許諾なく公開してしまったわけで、外交慣行にも反しています。
でも、非公開合意の3点は、安倍首相が「慰安婦合意」の中で「おわびと反省の気持ちを表明」し、不可逆的に問題が解決した段階で、当然求められる結果です。だって解決したんだから。なぜ問題解決したら不要となるはずの「像設置」や「性奴隷呼称問題」、支援団体との交渉が、韓国側の「不均衡な合意」になるのでしょう?
それは「慰安婦問題」において「交渉ではない」とすら言ってのける暴走した民意にあります。なんのことかと言うと、日本が韓国の言うことを、「一方的に受け入れ、謝罪する問題」だという認識なんですね。だから非公開だろうが何だろうが、3点の取引があったということ事態許せないわけです。
ただねえ。日本人的には、そんな無茶を言われても、もうついていけないでしょう。
 
■譲歩したつもりの韓国。裏切られたと感じる日本
そんな暴走する民意と外交の現実のバランスを、なんとか取ろうとした文政権の結論が年初の立場表明になりました。まぁこれまでその民意を選挙に散々利用してきたわけですから、そこで苦労するのは自業自得といえます。
1月12日、安倍首相は、「日韓合意は国と国との約束だ。これを守ることは国際的かつ普遍的な原則だ。韓国側が一方的にさらなる措置を求めることは、全く受け入れることはできない」と述べ、韓国側の要求を一蹴しました。これに韓国側は猛烈に反発しました。何故かと言うと、検証したとはいえ「合意破棄」や「再交渉」を求めなかったことを、韓国側が「日本に譲歩した」と理解しているからですね。既にその感覚を東亜日報が記事にしています。

「文大統領「韓日合意は重大な欠陥」…安倍首相「合意1ミリも動かない」」2018年12月29日
合意直後も、韓国が日本大使館前の少女像を移転しろと一方的に主張し、合意に対する韓国国民の反感を招いたのは日本政府だった。その後も心からの謝罪どころか慰安婦の存在そのものを否定し、「10億円の合意金ですべて終わった話」と一貫した。そうしておいて、合意破棄や再交渉を宣言したわけでもないのに、詰め寄って韓日関係云々するのは大きな過ちだ。
平昌五輪の不参加まで云々し傲慢な態度に出ることは、韓国国民の傷に塩を塗りつける行為だ。日本が韓日関係がどうなってもいいという態度に出るなら、韓国が執着する必要はない。
http://japanese.donga.com/List/3/0501/27/1174276/1

いやあ、この感覚に違いは、どうしたもんでしょうね。日本側は、韓国側の主張一つひとつに反論できます。慰安婦像を撤去しろと求めたのは、「適切に解決されるよう努力する。」という形で合意したからです。合意前から状況が変わらないどころか増えている状況で、日本側に責任を押し付けるのはそれこそ一方的でしょう。しかし韓国側にその自覚はありません。
 
そして1月15日、韓日議員連盟が新年行事で激突したわけです。

「韓日議員連盟、東京の真ん中で「慰安婦合意」衝突」2018年01月15日
韓国に対する理解が相対的に深くて温和な性格で有名な額賀議員が、韓国の国会議員を見るとすぐに慰安婦問題から始めたのだ。東京現地消息筋の言葉を総合すると、額賀議員のあいさつの言葉は半分以上が慰安婦関連だったという。
結局、慰安婦合意をめぐり韓日議員連盟のリーダーが東京の真ん中で衝突したということだ。過去には韓日両国間に葛藤が生じても韓日議員連盟所属議員の間で公開的な発言を控えたり、う回的な表現を使うのが一般的だった。しかし今回はお互いがそれぞれの主張をする姿となった。
http://japanese.joins.com/article/498/237498.html?servcode=A00§code=A10

これまでの慣例を破って対立したことに、中央日報の驚きが伝わってきます。
 
■来る合意破棄の策動に向けて、日本はどう戦うか
北朝鮮の問題も考えれば、こんなことで揉めてる時間はないんですが、こちらもかなり事態が逼迫してきました。韓国側の「日本側が合意を破棄した」と言い出す雰囲気作りにどう戦えばいいのでしょうか?
答えは、文政権も「慰安婦合意」自体の正当性は否定できなかったことです。

「韓経:韓国外交長官「再交渉を要求しない」…慰安婦合意「あいまいな折衝」」
「2015年の合意が両国間の公式合意だったという事実を否認できず、日本に再交渉要求はしない」と発表した。
http://japanese.joins.com/article/359/237359.html

現在、日本政府の対応は、安倍首相が言及したとおり、「韓国側が一方的にさらなる措置を求めることは、全く受け入れることはできない」です。これはこの通りなのですが、言葉が足りません。「合意は1ミリも動かない」と言及すると同時に、「なぜ動かないのか」を言及しないといけないのです。
つまり「文大統領も検討した結果、『慰安婦合意』を公式合意と認めた」。だから「再交渉はなく、合意は1ミリも動かない」のです。
散々検証した結果、出てきたのは韓国側に不利な非公開合意でした。当ブログが以前指摘した「プランC」も不発となったのです。文大統領や外相が、一生懸命に外交的配慮として再交渉を認めないと言ってますが、何のことは無い否定する材料がみつからなかっただけなのです。日本側は、その点をはっきりと指摘し、世界にその点を示すべきです。
 

「元慰安婦たちが韓国政府の新方針に激怒「だまされた」」
http://news.livedoor.com/article/detail/14141614/

交渉しただけで猛烈な批判を受けるのが従軍慰安婦問題です。にも関わらず韓国の報道を見てると、文政権を批判する慰安婦に批判が飛ぶという前代未聞の事態も起きています。「慰安婦合意を公式合意と認めた」とはっきり日本が指摘すれば、また韓国は二つに割れるでしょう。それでいいのです。朴政権時には、その分裂が海外にまで飛び火して、朴派と反朴派が分裂し、アメリカなどの「慰安婦像」設置が立ち往生していたくらいなのです。「韓国を分裂させること」。これが日本の戦う方法です。
日本は、ただ「合意の履行」を叫ぶだけでなく、文政権が「慰安婦合意を公式合意と認めた」事実をうまく利用し、慰安婦側と圧倒的人気を持っている文政権を対立させる方向に持っていいけるかどうか。
安倍政権と外務省が、千載一遇のチャンスをモノにすることを、期待しています。