「日韓断交」はちょっと格好良いけど正しくない やるなら経済的に締上げてから

かねて注目されていた徴用工判決で、新日鉄住金敗訴の最高裁判決が出ました。

「徴用工訴訟で原告の勝訴確定 最高裁が差し戻し控訴審支持=韓国」2018/10/30

大法院は12年5月に「日本の判決は日本植民地時代の強制動員そのものを違法と見なしている韓国の憲法の中核的な価値と真っ向から対立する。韓国の善良な風俗と社会秩序に反した判決であることは明らかだ」とした上で「個人の賠償請求権は有効」としてソウル高裁に審理を差し戻した。

http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2018/10/30/0200000000AJP20181030001900882.HTML

「個人賠償請求権は有効」としているところが、一番の問題点ですね。

 

■次に文大統領は、「日韓基本条約は破棄しない」と言う

この判決は日韓基本条約の第二条第一項に反します。

第二条第一項

両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。

どう考えても、条約に反する判決です。でも、おそらく文大統領は記者会見などで、「日韓基本条約は破棄しない」と宣言するでしょう。「韓国政府として日本に賠償は請求しない。個人請求に関しては、最高裁の判断なので関知しない」という形です。

しかし、これでは条約が意味を成さなくなります。このままでは、日本企業に働いていた朝鮮人が、全部徴用工として訴訟を起こす可能性があるからです。

なにしろ既に、この裁判の原告に徴用工とは関係ない人が混ざってるくらいですし。

「韓国最高裁で「元徴用工」勝訴濃厚 日本企業に“慰謝料2兆円”請求の最悪シナリオ」

今回の原告の中には44年より前に勤務している男性もいます。本来の戦時動員に該当するのかは議論があります

http://news.livedoor.com/article/detail/15512850/

どう考えても収拾がつかなくなることは、確実です。

それは韓国側もわかっていて、かつては「個人に請求権がある」とはしていませんでした。

「徴用被害補償問題、これまでの韓国政府の立場」中央日報2018年10月30日

しかし強制動員被害者についてはすでに解決済みという立場を明らかにした。「請求権協定を通じて日本から受けた無償3億ドルは個人財産権、朝鮮総督府の対日債権など韓国政府が国家として持つ請求権、強制徴用被害補償問題解決の性格を帯びた資金などが包括的に考慮されたと見るべき」とした。そして韓国政府にこの人たちを救済する「道義的な責任」があると言及した。

https://japanese.joins.com/article/597/246597.html?servcode=A00§code=A10&cloc=jp|main|top_news

国家賠償の中に、個人の請求権は包括されているという立場です。だから救済は、韓国政府の責任とわざわざ言及してもいます。

その韓国政府の立場や司法が、2012年に変わりました。なぜでしょうか?

 

■日本が反撃しなかったことも原因

2012年と言えば、朴前大統領が就任した年です。今は「親日」として凄い批判を韓国で受けていますが、当時は反日強硬路線でまともな首脳会談もできない状況でした。

それまで日本の「従軍慰安婦問題」の対応は、言われるまま謝罪を行って、関係悪化を防ぐスタイルだったのですが、告げ口外交によって国際問題にグレードアップされ、本腰で解決を目指さなくてはならなくなったのはご存知の通りです。「慰安婦合意」に「不可逆的」の文言を入れて、完全解決を目指したのですが、結局、徴用工裁判で最高裁判決が出るところまで到達してしまいました。
その理由は何か? 簡単に言うと、日本側の対応が甘過ぎたのです。問題に対して、韓国は物理的な利益を得ていますが、日本は何も得をせず、または韓国に損を与えてこなかったのですね。

1 「慰安婦合意」

 韓国:10億円を得る。政府は合意を破棄しないと言いつつ、批判活動を再開

 日本:合意を守れと言う

 

2 慰安婦像や徴用工像の設置

 韓国:領事館前に像設置

 日本:スワップ協議停止

 

3 竹島

 韓国:国会議員が上陸パフォーマンス

 日本:遺憾を示す

 
4 旭日旗
 韓国:国旗と韓国旗のみと言いつつ、自分はそれ以外の旗を使う
 日本:観艦式不参加
 
5 徴用工

 韓国:個人賠償請求で勝訴を出す。今後は資産差押さえ

 日本:?

見てわかるとおり、やったもの勝ちで、韓国は得した。日本は損した。

そういう結果しか出たことがないんですね。スワップ協議停止は、もともと0だったものが0のままなだけですし、観艦式もちゃんと行われました。

これじゃあ、韓国が過激になっていくのも当たり前でしょう。そして、もっともっと過激になっていくと思われます。

 

日韓基本条約維持は必須

じゃあ、どうすればいいのか。

断交や日韓基本条約破棄を日本側はそれば、ちょっと格好良いかもしれませんが、得策ではありません。戦後スキームのやり直しなんて、非現実的の局地です。こういう時は中国がどうしてるか、見習いましょう。中国は、THAAD報復を行った時でも、一度も報復と宣言したことはありません。

中国はTHAADのレーダーが北朝鮮だけでなく、自国にも向けられていると強く警戒。THAAD配備を容認した韓国に厳重抗議してきた。公式には認めていないものの、中国人の韓国への団体旅行を制限したり、消防法を理由に、韓国ロッテグループのスーパー「ロッテマート」を営業停止にするなど、韓国への「経済報復」を続けてきた。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22914450R31C17A0MM0000/

やっぱり中国は手馴れてますね。

日本がやるなら、以下のような感じでしょうか。

1、リショアリング(国内回帰)の推進

リショアリングとは、海外に出て行った企業の国内へのUターン政策です。

「日本は海外進出企業が戻ってくるのに…規制のため戻れない韓国企業(1)

三重県は国内に戻ってくる企業が使う投資額の15%を補助金で支援するという政策を出した。法人税は5年間20%を控除することにした。おかげで三重県は海外に工場を作ろうとしていたシャープを説得して県内にシャープの工場を誘致した。雇用は7200人増え、自治体の税収は2004〜2005年の2年間で110億円増えた。

https://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=228770

賛否両論ある政策なのですが、政策効果検証として、「韓国から日本に対してUターンする場合、5年間法人税15%を免除する」というのを、やってみたらどうでしょうか?

 

2、渡航危険レベルのランク上げ

朝鮮半島全体が、日本より遥かに放射線濃度が高いことは、一部によく知られています。この際、それを理由に渡航危険レベルを上げたらどうでしょうか?

朝鮮半島の地盤がラドンを多く含んでいることで、放射線が多いと言われています。それも日本人が考えるより、遥かに問題化しています。

放射線安全基準の最大10倍」枕・マットレスからまた検出=韓国

https://japanese.joins.com/article/307/245307.html

マットレスや枕から、普通にラドンが検出されるレベルなんです。当然、通常の放射線レベルも、日本とは比較になりません。

「数値は3倍以上!? 東京よりもソウルが放射線に汚染されている理由」

http://news.livedoor.com/article/detail/13357426/

上の記事では、韓国の原発で、劣化部品による事故が連発し、古里原発1号機だけでこれまで130件以上が発生していることが書かれています。さらには、北朝鮮の核実験で流出した放射線物質の問題もあります。韓国は決して安全な国ではありません。

韓国人は福島の放射能汚染には敏感ですが、なぜか自国の放射能汚染には鈍いのが、不思議であります。

日本国民の安全のためにも、危険レベルを上げることは必要だと思います。

 

■経済的圧力抜きには改善しない

政府の姿勢と、民間の姿勢を分けて、条約や国家間の約束を有名無実化することを放置するのは、お互いのためになりません。

核問題でも、「政府は核廃止を目指しているが、民間はそれに当たらない」とか、とんでもないことを言い出す前に、軌道修正が必要でしょう。
 

「日韓断交」なんてことで簡単に終わる話でありません。まず、韓国が対等な国として日本を見るまで、経済的圧力を筆頭に全方位への対処を行うべきです。韓国の市場としてのリスクが顕在化した以上、オールジャパンで対抗していって欲しいですね。