<徴用工改め募集工問題>文大統領、ドヤ顔で演説し…なかった? あれれどうした?

徴用工裁判が確定し、その反応が揃いつつあります。日本側はわかりやすく非難一色。

「<韓国、徴用工判決>日本メディア、「韓国疲れ」主張しながら非難一色」中央日報
「両国関係の法的基盤を揺るがしかねない司法的判断が『積弊清算』という政治の流れの中で出てきた」(東京新聞
31日、日本屈指の進歩指向メディア、朝日と東京新聞の1面トップに掲載された徴用裁判関連解説記事の一部だ。これまで韓国に対して相対的に友好的な論調だったメディアだが、批判隊列に合流した。
https://japanese.joins.com/article/659/246659.html?servcode=A00§code=A10&cloc=jp|main|top_news

また、1日に開催された衆院予算委員会で、安倍首相は、「当時、国家総動員法上、国家動員令には『募集』と『官斡旋』『徴用』があったが、実際、今回の裁判の原告は(徴用でなく)全部『募集』に応じたため、『朝鮮半島出身労働者問題』と言いたい」として、韓国マスコミが使う「強制徴用」という、「意味かぶってるじゃん」と突っ込みどころ満載の言葉をけん制しました。
当ブログでは、今後「徴用工問題」を「募集工問題」と記載します。なんか妙に間抜けな語感になりますが、まぁいいでしょう。

 
■問題に火を点けた本人が「自制しろ」と叫ぶ異常

破局回避」方策検討を=徴用工問題、日本に自制要求も―韓国紙」
中央日報は「両国政府は冷徹な現実認識を基に、強制動員被害者に対する賠償問題の実質的な解決策を探らねばならない。外交的破局の道に進むことがあってはならない」と訴えた。
東亜日報は、日本の強硬な対応は「周辺国の憂慮を増大させるだけだ」と批判。
https://www.excite.co.jp/news/article/Jiji_20181031X161/

外交的破滅の道を選んだのも、強硬な対応を取ったのも、韓国のはずです。それなのに、なぜか日本に「それをするな」と呼びかける記事が韓国で続いています。
実に奇怪な反応ですね。中央日報が書面で河野外相に書面でインタビューした記事を載せていますが、日本側の苛烈な反応に戸惑っている感じが読めます。

<インタビュー>河野外相「徴用工判決、極めて遺憾…日韓は切っても切れない関係」(1)
−−日本軍慰安婦被害者や独島(ドクト、日本名・竹島)問題よりも日本国内の反発が激しい理由は、直ちに日本企業に経済的な不利益がもたらされるためなのか。
「日本企業に対し不当な不利益を負わせるものであるばかりか、未来志向で今後も日韓間の友好関係を発展させようとする努力の土台が損なわれるという重大な事態だと考えている」
https://japanese.joins.com/article/672/246672.html?servcode=A00§code=A10&cloc=jp|main|inside_left

この「反発が激しい理由は、企業が損するからなの?」っていう質問は、笑っちゃいますね。
ことは「日韓基本条約」を有名無実化する行為なのです。その名のとおり、両国の「基本」となる条約です。「慰安婦合意」のようなトップ同士で決めたものでもなく、きちんと手続きを踏み、それぞれの国会で承認している国際条約です。その国の司法、国内法よりも重いのです。
領事館前の慰安婦像の時もそうですが、彼らは国際条約の重みや意味を知らないのですかね? 大新聞の記者が、「企業が損するから?」とか質問してる段階で期待薄ですけど。
 

■日本の強硬姿勢に目論見を崩された?
11月1日、韓国国会が開催し、来年度予算の審議が始まりました。日本と同じく、冒頭に文大統領の施政方針演説が行われ、そこで今回の募集工判決について言及されると思っていたのですが。

「韓国大統領が施政方針演説 徴用工裁判など日韓関係には触れず」
先月30日に韓国最高裁が出した徴用工訴訟の判決など、日韓関係については言及しなかった。文氏は判決後、徴用工問題には一切発言していない。約35分間の演説の大半は、国民生活や経済問題に充てられた。
http://news.livedoor.com/article/detail/15530505/

なんと一言も触れず。いや、おかしいですね。
最高裁判事に経験の無い判事を抜擢したり、判決を延期してきたとして最高裁判事を逮捕したり、この判決を誘導してきたのは文大統領です。目的どおりの判決が確定し、自信満々に国会で演説する流れでしょう、ここは。
「何年も遅れていた判決がようやく出ました。政府として日韓基本条約は今後も守りますが、司法の判断を尊重しつつ、日本と賠償請求について、検討していきます」
と、言えばいいのです。誰でもわかる完璧なストーリーですね。支持率もバーンと上がったでしょう。しかしできなかった。何故でしょう?
 
■「政府は条約維持。民間は司法を尊重」作戦が失敗か
漏れ出てくる情報によると、韓国側は財団を作って問題解決しようと考えていたようです。

「強制徴用問題で国際訴訟に向かう日本…ICJは独の軍配を上げた」
専門家らは訴訟よりは公益財団を活用してこそ過去史問題を解決できると強調する。韓国政府は2014年から行政安全部傘下日帝強制動員被害者支援財団を運営している。1965年、韓日請求権交渉で恩恵を受けたポスコ韓国電力公社韓国道路公社などが拠出した基金で遺族支援事業を展開している。今後、日本の戦犯企業からも募金活動を行う予定だ。
https://japanese.joins.com/article/658/246658.html?servcode=A00§code=A10

つまり、募金と言う形で、判決を正当にしつつ、日本企業から金を集められるという案ですね。日本的には「民間企業が独自に募金で対応した」という形にし、韓国的は「戦犯企業が賠償した」という風になるんでしょう。昔の日本なら乗ったかもしれない二面性のある案です。しかし、判決が正当化されてしまった段階で、日韓基本条約は無効化されてますから、今呑み込める案ではありません。
当然のとことながら、日本側は早々に拒否したようです。

「<インタビュー>河野外相「徴用工判決、極めて遺憾…日韓は切っても切れない関係」(1)」
−−韓国政府に対してどのような措置を求めるか。
「具体的にどのような措置を講ずるべきかは、韓国政府が一番よく分かっておられると思う」
−−読売新聞は「日本企業が賠償金を支払う代わりに経済協力金を受け取った韓国企業や韓国政府、日本企業や政府など4者が共に財団を設立する方案が非公式的に議論されている」と報じた。
「日本政府として御指摘のようなことは全く考えていない」
https://japanese.joins.com/article/672/246672.html?servcode=A00§code=A10&cloc=jp|main|inside_left

「読売新聞が報道した日本側の議論」のように言ってますが、実際は「韓国の専門家内で」という報道です。
そして韓国の提案については速攻で拒否しておいて、「じゃあどうしたらいいのか?」という質問に対して、「それは韓国政府がよく知っている」と丸投げしてしまいました。

「韓国政府「歴史・未来ツートラック」慎重…日本がICJ提訴すれば外交的負担に」2018年10月31日
外交部当局者はこの日(10月30日)記者団と会い、「歴史懸案というのは一日で解決されるものではない。この部分はこのまま切り離し、未来志向の関係に進んでいく」として従来のツートラック基調を再確認した。
政府当局者は「基本的にこれは民事訴訟の領域」と説明した。
https://japanese.joins.com/article/616/246616.html?servcode=A00§code=A10&cloc=jp|article|related

この政府当局者の言葉が、全てを語っています。「これは民事だよ」と切り離す気だったのが、失敗したのです。
 
オールジャパンを決断した日本政府

「政府、徴用工判決受け被告企業らへの説明会開始」
訴訟を抱える日本企業を支援するため、外務、経済産業、法務、国土交通の各省合同による説明会を開いていると明らかにした。
説明会は10月31日に始まり、11月1、2両日の3日間の日程で行う。
https://www.sankei.com/politics/news/181101/plt1811010007-n1.html

日本政府は、韓国側の思惑に乗らず、各省庁一丸となって、対応していく姿勢を鮮明にしました。しかも動きが早い。判決を予想して、調整しておいたんでしょう。
文大統領の沈黙は、日本側の「民事ではなく、政府同士の問題である」という強硬姿勢にぶつかって、当初の計算が狂ったからではないでしょうか?

「徴用工判決で外相「毅然と対応を」 韓国外相に電話」
「日本企業や国民に不利益を及ぼさないよう韓国政府として毅然とした対応を取ってほしい」と求めた。康氏は「韓国政府内で協議を開始している」と答えた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3715647031102018MM0000/

さらには、「日本側に不利益にならないよう韓国政府が対応しろ」と言ってるんですね。賠償するなら韓国政府が何とかしろという意味ですから、これは日韓基本条約の示した内容そのままです。
さあ、文大統領はどうするんでしょうか。答えを引き伸ばすにも限度があります。韓国の選択を待ちましょう。