<募集工問題>韓国政府の残念な「立場文」全文 次の三菱重工判決での対応が重要に

徴用工から募集工となったこの問題。韓国政府がようやく公式コメントを発表しました。機械翻訳です。

「イ・ナギョン首相「日本政府の賢明な対処要望 "首相の立場文」」2018年11月7日
司法部の判断は、政府間の外交の事案ではない。司法部は法的判断だけをする機関であり、司法部の判断には政府が介入しないことが、民主主義の根幹である。
私はこの問題についてのコメントを最大限自制し、政府関連省庁と民間専門家の知恵を集めて対応策を用意しようと努力している。
日本政府の指導者たちがこの問題を外交的紛争にしていこうとしたことで、私もそれについての意見を言わないわけにはいかなくなったことを、遺憾に思う。」
https://news.v.daum.net/v/20181107184714494

発表といっても、記者会見すら行いませんでした。どんだけ腰が引けてるんでしょうか。しかも「立場文」というなんだかよくわからないコメントです。まぁ記者会見をやればやったで、韓国だけでなく海外のメディア、それも日本どころか欧米のメディアも参加してきたでしょうから、大変だったと思いますけども。
それでも、最低限の韓国側の姿勢は判明しました。
 
■韓国の結論「行政は司法を尊重する」

大韓民国大法院の判決は1965年の日韓基本条約を否定するものではなく、その条約を認めながら、その土台の上で条約の適用範囲がどこまでなのかを判断したものである。判決文はそれを明らかにしている。」

日本側は韓国政府の対応待ちとしていましたが、結局韓国政府の選択は「何もしない」ということになりました。「日韓基本条約は否定しない」でも「司法の判断を尊重」と言うわけで、これは当ブログで予想した通りの「次に文大統領は、「日韓基本条約は破棄しない」と言う」そのままです。
ひょっとすると文政権での賠償請求は諦めて、次の政権に持ち越しにしたのかもしれません。強行すれば日本に報復され、妥協すれば国内から批判されますから、どう動いても損です。
しかし、それでは日本にとっては現状改善どころか維持にもなりません。最高裁判決が出ている以上、いつでも財産の差押さえなど強制執行が可能なのです。日本側には早急な対応が必要になります。
12月5日には三菱重工相手の高裁判決もあるわけで、その結果を受けて、より能動的な行動が必要になるでしょう。
 
■12月5日の三菱重工判決が勝負

「元挺身隊訴訟、12月5日に判決 韓国・光州高裁 」
戦時中に軍需工場に強制徴用されたとして、元朝鮮女子勤労挺身(ていしん)隊員の韓国人女性ら計4人が三菱重工業に損害賠償の支払いを求めた訴訟で、韓国の光州高裁は31日、判決を12月5日に言い渡す方針を明らかにした。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37182770R31C18A0FF2000/

三菱重工の裁判は募集工ではなく、挺身隊です。まぁもう大した違いはありません。
日本は国際司法裁判所(ICJ)に単独提訴をする姿勢を見せていますが、韓国側が同意しない限り手続きは進みません。日韓基本条約も、仲裁委員会は両国の合意がなければ開催できませんし、合意しない場合の罰則もありません。韓国政府が沈黙していられるのも、日本が表明している対応が、直接影響を及ぼさないからです。

「日本企業、「賠償応じず」で足並み」2018/11/3
三菱重工業については原告側弁護士が「韓国に財産がある」としたが、実際は皆無に等しい。同社は今年3月、韓国の現地法人清算している。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37325790S8A101C1FF8000/

新日鉄住金と同じく三菱重工も、韓国から撤退しているそうなので、直接の影響を及ぼさない点では同じです。が、いずれまだ撤退していない日本企業が槍玉に上がることは間違いありません。その時までに、日本政府は実行力のある反撃を用意しておく必要があります。
 
■日本企業への強制執行は、「日韓投資協定」に基づき訴えよ
12月5日までに韓国が現状の是正措置をとらなかった場合、日本は強制執行に対する反撃を明言すべきと考えます。その切り札が「日韓投資協定」です。

日韓投資協定
第14条:
国対国の紛争処理:締約国は、協定の解釈等について協議を行う。円満な解決が図れない場合、拘束力を有する決定を得るため、一方の締約国の要請に基づき、仲裁裁判所へ付託される。

第15条:
投資家対国の紛争処理:当該紛争が生じた場合、可能な限り協議又は交渉によって処理されなければならない。処理されない場合、投資家は(1)投資紛争解決国際センター又は(2)国連国際商取引法委員会仲裁規則等に基づく紛争解決方法に訴えることができる。
http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/asia/s_korea/html/jkbia_gaiyo.html

「日韓投資協定」は「日韓の緊密な投資環境を構築するため『内国民待遇』を与える」という「国際条約」です。読めばわかると思いますが、第14条も第15条も国際司法裁判所(ICJ)より遥かに強力です。まず最初の段階で「両国の合意」項目自体がありません。特に第14条の仲裁裁判所は、相手国が拒否しても手続きは進みます。
問題は、募集工判決が「日韓投資協定」の「紛争」に当たるかどうかですが、国際条約違反をして他国の企業に賠償をさせようとしている段階で、これを紛争と言わず何と言う状況ですから問題ないでしょう。とにかく韓国政府の対応を待っている間に、最高裁強制執行を掛けない様にしておかないと、また後手後手の対応になってしまいます。
 
■韓国と北朝鮮の統一における経済支援を拒否

「トランプ氏「北朝鮮への経済支援、韓日中がするはず」2018年06月02日
トランプ大統領は6月12日の会談後の対北朝鮮経済的支援に関する質問に対し、「米国が資金を支出すべきだとは思わない。韓国がそのようにするはずであり、日本も支援するだろう」とし「中国、正直、中国が助けると思う。また、日本が助けると考える」と答えた。
https://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=241940

なぜかみんな日本が北朝鮮に支援を行うと信じてます。嘘かホントかはわかりませんが、「1兆円支援する」という覚書が存在するという話すらあります。

金丸信「1兆円の約束」 日本が北朝鮮を支援する道理はない」
私の問いかけに、北朝鮮側の当局者は「将軍様がタダで会うわけはない」と答えた。その上、ミスターXが「国交正常化と100億ドルの経済協力資金を出すとの覚書をもらっている」と話してくれた、と明かしたのである。
実は、日朝の実務者協議で、北朝鮮の交渉者は私的な会話の際に、日本外務省の課長に対し「1兆円の約束はいつ実行してくれるのか?」と聞いてきた。日本側にはその意味が分からなかった。文書も証拠も残っていないからである。
http://news.livedoor.com/article/detail/15032133/

ですから、良い機会ですので、「韓国と北朝鮮との統一における資金提供は行わない。また北朝鮮に対する国会決議を経ない資金提供の覚書は、無効とする」と宣言するのです。
無邪気に「日本が韓国と北朝鮮に投資する」と信じてる両国に対して、釘を刺しておいた方が今後のためにもなるでしょう。
 
サムスン狙いという劇薬
韓国のGNPの2割近い数字を叩き出しているのが、韓国サムスンです。凄いですね。ただそれは同時に「韓国のアキレス腱」ということでもあります。サムスンが沈むと、韓国は文字通り即死することになりますから。

サムスン「創業以来の危機」に続くピンチ トランプ政権が韓国の洗濯機「NO!」
米国際貿易委員会(ITC)は11月、家庭用大型洗濯機の輸入急増で米メーカーが深刻な被害を受けていると判断、トランプ大統領に緊急輸入制限(セーフガード)の発動を勧告した。年間輸入が120万台を超えた場合、現行の関税に加え、最大50%の追加関税を課す内容で、トランプ氏が米通商法201条に基づき、発動の是非を60日以内に判断する。
https://www.sankei.com/premium/news/171204/prm1712040001-n1.html

トランプ大統領がやったのは輸入制限ですが、日本の場合はハイテク部品に緊急輸出制限を掛けるわけですね。ただそれは、同時に日本にとっても劇薬です。かつて中国が日本にレアアースを輸出禁止したように、他国に輸入窓口を作られ、レアアース価格暴落で中国国内企業がバタバタ潰れるなどという悪夢が、日本側で起きる可能性があります。よくよく国内企業との調整が必要でしょう。
とはいえ、急所がわかっているのに、そこを攻めないの甘さが、今の日韓関係を歪めたとも言えます。「やる」と断言するのではなく、ほのめかすだけとか、雑誌に噂が載るだけでも十分過ぎる激震が韓国を襲いますので、搦め手でも攻めたらどうでしょうか。
 
12月5日の三菱重工に対する判決も、おそらく敗訴することになります。そして、韓国政府はこのまま「対応検討中」を貫くつもりです。ひょっとすると永遠に「対応検討中」になるかもしれません。韓国政府の対策を待っているだけでは、事態は改善しないでしょう。
今のこの異常事態が、常態となる前に、日本政府には実効性のある反撃を進めていって欲しいですね。