日本への国際条約無視が平気になって来た韓国 抗議だけでは現状維持すらできない

慰安婦合意」において設置された「和解・癒やし財団」の解散が発表されました。

「日本の反発「予想していた」…韓国女性家族相」2018年11月23日
財団を所管する陳善美チンソンミ女性家族相は22日のラジオ番組で、解散決定に対する日本政府の反発は「予想していた反応だ」と述べた。陳氏は今後半年から1年程度かけて解散手続きを進める考えも示した。
聯合ニュースによると、韓国の康京和カンギョンファ外相は22日、財団に残された資金の使い道を日本政府と協議していく意向を示した。
https://www.yomiuri.co.jp/world/20181122-OYT1T50102.html

反発を予想しつつ、それでも強行したらしいです。なんだかんだ言いつつ解散手続きを進めるわけですから、日本の反発を全く重要視していないことになります。
実は、「財団の解散」=「合意の破棄」にはなりません。もう一度合意内容を確認してみましょう。

「日韓慰安婦問題合意 外相共同記者発表の全文」
(2)日本政府は、これまでも本問題に真摯(しんし)に取り組んできたところ、その経験に立って、今般、日本政府の予算により、全ての元慰安婦の方々の心の傷を癒やす措置を講じる。具体的には、韓国政府が、元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設立し、これに日本政府の予算で資金を一括で拠出し、日韓両政府が協力し、全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業を行うこととする。

尹炳世(ユン・ビョンセ)外相>
(1)韓国政府は、日本政府の表明と今回の発表に至るまでの取り組みを評価し、日本政府が上記(2)(注・日本側)で表明した措置が着実に実施されるとの前提で、今回の発表により、日本政府と共に、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。韓国政府は、日本政府の実施する措置に協力する。
http://mainichi.jp/articles/20151229/k00/00m/010/040000c

韓国が設立する財団が、一つとは書いてありませんので、「有効的な活動ができていない」団体を解散させ、別の「有効的な」団体を運営することは問題ありません。また、合意の事業が終了した場合でも、終了した団体を運営し続ける必要はありませんので、解散させて問題ないわけです。
つまり日本側は、非難するより、韓国側へ真意を問い質せねばなりません。

1 支援財団を解散させたのは、合意が完全に遂行されたからか?
  YES お疲れ様でした。
  NO 質問2へ
 
2 合意では韓国政府が支援を目的とする財団を設立することになっている。合意履行のために、直ちに新たな支援団体を組織せよ。
  YES できたら教えてね。
  NO 団体を作らないのは合意違反。アメリカと共に非難する。それ以外の方法を取る可能性がある。

韓国は忘れているようですが、「慰安婦合意」はアメリカの意向を汲んだものだったはず。韓国の今の姿勢について、アメリカと共に批判を行うべきでしょう。
 
■韓国警備官が、日本漁船に操業中止を要求
日産のゴーン前会長逮捕で少し霞んでますが、11月20日に日本の排他的経済水域EEZ)内の大和堆(やまとたい)で、韓国の警備艦が日本漁船に操業中止を要求する事件が起きました。

「韓国警備艦が日本漁船に操業停止要求、外務省が抗議」2018/11/21
第9管区海上保安本部(新潟)は21日、日本の排他的経済水域EEZ)内の大和堆周辺で操業していた北海道・根室漁協所属の漁船に20日夜、韓国海警察庁警備艦が操業をやめるよう求めてきたと明らかにした。
韓国側は「慣れない海域での警備のため、現場がルールを理解していなかった」と説明したという。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3805196021112018CC1000/

「慣れてなかった」とか言ってるんですけど。じゃあロシアや中国船相手にも、警告するんでしょうか? まずやらないでしょう。慣れてない海域なら尚更です。日本はロシアや中国と違って、抗議しかしませんしね。
しかも、私はこの「慣れてなかったせい」という理由を嘘だと考えます。これは報復なんです。この警告事件が起きる5日前。同じ大和堆(やまとたい)で、漁船同士の衝突事件が起きているのです。
 

日本海で日韓の漁船衝突、韓国の13人救助 けが人なし」と証言」2018年11月15日
日本海中央部にある日本の排他的経済水域EEZ)内の大和堆(やまとたい)付近で15日午前9時半ごろ、日本の漁船(山形県漁協所属の第38正徳丸、9人乗り)と韓国の漁船が衝突したと、近くにいた漁船から海上保安庁に連絡があった。海保によると、けが人や行方不明者はいないとみられる。
https://www.asahi.com/articles/ASLCH3VD6LCHUTIL00Q.html

実はこの衝突事件では、韓国側の報道で事故現場を日本のEEZではなく、「日韓の中間水域であり公海上の事故」と報道してました。そして日本側の漁船がぶつかってきたとも。そのせいで、韓国側の世論が沸騰。日本に対してかなりの批判が起きていました。

「「日本の漁船が先にぶつかった」=日韓漁船衝突事故で韓国ネットが“強硬対応”訴え」
記事は「事故が発生した海域が日韓の中間水域であるため、責任の所在が明確になるには一定の時間を要するだろう」と伝えている。
これに、韓国のネットユーザーからは「164トンが48トンにぶつかった?これは故意の可能性が高い。韓国政府は日本政府に責任を問うなどしっかり対応してほしい」「韓国国民の命を脅かした。韓国政府は強硬な対応を!」「よりによって独島(竹島の韓国名)の近くで…?なんか怪しい」「政府が強く抗議し、補償を受けるべき。ただ遺憾の表明だけで終わらせないで」「今後は船にも監視カメラを装着しよう」など、韓国政府に積極的な対応を求める声が相次いでいる。
https://www.recordchina.co.jp/b662327-s0-c10-d0058.html

この批判的な声に対応して、警備艇が出動していたのです。しかし何度も書きますが、大和堆は日本のEEZ排他的経済水域)です。公海上ではありません。
韓国の海上警察がそれを知らないはずはないので、これは国内の批判に対応した確信犯です。その証拠が言い訳に出ています。

「現場がルールを理解していなかった」

現場のルールじゃなくて、れっきとした国際条約違反です。この言い方だと「公海上だから、日本の艦船に警告できないのに、やっちゃった」と認識している可能性があります。
「再発防止に努める」と明らかにしたようですが、問題がどこにあるかという段階すら間違ってるかもしれないのですね。
 
■そもそも大和堆韓国海域と認識しているかも
さらに、この事件の起きた大和堆は、竹島と絡んでいます。250km以上離れているのですが、韓国は自分の海域と勘違いしている可能性があるのです。

北朝鮮漁船と日韓漁業協定
日韓漁業協定では、竹島の周辺の扱いで紛糾した事から、竹島を含む地域について暫定水域を設定して、その水域内では両国がそれぞれのルールに従い操業する事になっています(イメージ図)。つまり、日本は日本漁船について取締り、韓国は韓国漁船を取り締まるという形です。
実は日韓漁業協定の交渉過程で、この暫定水域を何処までとするかについて激しい交渉がありました。絶好の漁場である大和堆を含めるよう韓国側から強い要望があったため、最後、大和堆の部分を含めることで合意しました。
https://blogos.com/article/243828/

おそらく韓国の言う「現場のルール」とは、この記事の前段部分。日韓漁業協定により「日本は日本漁船について取締り、韓国は韓国漁船を取り締まる」ということを言っていると思われます。
がしかし、肝心の日韓漁業協定自体が現在停止しているわけで、そもそも大和堆での韓国漁船の操業そのものができない状況なのです。
つまり、今回の警告事件は、日韓漁業協定があっても国際条約違反。無くても国際条約違反の事件なのです。それを認識していないから、「現場のルール」という言い方が出てくるのです。
さらに言うと、竹島が本当に韓国の領土なら、大和堆のほとんどは韓国領海に入るので、潜在的に韓国人は大和堆を「韓国領域」と認識しているのでしょう。日韓漁業協定で日本は大和堆の扱いを大幅に譲歩したので、「日本側に弱みがある」と間違ったメッセージを韓国側に与えた可能性があります。韓国警備艇警告事件も、遺憾だけで終わると、韓国の大和堆日韓漁業協定の認識、そして日本との国際条約を軽んじる韓国の姿勢は正されないまま過ぎてしまいます。それが結局、韓国の日本との国際協定を守らない姿勢に繋がってくるのです。
 
韓国の日本への対応も、日本のこれまでの対応も、全てが繋がっています。たまたま今回死者は出ませんでしたが、次はわかりません。全ての案件が、日本の国益に結びついていることを認識して、外務省には韓国に対応していって欲しいですね。