<火器管制レーダー照射>防衛省映像公開 証拠の逐次投入は愚の骨頂だ

韓国海軍による火器管制レーダー照射問題。防衛省が当時の動画を公開しました。

韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について」平成30年12月28日

http://www.mod.go.jp/j/press/news/2018/12/28z.html

 
■動画でわかった新たな事実
この映像には、火器管制レーダーを受信した瞬間の音などは、軍事機密上の理由から削除されています。また、正確な場所も公開していません。
逆に判明したことは、遭難船が既に発見され、ボートで救出している真っ最中ということです。何を発信しているにしても、捜索のためではないことは明らかと言えるでしょう。最初の説明が、なかったことになるわけです。
また、韓国軍艦の真上を飛んだということもないことがわかりました。船の認識番号を確認するため、横を飛んだのは間違いないようです。
そして、海上自衛隊が以前から言っていたように、3つの周波数で、KOREA SOUTH NAVAL SHIP, HULL NUMBER 971)」と英語で呼びかけているのも確認できます。ただ、その確認内容は、「貴艦のFCアンテナが我々を指向したことを確認した。貴艦の目的は何か?」というもので、「火器管制レーダーを受信した。目的はなにか?」という内容ではありませんでした。韓国側の言い訳が、途中から「光学カメラを向けたが、レーダー照射を行っていない」と変わったのは、海上自衛隊のこの呼びかけを聞き直して、「アンテナの方向しかはっきり判明していない」と判断したためでしょう。
 
■「戦力の逐次投入」は愚かな行為

「韓国国防部、日本の映像公開に「客観的な証拠とはみられない」」2018年12月28日
崔報道官は「相互誤解を解消するための実務級テレビ会議から1日ぶりに日本側が映像資料を公開したことに深い憂慮と遺憾の意を表明する」と述べた。また、「日本側が公開した映像資料は単純に日本の哨戒機が海上から巡回するシーンとパイロットの対話だけだ。一般的な常識からみると射撃統制レーダーを調査したという日本側の主張に対する客観的な証拠とはみられない」と述べた。
https://japanese.joins.com/article/614/248614.html?servcode=A00§code=A10&cloc=jp|main|top_news

韓国側は「軍事情報を公開することはありえない」と見切っているため、全く非を認める姿勢はありません。
「遭難船捜索のためにレーダーを照射した」と言っていた時に、この動画を公開していれば、韓国の姿勢を改める一撃になったと思います。今更ですが。
相手は全く発言を変えても、なんとも思わない人たちですので、やるなら情報の小出しは発言を変えるチャンスを与えるだけです。

「レーダー照射問題 哨戒機撮影の映像公開へ 防衛省
27日に防衛当局間のテレビ会議で、日本側は哨戒機が撮影した映像を提示しましたが、韓国側が「照射の証拠にならない」と反論したため公開に踏み切ることを決めました。日本政府は韓国側がレーダーを照射した事実を認めるまで、少しずつ証拠を提示したい考えです。
http://news.livedoor.com/article/detail/15803716/

つまり既に韓国側に示した内容で、韓国側は「照射の証拠にならない」と認めなかった動画なんですね。韓国側は早々に記者会見をしたのも、「この動画ならいくらでも言い逃れできる」と確信していたからでしょう。
しかも「少しずつ証拠を提示したい考え」とは。戦争の常識として、「戦力の逐次投入は、戦況を長引かせるだけ」っていうものがあると思いますが、防衛省はそれを知らないんですかね?
過去の「従軍慰安婦問題」にいても、「密室では解決しない」とわかっているはずです。なぜ同じことを繰り返すのでしょうか?
 
■韓国側の主張を把握し、否定できる証拠を出すべき
韓国の主張のポイントをもう一度整理しておきましょう。

1 場所は大和堆の公海上
2 レーダー照射をしていない
3 危険な飛行をしたのは自衛隊
4 無線は状況が悪く「コリアコースト」しか聞こえなかった

今回の動画では、4ぐらいしかはっきりしていません。3は編集されている可能性もありますし、「上空は通ってはいないけど近接だった」と発言を変えたら意味がなくなります。
そもそも、今回の最も大きい問題点は、1と2のはずです。1はレーダー照射を受けた位置を明らかにすれば良いことですね。そして肝心の2は、軍事情報で公開ができないことを考えると、同じ情報を共有できるアメリカに「確かに火器管制レーダーを確認している」と言ってもらうぐらいしかないと思われます。
情報の小出しは絶対に悪手です。防衛省には、1から4の問題を、全て反論できる証拠を一度に示して欲しいですね。