日本外交のガンは外務省だった? 韓国への間違ったサインが逆効果に

韓国の右往左往ぶりは、まだまだ継続中であります。
米中に日本を叱ってもらおうなどという記事も出てきてますが、1週間経って両国が何もコメントを発表しないのは、既に話が通っていたってことでしょう。
 
日本政府、次は韓国を“金融攻め”か…反日暴挙の文政権に「厳格カード」 高橋洋一氏「日本はまだカードを温存している」」
わが国としては、韓国側の輸出管理に不備があり、「不適切事案が複数発生した」ため、安全保障上の運用見直しとして、同国への「優遇措置」を取り消しただけだ。同盟国・米国にも事前伝達しているとされる。
普通に考えれば、G20の場で「韓国の安全措置違反の疑いがあるため、優遇措置を取り消すよ」と各国に通知したのでしょうね。そうでないと、中国が何もコメントしないというのは、まずありえません。
 
■まだまだ混乱しっぱなし
頭がテンパっちゃってるのか、なんなのか。報道を見ていても、「国際条約違反をどう解決するか」といった議論は皆無です。出てくるのは「影響がどのくらいあるか」や「日本にどう報復措置するか」という、およそ解決に結びつかない話ばかり。
文大統領のコメントがようやく出てきましたが、「1週間経ってこれかよ」と言いたくなるものでした。
 
韓国・文在寅大統領、日本の輸出管理強化撤回を要求「必要な対応取らざるを得ぬ」」(2019.7.8)
「韓国企業に実際に被害が生じた場合、政府として必要な対応を取らざるを得ない」と強調、「日本側の措置撤回と両国間の誠意ある協議を求める」
「韓国が報復措置を取るかもしれないのか。じゃあ元に戻すか」なんて、日本政府が思うと本当に思って、このコメントなんでしょうか。どんな報復措置を取るつもりかはわかりませんが、それこそWTO違反になりかねないと思うのですが。
そんな中、少しだけ興味深い話が出てきています。「日本の外務省を信じ過ぎた」という反省です。
 
■日本にとっても韓国にとっても、ガンだった?
 
「輸出優遇除外:「日本に相応措置」と言い放つも決め手欠く韓国政府」
外交消息筋は「日本でも既にこの問題は外務省の手を離れて官邸や経済産業省が主導している。韓日両国が力の対決に向かう様相を呈している」と語った。
今回の優遇措置撤廃について、推進したのは外務省ではなく、官邸と経済産業省だったことは、いくつか報道されています。しかし国外の措置に対して、外務省を通さないのは、はっきり言って異常です。官邸が「外務省を信用しない」何かがあったのかもしれません。
 
「日本の報復対策に分秒を争うのに…駐日本経済公使4カ月間不在」中央日報(2019.7.8)
両国外交筋によると、日本外務省は「報復措置リストは総理官邸が中心となって作成された。このリストに含まれた措置について外務省からも様々な意見を出している」とその間粘り強く韓国側に知らせたという。 
  だが、韓国政府は核心である総理官邸内の情報を入手できず「うまくいくだろう」という日本外務省の「外交的修辞」に依存したあげく、虚を突かれてしまったということだ。
日本の外務省は、韓国側に情報提供を続けていたそうなんですね。それで「大変だ。日本と交渉しなきゃ」と韓国側が思うならともかく、そうはなりませんでした。

「貿易量で見る韓国半導体産業の日本依存度」

フッ化水素の対日輸入依存度は2010年の72.2%から43.9%(1~5月)まで下がった

対策を取られたんですね。むしろ日本側の手の内を晒す結果になったわけです。

これだけでも日本の国益に寄与していないのですが、さらに「うまくいくだろう」という間違ったサインを韓国に与えて、今の状況を作り出してしまいました。
これについて、韓国側の分析にはこうあります。
 
政府筋は「青瓦台、外交部、駐日大使館いずれも日本総理官邸や安倍首相側にアプローチできず、韓国に相対的に融和的な外務省などに限って情報を求めているため起きたこと」と話した。
「韓国に相対的に融和的な外務省」。韓国側がそう思うということは、外務省側がそういう行動を、これまで行ってきたということになります。
もちろんあっちこっちにケンカ吹っかけて、周辺に敵を作りまくるのが正しい訳ではありません。それは間違いなく正しく無いのですが、ここ10年の韓国との関係で、融和的と思われるような行為は、日本にとっては損害だったのではないでしょうか。日本の外務省として、本当にその姿は正しかったんでしょうかね?
しかも結局、韓国のためにもなって無いわけですよ、最終的に。
 
決定的瞬間にはずされてしまった上に、韓国側の反省材料にも上げられてしまった外務省。通り一遍の融和だけに固執せず、それぞれの国に適切に対応する外交をして欲しいです。真に国益を守るためにはどうするべきか、日本という国のために猛省を促したいですね。