気勢を上げる韓国政府 悲鳴を上げる韓国企業

8月2日、日本政府は韓国のホワイト指定解除を、閣議決定しました。ロイターから流れてきていた「ポンペオ国務長官による仲裁案」も提示されず、淡々とスケジュールを消化しています。次の山場は8月15日。何が飛び出すでしょうか。

 

■「経済戦争だ!」いきり立つ韓国政府

「経済戦争を選んだ安倍首相…文大統領「私たちは屈しない」」2019-08-03

ホン・ナムギ経済副首相兼企画財政部長官も、国務会議の後に政府ソウル庁舎で開いた関係部署合同ブリーフィングで「私たちも日本をホワイト国から除外して、輸出管理を強化する手続きを踏んでいく」と明らかにした。

また、彼は「日本の措置が世界貿易機関(WTO)規範に全面的に反するものなので、世界貿易機関への提訴準備に一層拍車を加えていく」と強調した。

http://japan.hani.co.kr/arti/politics/34014.html

もう何度目かわかりませんが、韓国は阿鼻叫喚であります。上の記事でもそうですが、前段と後段で矛盾したことを言ってるのに、誰もおかしいと思いません。

ホン財政部長官は「韓国も日本をホワイト国から除外する」と宣言したわけですが、後段で日本のホワイト国除外措置を、「WTO違反として提訴する」と明言しています。日本の措置が「WTO違反」なら、韓国が同じ措置をしたら「WTO違反」で提訴できなくなるのに、なぜ矛盾を感じないんでしょうか。

WTOの場で日本が「韓国側も日本をホワイト指定解除したのに、WTO違反はおかしい」って反論したら、なんて言うんでしょうかね。「日本はダメだけど、韓国はいい」とか言い出す?

とにかく、沸騰する韓国の中で、企業の方はそうもいかず、逆に悲鳴が出ています。

 

■ハイテク材料の全製品内製化なんて絵空事

「韓国半導体業界、輸出規制への対策手詰まりで前途多難」2019年8月2日

しかしサムスン電子とSKハイニックスと取引しているあるサプライヤーの幹部は「国内サプライヤーの努力に加えて、ハイテク材料を内製化しようとする現在の国家的な取り組みは続くだろう。とはいえ全ての材料を自前で代替するのは不可能だ。そこに到達するには相当な時間がかかる。われわれは日本と協力する必要があるのだ」と打ち明けた。

https://jp.reuters.com/article/southkorea-japan-chip-analysis-idJPKCN1US04K

全部材の内製化なんて、世界中どこの国でもやってないんだから、当たり前のことです。まぁ、技術は金出して買ってくることはできますから、一から開発する必要はないかもしれません。

しかしそれを製造し始めると、自国だけでは全く利益が出ないでしょう。となると、世界に売って行かなくてはならなくなりますが、そうなるとライバルは日本企業となるわけです。これはもう、ちょっとやそっとじゃ利益を出せる話ではありません。韓国企業が不可能だと言うわけです。 

とはいえ、そんなことしなくても、普通に申請されていれば、約90日の審査機関を経て輸出は許可されるでしょう。今回の話は元々、それだけの話なんですから。ですからあと2か月ちょっとで、だんだん申請が許可されるはずです。別に驚くほどの話にはなりません。普通なら。

 

■結局、これもファーウェイ案件であった

今回のホワイト国除外措置で最も変わることは、日本産の高純度フッ化水素などの戦略部材が、韓国から中国の工場へ輸出されることが不可能になる点です。やれ北朝鮮だ、イランだ、と話がありましたが、それらはミスリードだったということなんでしょうか。

「対韓国輸出管理:「横流し先は中国か」を統計から読み解く」 2019年07月17日

この統計からわかるように、中国は日本よりも韓国、台湾からフッ化水素酸を輸入している。重要なことは、中国・台湾にはそれなりに、高純度(と称している)フッ化水素酸製造工場があることだ。逆に、韓国に中国へ輸出できるほどの高純度のフッ化水素酸製造工場があるのかどうか。

http://agora-web.jp/archives/2040357.html

中国貿易の専門家、五十嵐氏が中国の国別フッ化水素輸入量を、統計データから引っ張り出して可視化してくれています。

驚くことに、中国には日本の100倍以上のフッ化水素が、韓国から輸入されているのです。その量、なんと月に300トン。多い時には500トンを超えます。日本から韓国への輸出は、激増して月3000トンを超えています。

ちなみに、台湾も同じような量のフッ化水素を輸出してますが、台湾には日本からの輸出がほとんどありません。つまり台湾が中国へ輸出しているフッ化水素は間違いなく自前です。

しかし韓国は違います。中国にはサムスン西安工場、SKハイニックスの無錫工場があり、中国ファーウェイ向けにハイエンド半導体を大量に製造しています。それらの製品製造に必要な、高純度フッ化水素を自前で精製できるなら、こんな大騒ぎにはなっていません。五十嵐氏が、韓国の「フッ化水素横流し」が間違いないと結論する理由です。

つまり今回のホワイト国除外措置で、韓国から中国のサムスン工場やSK工場で使用する戦略部材を横流しすることは、ほぼ不可能になるわけです。それは工場の交換部品から、センサー、燃料など、1000を超える部材が該当します。

中国としては他人事でなくなるわけで、日本になんらかの圧力を掛ける可能性もありましたが、非常にナイスタイミングでトランプ大統領が「新たな追加関税」を発表してしまい、それどころではなくなってしまいました。

 

■ナイスなトランプツイートで世界の目が逸れる

「トランプ氏、9月からまた中国に追加関税とツイッターで発表 貿易戦争悪化へ」2019年08月2日

ドナルド・トランプ米大統領は1日、9月1日に中国からの輸入品3000億ドル分(約32兆円)を対象とする追加関税を発動するとツイッターで表明した。

https://www.bbc.com/japanese/49201932

 いやぁ全く良いタイミングで、やらかしてくれたお陰で、世界の目は日本の「韓国ホワイト国除外措置」から、トランプツイートに移ってしまいましたね。騒いでるのは韓国だけです。

このまま行けば、たとえ約90日の審査を合格し、輸出が再開されても、中国の工場が止まってしまう可能性があります。それは中国側にとって、韓国が「ファーウェイ規制」に乗ったように見えるかもしれません。

「韓国株2日 続落、2000割れ 7カ月ぶり安値 米中対立を懸念 」2019/8/2

https://www.nikkei.com/article/DGXLASB2IDE22_S9A800C1000000/

さらにトランプツイートと、ホワイト国除外措置のダブルパンチで、韓国株価、ウォン相場共に下落しています。早急に対処しないと、韓国は今年中にも、大変な事態になる可能性もあるわけで、ノンキに反日運動をやっている場合ではありません。

過去には、こういう状況になると「日本との通貨スワップ締結」という話が必ず出てきたのですが、今回はまだ静かです。

日本の財務省は、今から「韓国側からの通貨スワップ要請にどう答えるか」の文案を考え、先手を打って韓国に圧力をかけて欲しいですね。