ハンギョレ叫ぶ「日本は韓国に誠意を示せ」 日本が進めるべき「河野談話」の処方箋

韓国への輸出管理強化から2年が経ちました。韓国のメディアでは「韓国が日本の報復に立ち向かった」「国産化が進んだ」との大合唱ですが、改善率は実は10%に届きません。
なので、「問題ない。韓国は大丈夫!」という記事と、「このままじゃヤバい!」という記事が錯綜することになります。そんな中、ハンギョレ新聞が珍しく泣き言をのような記事を出しました。

■韓国の日本への努力の中身

「日本は「感情に流される国」になりたいのか」
35年にわたる植民地支配の苦しみを記憶している韓国人の心は、日本人の小さな妄言一つに大きく揺れもする。東京五輪のウェブサイトに載った地図にかすかに独島が表記されているというニュースが伝わり、与党の主な大統領選候補たちは「五輪をボイコットしよう」と主張している。そのような極端な意見に対峙しつつ菅首相に近づいた文大統領の気持ちを日本も察してほしい。
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/40289.html

タイトルだけ見れば凄いというか、「お前が言うな」と言いたくなるんですが、中身は結構柔らかいです。ハンギョレにしては。
なにしろ「韓国人は日本の言葉一つに大きく揺れる。だから配慮して欲しい」って言ってるんですよ。昔のハンギョレなら、こんなことは絶対書きませんでした。
とはいえ、虫のいい話であります。韓国は努力をしているので、誠意で答えろという、その「努力」の中身はなんなのか。

「いつも感情に流される日本」、(慰安婦問題を記憶し、後世に教育するという河野談話の)「約束を守らない日本」、(30%台に落ちた支持率回復のために)「反韓感情に依存する日本」。そのような軽蔑のこもった視線で最も近い隣人を見つめないように、韓国人は本当に必死に努力している。

「感情に流される韓国」「約束を守らない韓国」「支持率回復のために反日感情に依存する国」というのは、散々日本側で言及されてきた内容なんですが、よっぽど気に食わなかったんでしょうね。ひっくり返してきました。
日本が感情的な事例として、加藤官房長官が文大統領の来日報道を完全否定したことを挙げています。
「それで日本が得ようとしているものは何なのか。」
と指摘していますが、そもそも来日否定は加藤官房長官だけでなく、韓国大統領府も否定していることです。

「韓日政府とも否定しているのに…「文大統領の五輪出席」なぜたびたび出るのか」中央日報
韓国もまた、この報道はいまさらという反応だ。「文大統領の東京五輪出席の可能性はいつでも開いているが、最近になって外交ルートを通じて公式に訪日の意志を打診したことはない」というのが韓国政府の説明だ。
https://japanese.joins.com/JArticle/279696

 そして「支持率のために反韓感情を利用してる」というのは、広く韓国人に根付いた「日本の認識」なんですが、残念ながら日本では、もともと反韓しても支持率なんて上がりません。韓国支持を叫んだから、支持率が下がることはあるかもしれませんが。

日本で支持率が影響する外交となると、対象はアメリカでしょう。次点で中国。残念ながらこの辺りのことを理解する韓国人は少ないです。

さて問題は、「河野談話」を「約束」と認識する点です。これは韓国人の大多数が思ってることであると同時に、「慰安婦問題」の「強制連行」の「証拠」として扱われています。韓国では。
韓国人と「慰安婦問題」で議論したことある人は知っていると思いますが、「強制連行の証拠」の話になると、大概河野談話が出てくるんですね。
「談話は証拠じゃないよ。談話だよ」と言ってもなかなか理解してもらえません。「証明とは何か」「証拠とは何か」という点について、なぜか韓国人は適当です。
まぁでも、「河野談話」がここまで様々な利用のされ方をするとは、思いませんでした。なんとかする必要があるなぁと個人的に思います。

河野談話は撤回すべきか

慰安婦の嘘を暴いたハーバード大教授に韓国人が卑劣な攻撃」jbpress(2021.7.2)
再検証で否定した「はず」であるが、世界も日本の反日勢力もそうは受け取っていない。ここは明確に河野談話を破棄する以外にない。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65885?page=7

陸上自衛隊の論客、森清勇氏が吠えていますが、さすがに撤回は難しいでしょう。

しかし、もともと河野談話は「これ以上慰安婦問題を韓日外交懸案で申し立てない」という韓国側の約束のもとに出された談話でした。韓国側がその約束を反故にした段階で、談話も効力を失うのが外交の「相互主義」のはずです。ですが、当時談話がこの外交交渉によるものであることは、公にしませんでした。当時の外交方針の大きなミスだったと思います。

逆に韓国側では、この談話が「外交懸案にしない」という交渉のもとであることは報道されていました。政府の外交成果なので、大いに喧伝されていたのですね。でもこの約束は反故にされました。この点について韓国側がどう認識しているか、当ブログで2016年に東亜日報の記事を引用しています。

 

「安部、初めてお詫び言及 『不可逆的解決』は足かせになる可能性」東亜日報2012.12.29

1993年の河野談話直後に韓国政府は、「これ以上慰安婦問題を韓日外交懸案で申し立てない」と言及したが、日本が独島、教科書、靖国神社で歴史問題の挑発を続けたため、約束は変更された。

https://tenten99.hatenadiary.org/entry/20160104/1451912980

なんということでしょう。しっかり約束を変更した認識があるのです。当時から国家間合意の勝手な変更を、なーんとも思ってなかったこともわかります。

河野談話の対処法は、この「国家間合意を勝手に保護した証拠」として扱うのが正しい選択だと指摘します。

つまり、まとめるとこんな感じです。

  1.  河野談話は日韓間で文言を調整してまとめた。
  2.  談話発表の代わりに、韓国政府は慰安婦問題を外交懸案として申し立てないと合意した。
  3.  しかし韓国政府はこの国家間合意を勝手に無視した。
  4.  外交は本来、相互主義である。
  5. (なので、河野談話は無効である)

ここで5は言いいません。政府答弁に一貫性のためにです。

でも1から4までを、繰り返し繰り返し言及するのです。結論を言わなくても、何が言いたいかは伝わるでしょうし、責任は国家間合意を破った韓国にあることを示せます。

そうです。これが狙いです。河野談話は「歴史の証拠」ではなく、「韓国が国家間合意を破った証拠である」と再定義するわけです。

証拠なので、撤回する必要がなくなるわけですね。河野談話を韓国だけでなく、日本も外交武器として利用する。外務省は是非日本のために、かしこく立ち回ってください。