万能細胞のブレイクスルー

人胚細胞から万能細胞を作る方法には、倫理的な問題と技術的な問題がありました。
倫理的な問題は、もちろん人の受精した卵子を破壊して作ることです。技術的な問題は、人の卵子で作った万能細胞は「拒絶反応」が出ることがあるということ。
京都大学山中教授は、この2つの問題を一気にクリアする方法を発見しました。
細胞は人の皮膚から。同一人物から取れるので「拒絶反応」もなし。
実にわかり易いブレイクスルーの瞬間です。

とはいえ、人胚細胞の研究も必要なのです。「皮膚の万能細胞とどこが違うのか?」「共通点、相違点は何か?」
今後の発展のためには、比較研究は極めて大事です。
ただ研究のメインストリートではなくなってしまいました。人胚細胞に真剣に取り組んでいた研究者ほど、そのショックは大きいようです。
山中教授らの研究成果を見て、ヒト・クローン胚の研究を断念した」クローンヒツジ「ドリー」のイアン・ウィルマット博士
自分の研究が、メインストリートではなくなってしまったことは、研究意欲を著しく削ぐものでしょう。
しかし今後の発展のために、人胚細胞研究を続けていって欲しいと思います。
既にドイツの医薬品企業が、人での実験で特許を取っていたかも知れないという報道がなされています。
日本は、ブレイクスルーを今後に生かせるようオールジャパン体制でぶつかって欲しいですね。