E3でわかったVITA、3DS、WiiUハード性能最新情報

2011年のE3が終了しました。Xbox360陣営には予想通りあまりビッグアナウンスがありませんでしたが、他陣営は予想にたがわぬ新情報満載でした。表裏どちらに捉われず、様々に漏れてきたハード情報をまとめたいと思います。
 
・VITA(NGP) SCE

「携帯ゲーム機「ヴィータ」は3年以内に利益確保へ=ソニー副社長」
[ロサンゼルス/東京 8日 ロイター] ソニー・コンピュータエンタテインメント平井一夫社長(ソニー副社長)は7日(米現地時間)、ロイターのインタビューに応じ、携帯型ゲーム機プレイステーション・ポータブル(PSP)」の後継機「プレイステーションヴィータ」について、ハード本体の販売で3年以内に利益を出すことを目指すと述べた。
事前には高価格が予想されていたが、6日(現地時間)に発表した価格は3Gモデルが2万9980円と3万円を割り、戦略的な価格を設定したとみられている。
http://jp.reuters.com/article/technologyNews/idJPJAPAN-21590520110608

Wifi版が2万4980円。3G&Wifi版が2万9880円と非常に安いものでした。私はSCEの主力は常時接続ができる3G版だと思っていたのですが、Wifi版が安い予想外の結果に。少なくとも日本では、価格が高い上に常時課金の3G版の販売は厳しいものになるのが、目に見えています。SCEは3G版を本当に売るつもりがあるのでしょうか?
と、ここで平井副社長の言葉に気がつきました。
 

平井:1つ見えているのは、PCのゲームを見ていても、少額課金が流れとして大きくなってきていますので、それを積極的に取り込もうというパブリッシャーさんが増えている、ということです。ネットワークにつなぐのが、「常識」というと言い過ぎかもしれませんが、ある意味前提となっているデバイスになりましたから、いかようにもビジネスモデルが組み立てられるとは思っています。
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/rt/20110609_451635.html

むむ? ネットワークにつなぐのが、前提となっているデバイス? Wifi版はPS3を持っているか、別にWifiルータでネットワーク環境を構築しているユーザーでなければ、ネットワーク使えませんよね。Wifi版と同じ環境となる、PSPの利用形態でもっとも多いのは、PSPを持ち寄ってのアドホックパーティーで遊ぶことです。
そうではなくて、平井副社長の言う「少額課金」を構築するための仕掛けが、3G導入ではないのでしょうか? しかし価格設定で高くしたら、最初から平井副社長の目論見は瓦解する気がするのですけど。
Wifi版でネットワーク前提とするならば、Wifiルータ契約必須にでもしないと成り立ちませんが、まさか、そうなのでしょうか? VITAは、3GだろうとWifiだろうと本体購入と同時にルータ契約必須となる? うーん、平井副社長のVITAでのビジネスモデルをどう見てるのか、さっぱりわかりませんね。9月15日から始まる東京ゲームショウで、回線契約の情報が出てくることを期待しましょう。
 



3DS 任天堂
3DSでも性能の一端がわかる情報が出てきました。

「KONAMI、今年の大作開発者へのインタビューセッションを開催」
【Q】プレイステーション2版との違いを教えてください
グラフィックス的な面でいえば、PS2では苦しかった屋外の表現、ジャングルの表現が、3DSではだいぶ余裕を持って実現できた。また、法線マップやスペキュラ表現など、PS2ではできなかった表現も「MGS3D」には盛り込めたことで、CG表現のクオリティとしても高品位なものとなった。
 ちなみに、調整に調整を重ねたが、結果として容量的には、通常の3DS版カートリッジには収まらなくなり、ついに3DS向けタイトルとして初の4GBカートリッジの採択が決定された。これは1つのニュースとしてお伝えしたい。
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110610_451943.html

据置機であるPS2と比較されることに感慨深いものを感じます。ポリゴン表示性能については、PS2に劣ると思いますが、やはり固定シェーダーをガリガリ使える3DSは、見た目の高品位を保てるのですね。また早くもSDカードは4GBに突入と、携帯機の容量上昇具合が物凄いです。NGPも既に4GB対応を発表済みで、この流れはさらに加速すると思われます。
 



WiiU(Wii2)任天堂

【本体概要】
本体サイズ 約46×約172×約268.5mm(高さ×幅×奥行:突起物含まず)
新コントローラ 新コントローラは、6.2インチ、16:9のタッチスクリーンとおなじみのボタンコントローラが合体したものであり、2つのスライドパッドがついている。

この充電式のコントローラには電源ボタン、HOMEボタン、十字ボタン、A/B/X/Yボタン、L/Rボタン、ZL/ZRボタンがついている。また、加速度計、ジャイロセンサー、振動機能、カメラ、マイク、スピーカー、センサー部、タッチペンを備えている。
ほかのコントローラ Wiiリモコン(もしくはWiiリモコンプラス)は最大4本まで同時に接続できる。ヌンチャクやクラシックコントローラクラシックコントローラPRO、バランスWiiボードなど、あらゆるWiiコントローラや入力装置に対応する。
メディア 新ハード用12cm高密度光ディスクおよび、Wii用12cm光ディスクをプレイ可能なセルフローディング式(自動的にディスクを引き込む方式)のドライブを1つ搭載。
ビデオ出力 1080p、1080i、720p、480p、480iに対応。HDMIコンポーネントD端子S端子、コンポジットの各ケーブルに対応。
オーディオ出力 AVマルチ出力端子からの出力およびHDMI 端子からの PCMリニア 6CH 出力に対応。
容量 内蔵フラッシュメモリに加え、SDメモリーカードや外付けUSBハードディスクドライブを利用することで容量を拡張することができる。
CPU IBM Powerを基にしたマルチコアプロセッサ
そのほか 4つのUSB 2.0端子を備えている。新ハードはWiiのゲームとの後方互換性がある。
http://game.watch.impress.co.jp/docs/series/3dcg/20110610_451799.html

まず基本性能を確認していきましょう。今回も日経のトバシ記事は的中しました。どうも毎回同じソースから情報が漏れているようです。
任天堂カンファレンスで勘違いしそうになりましたが、まるで本体のように扱われていたのが、WiiU本体に付属する新コントローラです。タッチパネル兼用6.2インチ液晶モニタの姿は、PADを思い出させますね。この記事で指摘したように、本体から無線で画像を飛ばしています。様々なレポートで「見た目より軽い」という評価がされていますが、この無線転送がその理由ですね。解像度こそSDレベルですが、レンダリングしない以上GPUやらメモリやらといった部品点数は確実に落ちるわけで、それが軽さにつながっているわけです。
 

IBMがガジェット系サイト「Engadget」に語ったところによれば、プロセッサースーパーコンピューター「ワトソン+」に用いられたものと同じ技術をもとに作られているそうです。「ワトソン」はクイズ番組で、二人の人間チャンピオンに勝ったことでも有名です。
http://www.kotaku.jp/2011/06/wii_cpu_ibm.html

コアチップは、IBMによるとスーパーコンピュータにも使用されるPower7と同じ技術を使用しており、プロセスは45nmだとか。最新のハイエンドサーバに使われるCPUとは、予想外の選択です。もの凄くクロックを落としたり、いろいろ機能をカスタマイズしないと、消費電力がとんでもないことになるんじゃないでしょうか? 
続いてGPUです。

まず、AMD(旧ATI)製のGPUだが、これはDirectX 10.1世代であることが判明した。
DirectX 10.1世代というと、プログラマブルシェーダー仕様4.1(SM4.1:Shader Model4.1)世代と言うことになる。 プレイステーション 3Xbox 360GPUDirectX 9世代SM3.0世代なので、Wii UGPUは家庭用ゲーム機としては最も最新世代のプログラマブルシェーダー仕様に到達したということだ。 ちなみに、PCの方では、2009年に発売されたWindows 7の時点で、DirectX 11世代SM5.0への移行が行なわれているので、残念ながら、超最先端というわけではない。ただ、これまでの「任天堂ハードは3Dグラフィックスのクオリティが低い」というような陰口は、Wii Uには通用しないと言うことになる。

さて、そのベースアーキテクチャだが、RADEON HD4000系であると言うことがわかった。
RADEON HD4000系は、DirectX 10.1世代GPUとして2008年にリリースされたGPUだ。その意味では3年前のアーキテクチャであるが、PS3が2005年のGeForce 7800系であることを考えれば、アーキテクチャ的には3年分、Wii Uの方が新しい。
ただ、AMDは「現状では、現行家庭用据え置き機の中では、間違いなく、最高の3Dグラフィックスパフォーマンスが発揮できる先進的なGPUである」と胸を張る。
http://game.watch.impress.co.jp/docs/series/3dcg/20110611_452478.html

現在最先端はSM5.0です。明らかにわかるほど見た目が良くなっていて、グラフィックの進歩はまだまだ続くのだな、と納得できます。SM4.1はその前のバージョンで、なぜかマイナーです。とはいえ、現在SM5.0を動かすパソコンとなると非常に高価なハイエンドパソコンをそろえる必要があり、WiiUでそれが載らなかったのは、価格と必要部品の多さによるものでしょう。SM5.0を安価に楽しむためには、未来に出るであろうPS4やXbox720に期待するしかありません。
とはいえAMDが太鼓判を押すとおり、据置機最高3DグラフィックスはWiiUとなることは間違いないと思われます。当初はPS3Xbox360とほぼ同等のグラフィック性能を達成するに留まると思われたWiiUの性能ですが、非常にまっとうに性能アップを遂げ、Xbox360の3倍から4倍の性能を達成してきました。
今後はPS3Xbox360WiiUの3機種マルチソフトが、非常に増えることでしょう。
 



<まとめ>
WiiUのコントローラPAD化は、リモコンヌンチャクの方向性と一見かち合うように見えます。しかしE3や公式サイトで示された使用環境は、リモコンとPADを共存させる方向を目指しているようです。特に手元にモニタが来ることへの影響は、予想より大きな変化をもたらすと思います。まず、ソフトウェアキーボードがデフォルト搭載したのと一緒という環境は、リモコンの欠点を大いに埋めることになります。
リモコンを見たとき、私は「懐中電灯ゲームがいっぱい出てくるな」と思いました。今度は「撮影ゲームがいっぱい出てくる」でしょう。零新作は、まず間違いなくPADコントローラーを、射影機に見立てて戦うゲームになるでしょうね。アナウンスが待ち遠しいです。