ソーシャルの実相 ドリランドに確率調整は存在するか

4月16日まで停止する予定だった指定カードのトレード機能ですが、停止期間が4月25日まで伸びました。アナウンスは例によって、ドリランドサイト内で行われており、インターネットから把握することはできません。

このたび、4月17日(火)のトレード再開に向けて、調査および改善への取り組みを進めてまいりましたが、ご利用環境の整備に今しばらくの時間を要するため、トレード再開日を以下のとおり延期させていただくはこびとなりました。4月2日〜25日(水)迄延長!!
※利用環境向上への取り組み「カード・アイテムへの追跡ID導入」
http://doliland2.game-gree.com/information/tarde-stop/

「カード・アイテムへの追跡ID導入」。そうです。ようやくカードに個別IDが振られることになったのです。「こんぼう」たくさん持ってただけでアカウント停止とか、アホな対応を連発してきたグリーですが、ドリランドのユーザー激減を受けて、尻に火がついたようですね。
この対応が、額面どおりまっとうなユーザーに、良い環境を作り出すことを望みます。
 
■「コンプガチャ」に確率調整は存在するか
ガチャシステムの確率調整がまことしやかに囁かれて早数年。特にコンプガチャシステムは、コンプ間近になればなるほど自然と確率が低くなるため、ユーザーは抜け出すことが難しいシステムになってました。最初から「1000回やっても当たらない可能性が高い」と言われたら誰もやらないでしょうが、「最初は10回程度で1枚揃う」と言われると、心理的障壁はかなり下がります。これは誰にでも起きる心理現象です。
そんなコンプガチャですが、当たりにくいのは、そのシステムの特性だと言う人が出てきています。こんな感じですね。

半分そろったところから、急激に確率が変わっていく。特に最後の1枚は2%しかないので、50回引かないと当たらない。この最後の1枚がなかなか出ないというところから、ゲーム運営会社が確率を変動させているのではないかという疑いが持たれている。しかしこれは確率の錯誤である。
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/1204/09/news058.html

錯誤とまで言いますか。いや、いいんですけど。
実際にやってる人ほど、こういう意見に違和感を覚えるでしょう。なぜなら「ストッパー」の存在があるからです。
 
コンプガチャの門番「ストッパー」とは
イベント戦では、6枚とか8枚とか、凄いのになると9枚とかレアカードを集めることになります。ネットや掲示板では、こうしたレアカードの出現確率を予測しようと、投入金額と当たったレアカードの情報交換が頻繁に行われます。
「あー、これ10万やっても、コンプできないかも。という訳で、さようなら」
「とりあえず、10万円は回してみます」
「俺は30万まで行くぜ」
こうした情報交換で、コンプまでの期待値を探ることが出来ます。いや、実にソーシャルですね。楽しいのかどうなのか、客観的には全く理解できませんが、ソーシャルゲーム面目躍如のコミュニティ形成です。さて、こうして情報交換していると、なぜか最後に残るカードが、みんな同じになることが判明します。
「ああ、下段左から2番目、3番目が出ねえ」
「俺も」
「下の左から2番目、30万突っ込んでも出ません! うわああん!」
このような、なぜか決まってる最後の1枚、もしくは2枚を、誰が呼んだか「ストッパー」と言います。かつて一世を風靡した「ビックリマンチョコ」でも、シールによって出現確率が違っており、いわゆる「キラシール」は出現率が非常に低く、レアシールとして人気を集めました。これが後の公正取引委員会の指導で同じ確率となり、ブーム衰退の呼び水になったと言われております。
もし本当に、カードが確率調整されてなければ、みんな同じカードが最後に残るなどと言う怪現象は起きません。当たり前ですね。しかし実際には、重課金イベントには必ずと言って良いほど、ストッパーが存在したのです。今更「錯誤だ」と言われても「実態と錯誤している」と言うほかありません。
4月までは。
実は今年の4月に入って始まったイベント戦では、ストッパーの位置が人それぞれ変動し始めたのです。ある人は、上段一番右。ある人は、下段右から2枚目。またある人は、下段一番左。これは行政指導回避に向けて、遂にコンプガチャからストッパーがなくなったのでしょうか?
しかしコミュニティに飛び交う情報を集めて、最後の一枚に至る確率を計算していくと、依然としてなんらかの係数が掛かったように突然期待値が大きくズレます。ひょっとしたら、最初の一枚が当たった瞬間や、掛けた金額で、ランダムにストッパーが変動するシステムが導入されたのかもしれません。
もちろん、こんなストッパーの存在をグリー側は否定しています。確率調整もやっていないと言っています。ランダムストッパーの存在も、私の推測です。もっとも、もしこんな仕様を入れられたら、内部告発でもない限り、ユーザー側で把握することは不可能でしょうが。
あ、いや。1つありました。それはなんらかのバグが起きることです。グリーのこれまでの開発力を見ていると、こんな仕様を導入したら、まず間違いなく予想外のバグが発生します。本来横一線で行われてるイベント戦で、ありえない特定のバグが発生したら、ランダムストッパーの存在を疑う材料になるかもしれません。
 

■グリー、「利用環境の向上に関するアドバイザリーボード」を開催
4月20日に開催された、各分野の専門家を集めた利用環境検討会。その内容が公開されました。問題を3つに分け、ワーキンググループ形式で検討していくようです。

1. リアル・マネー・トレード(RMT)※対策の強化
2. 青少年ユーザーの適正利用のための環境整備
3. ソーシャルゲーム内における分かりやすい表示
http://www.gree.co.jp/news/press/2012/0423_03.html

細かく見ていきましょう。RMT対策についての注目点は、
・アイテムトレードの機能制限
・トレーサビリティ向上による検知・追跡強化
の2つでしょう。現在、コンプガチャ獲得SSRカードが、トレード禁止になっています。今後もこの対策が採られると、RMT目的のユーザーは激減すると思います。もちろん不正複製で一儲けを考える悪質ユーザーも、かなり駆逐されるはずです。グリーやモバゲーでは、これらのユーザーも、同じ客として今まで放置してきた背景がありますから、大鉈を振るうのか、いろんな人が見守っているでしょう。

 
次に「青少年ユーザーの適正利用」ですが、中身を見ると、高課金してしまう未成年ユーザー対策ですね。出会い系対策の視点が抜けてるのが気になります。メールを年齢別に枠を掛けて、完了なのでしょうか?
 
3番目。「ユーザーがゲームのルール・内容について誤認せず、安心して楽しんでいただくために、ゲーム開発会社に対して、ユーザーに分かりやすいルール、利用条件の説明等」を検討するとしています。ガチャシステムの確率表示化が主題なのかと思いましたが、どうなんでしょうか。
誤認と言えばですね。4月から始めたドリランドでの確率表示「20%確率アップ!」ですが、最初の確率が表示されないと、それこそ誤認を与えますよね。0.001%の確率が「20%アップ」すると、どうなるのか? 0.0012%になるだけです。いや上がってますよ、もちろん。でも「20%確率アップ!」という語感が与える期待と、実際の確率とは、明らかな差があるのではないでしょうか? 
この辺の問題が解決されるかどうかで、ワーキンググループの実効性が測られるのではないかと思います。
 
ところで、このアドバイザリーボードに、ゲーム業界ジャーナリストの新清士氏が、上記そのままの論点を挙げて、記事にしていました。

ソーシャルゲーム問題は何が焦点か〜社会に認められるために必要な論点整理」
ただ、現時点で、IT関係は選挙の際に、地域に直接利益を落としにくいため、票に結びつきにくいのはよく知られている。
こうした問題に詳しく、助力を得られそうな国会議員は見当たらない。そのため、どこから手をつけたらいいのかが、今、私にはアイデアがない。
http://agora-web.jp/archives/1449363.html

なぜでしょう? 「担いでくれれば、私が政治家になるよ」という行間のサインを読み取った気がするのは、私の心が濁ってるからなのでしょうか?