週刊ダイヤモンドが報じるグリーの危機

週刊ダイヤモンド2013年7月27日号は「ゲームウォーズ」と題して、ソーシャルゲームを中心にゲーム産業を取り上げました。その中で1章設けられたのが、「新興勢力が台頭、明暗分かれるDeNAとグリー」です。
特に海外市場の明暗について、グリーの現状を詳報しています。

英国・ロンドンにあるグリーの事務所が7月2日、激震に見舞われた。青柳直樹取締役執行委員常務は社員らを集め、突如としてその閉鎖を言い放ったという。
「日本の利益が落ちていて、海外事業を支えきれない。ロンドン事務所のコストは特に高い」

こんな出だしから始まるグリーの内情は、本当に厳しいものです。特に注目なのは月間利用者数の減少ですね。DeNAが2012年1月と2013年6月を比較して、6%減の下落に留まっているのに対し、グリーは21%減という壮絶な数字が出ているのです。1年半で2割減って凄い話ですよ。利用者の実数的には、DeNAが376万人に対して、グリーは238万人と100万人単位の差が出ているのも、そのせいということになります。
そして「海外事業を大幅に縮小することに踏み切った」というのが、報じる内容です。この海外市場へのアプローチがどうなったのかが、報じる媒体で違うのですね。というか、日経が違うのですね。
 
■グリーは海外撤退を決めた?

「グリー、海外4拠点を閉鎖 北米などに機能集約」2013/7/10
グリーは英国やブラジルなどにある海外の4拠点を閉鎖する方針を固めた。韓国でも3割の人員を削減する。同社は2011年から海外で交流ゲーム事業を展開してきたが、ヒット作が生まれず赤字が続いていた。今後成長が見込める北米などに機能を集約し、年内に黒字化を目指す。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD090FP_Z00C13A7TJ2000/

上記は日経新聞です。グリーは北米に機能を集約し、年内黒字化。この「機能集約し、年内黒字化」がミソです。「縮小」とは言わないのですね。
しかし、東洋経済は全く別の内容を報じています。

「業績悪化のグリー、エース青柳氏が国内復帰」
今回の担当変更は、グリーが一旦、海外事業の拡大をあきらめることを意味していそうだ。すでに7月末まで英国ロンドンオフィスなど8つある海外拠点を半減させることを決めており、青柳氏が国内に軸足を移すことで、まずは国内市場のテコ入れを優先する。「青柳氏は引き続き海外事業責任者を続けていく」(グリー広報)とするが、「海外事業は実質撤退と言っていい」と見る別の関係者もいる。
http://toyokeizai.net/articles/-/15980

イギリス事務所を閉めて戻ってきた青柳氏の異動を根拠に、「実質撤退」と報じているわけです。今回ダイヤモンドが報じたとおり、日本市場の低迷で、海外事務所が支えきれないせいだとすれば、「機能集約し、黒字化」というは外向けの方便ということになってしまいます。とりあえず黒字化しそうな北米だけ残して、あとは仕切りなおしということなら、そう発表して欲しいですね。少なくとも、「大成功」したはずの海外進出タイトル「Zombie Jombie」がどんな結果になっているのか、しっかり総括しない欲しいものです。
グリーの年度決算は、8月14日。どのような海外黒字化計画なのか注目しています。
 
■タイプ別ソーシャル戦略
週刊ダイヤモンドでは、他のソーシャル各社のスタンスも、インタビューの形で報道しています。

市場戦略 社名
ガチャ クルーズ(モバゲー)
ガチャ サイゲームズ(モバゲー)
遊べるブランド ガンホー
マルチメディア展開 角川ゲームス
数打ちゃ当たる コロプラ
版権タイトル Klab
ガチャ バンナム

見た目重視に走る従来ガチャ勢(バンアムはアイドルマスターですが)、開発費をスリム化し、10本中2、3本当たればいいやというコロプラ。その中でガンホーの「面白さ重視」のスタンスはやはり特殊です。というか、あんまり面白さ重視よりガチャやらイベントやらで、ガリガリ稼ぐ印象があったんですがね、ガンホーって。
でも社長本人がこんなこと言ってます。
「正直なところ、自分たちのゲームが「悪い物」として扱われるのが嫌なんですよ。悲しいじゃないですか。オンラインゲームの経験から、課金のし過ぎはゲーム離れを招くことがわかっています」。
うーん、市場を荒らすんじゃねえってことなんでしょうか。
スマホ版がヒットする前から平行して企画を進めていた」という家庭用ゲームに注目しています。