中国デフォルトリスク増大 不動産バブル抑制策で余った金が今度は株へ

あまり報道されなくなってしまいましたが、中国で続々とデフォルトが出始めています。不動産バブルを軟着陸させるために、中国政府が様々な操作を行っていますが、そう簡単にはいっていません。
 
■毎月中国のどこかがデフォルトに

「中国ボトル製造会社の珠海中富、社債が同国4件目のデフォルトへ」2015年05月22日
http://www.newsweekjapan.jp/headlines/business/2015/05/149694.php

デフォルトの数は、今年に入って既に4件に達し、国有企業やドル建債権企業もデフォルトになりました。もちろん中国政府がコントロールしているので、いずれも規模が小さいです。
しかし国有企業までデフォルトを認めたということは、今後も色々な業種でデフォルトが容認されるというサインなわけで、注視が必要なのは間違いありません。
 
で、社債のデフォルトが起きれば、当然社債の格付けが下がり、資金調達のコストが上がります。

「中国、社債格下げ相次ぐ 成長減速で収益力に陰り」2015/4/24
中国で社債の大幅格下げが相次いでいる。成長減速で稼ぐ力が落ち、一部の企業で過剰投資で膨らんだ借金の返済が難しくなった。21日に国有企業が初めて債務不履行(デフォルト)に陥るなど、政府が企業の支援に消極的になったことも背景にある。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO86085480U5A420C1FF1000/

困った企業はどうするか。
なんと株式発行に走ったんですね。
 
■株バブルに沸騰する中国

「中国の不動産開発会社、記録的な株式発行-社債保有者にも恩恵」2015/5/19

中国企業2社がドル建て債でデフォルト(債務不履行)に陥ったことを受け、年初からの同国不動産開発会社によるドル建て債発行は52%減少。中国株式相場の上昇で、不動産開発会社は成長に向けた資金の調達手段、および信用損失の緩衝材の役割を株式に求めるようになっている。

オランダの資産運用会社ロベコの債券担当シニアバイスプレジデント、モーリス・メイヤー氏は、エクイティファイナンスの増加で「中国不動産セクターはこの先、より安全になる」との見方を示した。
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150519-00000017-bloom_st-nb

どこが安全なんでしょうかね。そもそも社債発行が激減したのは、記事の冒頭にもある通り、デフォルトリスクが増大したからです。株で一時的に資金を得たからって、不動産セクターが安全になんぞならないでしょう。
まぁ、債券が株式の金で担保されてラッキー的なことも書いてあるので、それはどうなんだという記事ですけど。
 
とにかく、中国政府が悪評を呼んだシャドーバンキングを規制する一方、デフォルトを容認したせいで、シャドーバンキングや社債に回っていた資金が、一気に株に流れ込んでいます。
お蔭で中国株価は高騰しており、バブル状態になっています。

「高まる中国株バブル崩壊リスク 世界経済が大荒れとなる恐れ」2015年5月25日
上海総合株指数の大幅上昇の背景には、中国政府の金融緩和策に対する期待がある。同国の経済専門家にヒアリングしても、中国の投資家、特に個人投資家の間で、さらに金融緩和策が実施され、投資資金が流入するとの期待が高まっているようだ。
そうした期待が株価急騰の主な要因になっており、買うから上がる、上がるから買うというバブル形成のサイクルができている。一方、実体経済に目を転じると、従来、成長のエンジン役だった輸出も伸び悩み傾向が鮮明化している。企業業績の伸びもそれほど期待できる状況ではない。株価が急角度で上昇するだけの材料は見当たらない。

http://diamond.jp/articles/-/72021

土地バブルの上に株バブル。まるでかつての日本を見るようです。
株バブルが、実体経済の担保がないと容易に弾けるのはご存じの通り。中国の場合は、崩壊の構図がもう既に見えてしまっています。
そもそも不動産バブルが弾けつつあるから、各企業の業績が悪くなり、デフォルトする企業が出始めているから、社債発行ができなくなり、株式に資金が流れたから、株バブルを生んでいるのです。
企業の業績がバブル化した株価に追いつけないと、この構図はあっと言う間に壊れてしまいます。つまりこの株バブルは、あと1年か2年、長くて3年の時限爆弾ということなるのです。
 
■巻き込まれる韓国。破滅に向かって一直線
中国のバブル資金が流れ込んでいるのは、中国国内だけではありません。周辺国も巻き込まれています。特にお隣韓国では、とんでもないことになっています。

「過熱する金融市場、投資家が危ない=韓国」2015年05月22日
米国と比較して韓国の株価がバブルだとは見にくい。過去5年間で平均株価の上昇率が米国は 80%を超えるが韓国は30%に過ぎない。韓国企業の未来収益に比べて現在の株価が一般的に非常に高いとは断定し難い。だが株式価格が上昇するという ニュースが今後さらに上がるだろうという期待をそそのかしながら、お金を借りて証券投資をする庶民が増えている。
http://japanese.joins.com/article/792/200792.html?servcode=100§code=120

韓国の経済低迷は長く続いており、不動産の価格も低下が懸念されています。そんな中、この突然発生した株価高騰に韓国市民は飛びつき、借金までして株式投資に没頭しているのですね。
あと2年もしない内にどうなるかわからん株式に借金して金を突っ込むなんて、自殺行為の何物でもありません。
もともと韓国は、経済面を中国の市場力に依存してきましたから、中国のバブル崩壊による影響が心配されてきました。しかしこのままいくと、ただでさえハンパないであろう中国バブル崩壊の影響が、とんでもないレベルになる可能性があります。
 
■日本も他人ごとではない株バブル

東証大引け 15年ぶり高値 円安受け5カ月半ぶり7日続伸」2015/5/25

25日の東京株式市場で、日経平均株価は7日続伸し、終値は前週末比149円36銭(0.74%)高の2万0413円77銭だった。連日で年初来高値を更新し、2000年4月14日(2万0434円)以来、およそ15年1カ月ぶりの高値を付けた。
http://www.nikkei.com/markets/kabu/summary.aspx?g=DGXLASS0ISS16_25052015000000

日本は経済が少しずつ上向きになっているとはいえ、これは高くなり過ぎです。どう考えても、中国のバブルマネーが入り込んできてるでしょう。
つまり、日本の株価も一気に収縮する可能性が高いわけです。しかし、今金利を操作して、バブル抑制に動くのは得策ではありません。まだ日本経済が本気で回復したわけではなく、中国バブルの余波を受けて株価だけバブル化しているからです。
となると、来る暴騰暴落に、日本市民は自衛するしかありません。我々は、韓国のようにこのバブルに踊るのではなく、やがて訪れる崩壊の日に向けて、しっかりと経済立て直しを目指しましょう。