【五輪エンブレム問題】 まだ終わらんよ! とばかりに佐野氏側が報道機関に警告文を送付

組織委の五輪エンブレム撤回によって、ひとまず一区切りついたエンブレム問題。
しかし、ここに来て、記者会見も開かず雲隠れしたままの佐野氏側が、各報道機関に警告文を送っていたことが明らかになりました。
 

「佐野氏代理人通じ報道機関に申し入れも会見「ない」」2015年09月06日
佐野研二郎氏(43)が4日、一連の盗用疑惑を巡る騒動で、代理人を通じて報道機関に「近時の過熱報道について」と題された文書を送付した。
「万が一、本書簡到達後も適切な取材に基づく客観的な報道が為されず、同様の取材・報道態勢が続くのであれば、名誉棄損等の法的責任を伴うものと判断した段階で、直ちに法的措置を講ずると共に、関係機関等に対して人権侵害を理由とする申立てを行う予定であることを、念のため申し添えさせていただきます」としている。
http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/443555/

直ちに法的措置を取るとは穏やかでないですね。
ちなみに今回の警告を送ってきた弁護士事務所は、知的財産権著作権のプロフェッショナルだそうで、相当お高い事務所のようです。
 
■取材に応じず「取材に基づく客観的報道」を求めるとは、これ如何に
今回の警告では、「取材に基づく客観的な報道が為されず、同様の取材・報道態勢が続くのであれば」法的処置を講ずるとしています。しかし、佐野氏は、報道側の会見申し入れについて、「(佐野氏の)会見の予定はありません」と法律事務所を通じて回答しました。
自分は「取材」を受けるつもりがないのに、相手には「取材に基づいた」報道を要求しているわけですね。どう考えてもこの要求は矛盾していますし、極めて不誠実な話です。何の矛盾も説明してないで、「理解してもらえない」と言い放った組織委と同じ匂いがするのは、私だけでしょうか。
 
また、「極めて遺憾ながら、第三者の作品が依頼者(編集注・佐野氏のこと)のデザインとして報じられ」と主張していますが、これがどの案件を指しているのかも不明です。遺憾に思うなら、その第三者の作品とやらを指摘するぐらいはして欲しいものです。何の説明もしないで、一方的に遺憾だと叫んで理解を求めるのは、おかしいことだと思わないのでしょうか?
 
■唐突な言い訳に、不審は深まるばかり

「そもそも、思想・アイデアそのものが著作権法に基づき保護されるものではないことは、著作権制度の国際的かつ基本的な原則」。

散々遺憾だの法的措置だの言っておきながら、言い訳だけはするというこの姿勢。なんなんでしょうかね。
どの作品のことを言ってるのかは不明ですが、影絵の犬の画像を、そのまま使った多摩美のポスターのことを言っているのかもしれません。影絵の模倣疑惑に関しては「犬の画像については、紙で切り絵を制作しMR_DESIGNで撮影したものです。」と回答していますが、指の太さから関節の位置、指の開き具合までそのまま重なるものを、切り絵の工程を挟んでも、「アイデア著作権で保護されない」とだけオリジナルを強弁するのは、デザイナーとして恥ずかしいことだと思うのですが。
 
報道機関がこの警告に対してどのように対応するのかはわかりませんが、少なくともインターネットを中心に佐野氏の作品を検証している人間に対しては、全く逆効果となることでしょう。
記者会見をせずに、どこまでこの問題を収拾できるのか、まだまだ注目を集めそうです。