北米商戦で、1分間に85台以上売れる状況が、24時間31日間ぶっ通しで続いたWii

世界でダントツのゲームシェアを持つアメリカ。今回の勝者もやはり任天堂でした。

「米ゲーム販売、任天堂牽引 09年12月 過去最高55億3000万ドル」
任天堂のWiiの販売台数は77%増の380万台と、同製品の月間販売台数では過去最高。ソニーの「プレイステーション3(PS3)」の販売は87%増えて過去最高の136万台だった。マイクロソフトの「Xbox360」は9%減の131万台だった。
ウェドブッシュ・モルガン・セキュリティーズのアナリスト、マイケル・パッチャー氏は「牽引(けんいん)したのはすべて任天堂だった」と指摘した。
NPDによると、12月のゲームソフト販売は7%減の25億8000万ドル。任天堂はゲームソフト販売上位10本のうち6本を占めた。

月間販売台数、脅威の380万台突破! 凄い。凄すぎる。
どれくらい凄いかと言うと、1分間に85台以上売れる状況が、24時間31日ぶっ通しで続くくらい凄い売れ方です。これまで記録を持っていたDSの販売台数を圧倒的に引き離しての記録更新でした。
そのDSは、北米年間販売台数の記録を更新です。こちらも驚天動地の1122万台! なんと1分間21台以上売れる状況が24時間365日ずーっと続いてしまうくらい凄まじい売れ方です。まさに王者、任天堂。圧倒的過ぎて他社と比較するのも変な気がしてきます。
まず去年からピークアウトが激しいPS2から。

PS2   2007年   2008年   2009年(NPDデータ)
12月 110.0万台   41.0万台   33.3万台

同じくメディアプレイヤーとしての限界も見えるPSP

PSP   2007年   2008年   2009年(NPDデータ)
12月 106万台   102万台   65.5万台

どちらも終焉を迎えたと言って差し支えないと思います。

そしてPS3

PS3   2007年   2008年   2009年(NPDデータ)
12月 79.7万台   72.6万台   136万台

値下げで結構売れたはずのPS3ですが、去年の2倍に届いていません。北米のゲーム人口に照らすともっと売れてるはずですし、任天堂のユーザーがPS3購買層と重ならないはず、と考えればこの数字はおかしいんですが。
3年目という期間。値下げによる値ごろ感。普及期の販売台数が、100万台前半で終わってしまうというのでは、今後の展開に非常に暗雲が立ち込めてしまうでしょう。
そんな壁にぶつかっているように見えるコアユーザー向けハードですが、こんな記事が出てきました。

「膨れ上がるゲーム制作費:平均は20億円程度」2010年1月15日
『Develop』の記事によると、マルチプラットフォーム対応の次世代ゲームの制作費が、平均で1800万ドルから2400万ドルであることがわかったという。シングルプラットフォーム対応のゲームの制作費は、平均でおよそ1000万ドルだったという。
http://wiredvision.jp/news/201001/2010011520.html

前から高い高いと言われているコアユーザー向けソフトの開発費ですが、悪化しています。

「CG負担 1作品10億円超も  新たな収益モデル模索」日本経済新聞2007年9月24日
ゲームソフト開発費の高騰は臨界点に達している。ハイビジョン対応の据え置き型ゲーム機用ソフトはコンピューターグラフィックス(CG)の制作に手間がかかり、開発費は一作品十億円以上といわれる。前世代機では一億−三億円程度とされ、数年で三倍以上に膨らんでいる。 

2007年9月に10億円だった開発費が、2009年には倍の20億円です。こんな状況についていけるソフトメーカーはわずか、と言うより既にバタバタと脱落しています。日本のメーカーがPSPにソフトを供給するのも、PS3Xbox360に開発費を投じる余裕が無いせいだと思われます。
2010年にはどうなるのでしょうか?
そんな中、1年経たずにドラクエ9の廉価版が出ることになりました。この早さは前代未聞です。

「「ドラクエIX」発売8カ月で半額に ゲームメーカーが抱える中古市場対策」
「廉価版が発売される理由は、中古市場への対抗策です。中古ゲームの自由流通が、2002年に最高裁判決で合法だと認められ、現在は中古ゲーム店のほか、ネットオークションで取引されています。当然、中古の流通では、メーカーには一切お金が入ってこないので、メーカーは苦肉の策として、定価を下げた廉価版を発売するのが慣例となりました。(中略)また、一説には同社のPS3用『FINAL FANTASY XIII』が想定より売れ行きが悪いようで、その回収のためとも言われています」
http://news.livedoor.com/article/detail/4552221/

売れ行きの良くないFF13の資金回収が、ドラクエ9廉価版の投入の理由の1つだと言うのですね。確かに今でもかなり売れているドラクエ9の廉価版は、かなりのインパクトを与えるでしょう。これが高騰する開発費の影響の一端だとすると、PS3Xbox360の立場は、さらに厳しいものになりそうです。



「週間ハードセルスルーランキング」(2010年1月4日〜1月10日)メディアクリエイト
お年玉商戦の勝者は、なんとキングダムハーツに牽引されたPSPでした。この結果はさすがにびっくりです。2位は前週から随分ダウンしたとは言え、Wiiがつけました。3位はPS3。結局、12月に入った途端Wiiに倍近い台数で抜かれた後は、FF効果で1度逆転しただけで終わってしまいました。FFの独占供給でこの結果ということは、他にどんな手を使っても、Wiiを抜くことは不可能でしょう。
そのFF13も、2週目でトモダチコレクションに抜かれた後は、再逆転することもできずに、今週はダブルスコアで負けてしまっています。FFというビッグブランドもかなり痛手を受けたと言えるでしょう。
いろんな意味で、終戦という感じです。

機種 10月5週 11月1週 2週 3週 4週 12月1週 2週 3週 4週 5週 1月1週
PS3 36,061 48,925 38,498 34,752 46,558 57,782 75,086 237,086 110,519 114,368 61,591
Wii 28,888 31,810 26,764 32,844 46,673 106,555 135,898 191,915 215,129 163,855 76,772
Xbox360 6,047 4,679 4,124 4,085 3,685 5,314 10,646 8,965 6,489 6,878 5,461
PS2 1,966 2,066 2,031 2,024 2,057 2,277 2,463 2,982 3,747 4,023 3,092
DSi 37,517 37,421 33,749 32,070 37,021 51,635 68,184 95,227 113,984 92,461 50,178
DSll - - - 100,553 67,243 53,791 58,006 75,241 81,430 70,643 45,221
PSP 34,911 33,784 38,770 32,752 38,839 67,880 71,885 79,194 105,801 132,911 145,682
PSPgo 29,109 13,992 6,427 4,574 3,809 3,412 3,077 3,260 4,192 3,903 2,841