怒涛のゲーム週間を、ひとまとめ

任天堂カンファ、SCEカンファ、東京ゲームショウの公開と盛りだくさんだった1週間。どんな情報が出たのか、まとめてみます。
任天堂カンファレンス

トップバッターとなった任天堂による「ニンテンドー3DSカンファレンス2011」。(画像はモンハン4発表場面)

1 女性の所有率が低いので、ピンク投入。女性にファンの多いタイトルを投入。
  「どうぶつの森」、「トモダチコレクション」、「ガールズモード2」
 
2 年末商戦に向けて、家族需要を満たす定番タイトルを投入。
  「ゼルダの伝説」、「「マリオ&ソニック AT ロンドンオリンピック」、「ポケパーク2
 
3 3DSの今後を占うビッグタイトルの投入。
  「モンスターハンター3G」、「モンスターハンター4
 
もともと任天堂の岩田社長はプレゼンがうまいのですが、今回は特に1時間で必要な情報を順序良く見せて素晴らしかったです。そして3Gの情報を見せ球にしての、モンスターハンター4の発表。この辺りの流れは圧倒的な任天堂の勢いとして、強烈な印象を与えました。見せ球周知に利用されたファミ通は、表紙に「10年に1度のスクープ」と大上段に構えていただけに、モンハン4の発表はさぞかし仰天したと思います。
また、カンファレンス終了後、1時間に渡ってソフトのPVが流されました。ここも見所満載で、ガッチャマンとモンハンの珍しいコラボレーションや、鉄拳ではカプコンの小野プロデューサーが友情出演してアクションを繰り広げるなど、楽しんで作られたPVばかりでした。スクウェアエニックスのPVでは、本邦初公開となる3DSキングダムハーツのプレイ動画が唐突に出てきたりもします。他にも久しぶりの続編となる「ファイヤーエムブレム」や、バグ騒ぎでシリーズが終焉してしまった感のあった「カルドセプト」の新作。スクウェアエニックスの最新作「ブレイブリーデフォルト」などなど。とにかく非常に隙のないカンファレンスでした。
 



SCEプレスカンファレンス
3DSにモンハン3Gが発売されることがわかって、突貫で行われたらしいVITAのカンファレンス。
非常に残念な結果となりました。まず初っ端からVITAの起動が失敗。もうそろそろ量産に入らないといけない時期ですが、不安がよぎります。そして呼ばれたカプコンスクウェアエニックスコナミ各社の担当者が、いずれもネガティブな印象を与えるプレゼンを連発。携帯ゲーム機のキーとなる「モンスターハンター」の発表も全くありませでした。(画像はスクエニ担当者が、話の途中で帰るところ)

ちなみにモンハンに関しては、ロイターの質問にSCEジャパンの河野弘プレジデントが答えています。

――カプコンが「モンハン4」を3DSで開発中ということだが、モンハンの最新作はソニーから出ないのか。
河野「今のところ、プレステにモンハンの新作が来るという話はない」
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPJAPAN-23212920110915?pageNumber=3&virtualBrandChannel=0

普通こういう質問の場合、「カプコンさんのソフトの動向は、答える立場にない」などと言うのがお約束なのですが、正直に答えてしまっています。これはおそらく、SCEカンファに合わせて、モンハン新作発表の打診を行ったのに、「現在計画はない」といった答えが返ってきたのでしょう。カプコン3DSのtriGを売らなければならず、買い控えを起こさせるような発表は拒否したものと思われます。計画は水面下であったとしても、少なくとも半年は後になるでしょうね。

 
また、私が予想していた本体価格の値下げも無し。もっともこちらはまだわかりません。予約開始となる10月15日までに、急遽値下げが発表される可能性を残しています。
他にもフル充電からの稼働時間が数時間らしいという、携帯ゲーム機として致命的な点や、メモリが別売り専用品な上に高額になるなど、ハード構成でも非常に問題を抱えています。さらに問題なのは3G回線の費用です。

本プランの通信速度は、受信時最大128kbps/送信時最大64kbpsですが、「プリペイドデータプラン 100h」の通信利用可能時間103時間のうち3時間は、受信時最大14Mbps/送信時最大5.7Mbps(FOMAハイスピード)のより高速な3G通信がご利用いただけます。


プラン名 プリペイドデータプラン 20h プリペイドデータプラン 100h
ご利用料金 980円 4,980円
通信利用可能時間 20時間 103時間
通信ご利用期間 30日間 180日間
http://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2011/09/14_00.html

まず速度が非常に遅い。上り64kbps、下り128kbps。正直10年ぐらい前の速度です(100hプランのみ3時間だけ上り最大5.7Mbps、下り14Mbps使用可能)。現在のハイポリゴン、リッチテクスチャのゲームでマッチングを行うのは、どう考えても難しいです。カンファでは「ニコニコ動画」との連携も発表されましたが、この速度で動画を見るのはまず無理と考えた方がいいでしょう。
そしていずれのプランも、契約期限があります。これはたとえ1分しか使わなくても、20hプランは30日、100hプランは180日で契約切れとなります。更新手続きをしていても、残った分を次の期間に持ち越せません。これはプリペイドプランの特徴のせいです。プリペイドプランとは、『利用料先払い』の契約のことを指すのですね。利用料先払いですから、その利用分を使おうが使わなかろうが、ドコモは感知しません。もっと言うと誰が使ったかも感知しないため、犯罪に使われたり、不法移民御用達になったり社会問題化したわけです。
さらに更新手続きは、ドコモの専用ホームページからしか行えません。しかも支払処理はクレジットカードか「ドコモ ケータイ払い」のみしかありません。ここで注意をしなければならないのは、契約切れに気付いて、慌ててドコモショップやドコモインフォメーションセンターに駆け込んでも、窓口で対応してくれないということです。名前は「プリペイド」と付いていますが、プリペイドが登場する場面は、全くありません。再契約手続きでは、ホームページで契約処理を行い、1週間程度で送られてくる「ドコモUIMカード」(SIMカード)を待つ必要があります。その上再契約には手数料2,100円がかかります。
ちょっとシミュレーションしてみましょう。

契約100hプラン 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 合計
時々使う4,980      契約切れ 契約切れ 契約切れ 契約切れ4,980+2,100  12,060
常時使用4,980     4,980      9,960

実際には、100時間なんてあっと言う間に過ぎますので、綺麗な表にはなりませんが、契約手数料が2,100円と高いため、再契約が多くなればなるほど損をします。2回の再契約で4,200円。3回再契約をすれば6,300円ですからね。むしろドコモは再契約してもらった方が非常に儲かるのではないでしょうか。契約を更新しない選択は、最低でも6ヶ月3G接続しないと確信しているときだけにしてください。
 
さて、このどう考えても脚を引っ張りそうな3G契約モデル。店頭での契約手続きが要らないというメリットはありますが、VITAの販促にはまずならないように思えます。しかしSCEの考え方は違うようです。

――年末商戦でヴイータを国内発売する予定だが、今期はどのくらい販売する計画か。
河野「目標は公表していないが、初回出荷の50万台の3Gモデルには100時間分の通信料を無料でつけるので、この50万台を早期に売り切るつもりだ。とにかくスタートダッシュが大事」
――ヴィータは、3GモデルとWiFiモデルの販売の比率はどのくらいになりそうか。
河野「価格差は5000円だが、3G搭載モデルはいつでもどこでも接続できる環境を提供することで、ゲームの楽しみが広がって新しいゲームができる可能性がある。成長戦略のための新しいチャンスを広げるためにも3Gモデルをメインに売っていきたい」

うーん、私も3G版こそVITAのビジネスモデルの核だと思います。しかし、この契約を継続するのは、PSPのメインユーザーである中学生、高校生には無理でしょう。
 
さてネガティブな話題ばかりでしたが、TGSで実際に触ってみると、美しい画面で非常に魅力がありました。本体のスペックは実に素晴らしいものがあります。結局VITAは大画面に綺麗な出力をするために、バッテリーや大きさや価格を犠牲にしたF1マシンのようなゲーム機です。PSPの資産であるUMDを使用できないなど、様々なものを犠牲にしています。モンハンがすぐに出ないといったソフト面。バッテリーやメモリカードといったハード面。その両面にウイークポイントを抱えるVITAがユーザーにどのような評価をされるのか、心配しつつ見守りたいと思います。