【五輪エンブレム問題】 当選者の匿名なんて論外だ

新選考委員も決定し、再始動となるエンブレム問題。しかし、まだまだ目が離せない展開が続くようです。
 
■やっぱり出来レースだった選考過程

「エンブレム問題:森会長「心配かけた」謝罪」
昨年9月の公募の際、最高水準のコンペにするため槙局長の判断で、デザイナー8人に参加要請文書を事前に送付していたことを明らかにした。佐野研二郎氏ら上位3人は8人に含まれていた。審査の公平性が疑われ、事前参加要請と審査結果の関係について外部有識者の調査が必要とした。
http://mainichi.jp/sports/news/20150929k0000m050095000c.html

かつての説明では、公平に公募されたと断言されていた選考過程ですが、アタリをつけたデザイナーに事前に文書を送っていたことが判明しました。しかも上位3人は、この事前に文書を送られた8人に入っていたわけで、本当にマトモな審査が行われたのか、大いに疑問を感じるところです。
また、記事の通り、ようやく森会長が謝罪したんですが、これまた突っ込みどころ満載となっております。

森会長は、エンブレムのコンセプトの議論がないまま専門的なデザイン性を重視した▽組織委内の策定作業が一部職員で行われ、十分なチェック機能が働かなかった−−の2点が特に問題だったと指摘。

コンセプトを決めもせず、作業は下っ端に丸投げってことですね、これ。
上の人間はなんか仕事をやってたんでしょうか。組織委の委員は責任を取って、給料を一部返納するそうですが、森氏は無給なので何も無し。責任を取るなら森氏は辞めることしかないと思うんですが、それはしないようです。
 
■組織委の認識は未だに変
さらに、組織委の問題点の認識が、またおかしい。

報告書では他に、秘匿性を最優先し説明や広報が絶対的に不足▽受賞歴を持つデザイナーに応募条件を限定▽審査委員の過半数がデザイン関係者で偏りと受け取られた▽インターネットの画像検索技術の進歩を意識した対策が足りなかった▽詳細な制作経緯の説明が遅れたなどを反省点として記した。

は?
『インターネットの画像検索技術の進歩を意識した対策が足りなかった』というのはなに?
 
広報が絶対的に不足した、という分析は正しいと思います。これからはできるだけ情報公開が必要でしょう。
がしかし、インターネットの画像検索の対策なんて、そんなものは組織委の仕事ではありません。そもそも、コピーライトをトリミングして消すようなバカな真似さえしなければ、検索技術が高かろうが低かろうが関係ない話です。だいたい、どんな対策をするつもりなんでしょうか。
この報告書に限らず、組織委の言い回しはチョコチョコと引っかかることが多いのが問題です。本当にわかっているのか心配になってきますね。大丈夫なでしょうか。
と思ってたら、やっぱり大丈夫じゃなかったのです。
 
■組織委はアホなのか

「“佐野騒動”を教訓に制作者匿名も議論」
エンブレム委員会の前に開催された準備会では「前回の選考の顛末(てんまつ)を踏まえると、当選者が匿名を希望するケースが考えられるのではないか」という意見があり、この日の委員会で議論。結論は出なかったが、組織委によると「コンセンサスを得たわけではないが、当選した方の判断に任せた方がいいのではという意見が多かった」という。
http://www.daily.co.jp/newsflash/general/2015/09/29/0008441000.shtml

あのさぁ。
「情報公開が絶対的に不足した」という報告をしたんじゃないんですかね。それがなんで、当選者の匿名なんて議題に上げてんでしょうか?
「当選した方の判断」なんてどうなるか予想しないんですかね? エンブレムの発表の席で、「本人が匿名を望んでますので、公表しません」なんて言ったら、絶対「情報公開するんじゃなかったのか!」って大騒ぎになりますよ。
で、また「やっぱり名前を公開します」って朝令暮改なことをやるんでしょうか? 何度同じ展開を繰り返すつもりなんですかね?
できるだけオープンにすると宣言したんでしょう? だったら当選者の匿名なんて許されるわけないでしょうが。こんな簡単なことがなぜわからないんでしょう?
 
この組織委の相変わらずな姿勢に呆れる人も多いかもしれません。でも、呆れたまま放っておくと、彼らは何するかわかりません。
組織委の行動を、国民はこれからも、きっちり監視しなければならないと思います。