<従軍慰安婦問題> やっぱり蒸し返し? 安倍首相の「おわびの手紙」要望への対処法

去年の12月28日に電撃的に合意された慰安婦問題を不可逆的に解決した日韓合意。当時、私は「<従軍慰安婦問題終結> 韓国「不可逆って何?」 日本は確実に訪れる「蒸し返し」に備えよ」という記事を書きました。そして半年経った今、やっぱり蒸し返されてきたんですね。

「安倍首相の「おわびの手紙」要望 韓国の慰安婦財団」2016/9/19
【ソウル=峯岸博】従軍慰安婦問題の日韓合意に基づき韓国で設立された「和解・癒やし財団」(金兌玄理事長)が、日本政府からの10億円で元慰安婦を対象に現金を支給する際に安倍晋三首相名義の「おわびの手紙」を添える案を検討していることが19日、財団関係者の話で分かった。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS19H1B_Z10C16A9PE8000/

不可逆的の意味を知ってるか? と言うのが正しい反応でしょう。しかしそもそもなんで文書化されていないのでしょうか?
 
■文書化を拒んだのは韓国側

「日韓外相、質問なしで合意発表…文書作成見送り」読売新聞2015年12月28日
岸田外相と尹炳世ユンビョンセ外相は28日の会談後、慰安婦問題の合意を並んで表明したが、会談の正式な合意文書はなく、記者からの質問も受け付けない異例の形式となった。
 日韓外交筋によると、合意文書の作成は、韓国国内の世論の動向を懸念する韓国側の要請で最終的に見送られた
これにより、外相2人の発言で会談の成果を確認することとなり、両外相とも手元の紙を時折見つつ、一言一句、慎重に発言していた。

文書化を反対したのは韓国側ですね。だから手元に何も残ってないのです。
各局で放送された合意会見の全文には、ちゃんと「おわびの言葉」がありました。

「外相共同記者発表の全文」
(1)慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している。
 安倍晋三首相は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒やしがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する。
http://mainichi.jp/articles/20151229/k00/00m/010/040000c

文書化しておけば、いまさらワァワァ言わずに済んだのです。となれば、今更「おわびの言葉」だけを出すことはできません。
 
■ちゃんとした調印式をアメリカ立会いの下でやれば

慰安婦問題で日韓、米国で会談案」
日韓両政府が決着を目指す従軍慰安婦問題について、28日の外相会談で合意した場合、来年3月に米国での国際会議に合わせて首脳会談を行い、最終決着を確認した上で共同文書を発表する案が浮上していることが26日分かった。
http://this.kiji.is/53527777881409015

なぜか立ち消えになってしまいましたが、アメリカで調印式を行う案がありました。「おわび」の文書が欲しいなら、ちゃんとした調印式をすべしと主張するのが正しいと思います。もちろん文書には「不可逆的に解決したことを認知」するだけでなく、

(2)韓国政府は、日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し、公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても、可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて、適切に解決されるよう努力する。

(3)韓国政府は、今般日本政府の表明した措置が着実に実施されるとの前提で、日本政府と共に、今後、国連等国際社会において、本問題について互いに非難・批判することは控える。

といった少女像に関する合意や、国際社会において非難、批判することを控えることも、ちゃんと文書化するのが当然です。もちろん双方国の首長が出てくる必要がありますから、「朴大統領が調印できるよう周囲を説得せよ」と要求することが必要でしょう。合意の形成はどちらか一方の努力ではなく、双方の国の努力が不可欠です。今回のように一方的に「おわびの手紙」を要求することを許してはいけませんし、「要求するなら成果を出せ」という姿勢がこの問題では重要です。
 
■で、調印式を利用すべし
調印式を行う場合、「何人かの慰安婦を調印式に参列させて握手する」といったパフォーマンスは、あってもいいかもしれません。どうせ挺身隊は何をやっても納得なんてしないのです。全員を納得させることは不可能と割り切って、「わかりやすい絵を撮る」ことは、各国で行われている少女像設置の画策を阻止する材料として、活用できるのではないでしょうか。
韓国は少女像を「平和の像」と言って各国に建設しようとしています。こっちはそれらの活動に対抗して、「平和の像」として「慰安婦と握手する阿部首相」の像を立てればいいのです。どっちが「平和の像」に見えるかと言えば、握手している像ですよね。
そもそもこの「平和の像」問題の根幹は、正しい反論をしていないことにあります。「過去の過ちを反省し、再び起きないよう未来に引き継ぐ」という主旨があるという主張なんですから、「反対」を叫んでも理解されません。しかもその理由が「過ちの部分が不正確」ですから尚更です。この案件の正しい対応は、「反対」ではなく「対案」です。「こっちの図案の方が主旨に合うよ」と主張すべきなのです。オーストラリアでもどこでもいいですが、韓国系の図案と日本系の図案の対立で、あっちだこっちだと始まれば、「いやいや、そもそもウチにこんな像はいらなくね?」っていう反応になるはずなんです。サッチャーと握手するゴルバチョフや、オバマと握手するカストロなどの銅像を、あっちこっちに置きまくる国なんてどこにも無いんですから。

いずれ韓国は、拠出された10億円に対して「金を出したのだから、従軍慰安婦を強制連行したことを認めたのだ」的な主張をしてきます。内容関係なく、上っ面だけで日本を貶めるために利用するのです。そのときのために、様々な『報復』(あえて書きます)を準備しておくのが大事だと思います。韓国が言い出した、スワップ再開もそのために利用するのがいいかもしれませんね。