<暴走韓国>日本製品不買条例で日韓は「投資紛争」状態に

9月6日、韓国のプサンとソウルの市議会で、日本企業を「戦犯企業」と呼称し、公共機関が製品を購入しないことを「努力義務」とする条例が可決しました。

 

日本製品の不買条例相次ぐ 韓国 ソウル・釜山市制定」2019/9/6

戦時中に朝鮮半島出身者を働かせたとする日本企業を「戦犯企業」と呼び、これらの市や教育機関が対象企業の製品を購入しないよう努力義務を設ける条例を可決した。ニコンパナソニックなど284社を指定している。

 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49493590W9A900C1EAF000/

 対象企業の数は、実に284社です。凄い数ですね。しかもプサンとソウルの議会だけに留まりません。

 

「日本284社を「戦犯企業」 三菱重など指定 釜山市が条例」2019年9月6日

 釜山市議会によると、ソウルを含め全国十七の地方議会で条例制定に向けた動きが進んでおり、今後相次いで成立する可能性がある。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201909/CK2019090602000292.html

この流れでいけば、韓国中の議会が条例を可決するでしょう。可決しないと「親日」としてバッシングされるんですから、どうしようもないです。

ちなみにこうした企業排除運動では、有名なもので「BDS運動」というものがあります。

 

■吹き荒れた「対イスラエルボイコット運動」とは 

「アラブボイコット調査成果報告書(2018) 」日本貿易振興機構ジェトロ
ボイコット運動に対し各国政府が距離を置き始めている環境の変化
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H29FY/000544.pdf

BDS運動とは、「ボイコット、投資撤収、制裁」(Boycott, Divestment, and Sanctions)の頭文字を取った運動です。イスラエルによるゴラン高原占領に反対し、イスラエルに対する企業活動を、「ボイコット、投資撤収、制裁する」というものです。

ただ、やはり自由貿易を妨げる運動は長続きしませんで、今回の韓国のように条例化までいくことは、余りありませんでした。当のパレスチナにも条例はありません。むしろその後に成立した「反BDS法」の方が導入した国の数が多いくらいです。

それだけではなく、韓国の日本製品不買運動と大きな違いがあるのですね。それは、イスラエルによるゴラン高原占領は、1981年に国連安保理決議第497号で「国際法違反である」と、決議されているんです。しかも全会一致です。アメリカも拒否権を発動できませんでした。まぁ今年の6月にトランプ大統領が発言をひっくり返して、結構物議をかもしたりしたのですが。

しかも、日韓には「日韓投資協定」という国際条約があります。今回の地方議会が「戦犯国」として日本企業に一方的に不利益を与える行為は、この条約における「紛争状態」になってしまうのです。

 

■GSOMIA破棄から韓国は暴走状態

「日韓投資協定」とは、日韓が互いに「最恵国待遇」で投資経済活動を支援する国際条約です。「最恵国待遇」とは「自国の企業に与える待遇と同じもの」という意味ですから、日本企業を一方的に「戦犯国」として韓国経済から排除するのは、明白な条約違反です。

「投資の自由化、促進及び保護に関する日本国政府大韓民国政府との間の協定(略称 日・韓投資協定)

第二条
1 各締約国は、自国の領域内において、投資財産の設立、取得、拡張、運営、経営、維持、使用、享有、売却その他の処分(以下「投資及び事業活動」という。)に関し、自国が同様の状況において自国の投資家及びその投資財産に与える待遇よりも不利でない待遇(以下「内国民待遇」という。)を、他方の締約国の投資家及びその投資財産に与える。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/treaty_020418.html

もちろん不買運動が、市民運動レベルで留まっていたなら、問題ありません。まぁホントは良くないんですが、それと議会で条例を制定するのとは、まるでレベルが違ってきます。

第二十二条
1 各締約国は、この協定に基づく義務を履行するに当たり、自国の領域内の地方政府によるこの協定の遵守を確保するため、利用し得る妥当な措置をとる。

ちゃんと地方政府が勝手なことをしないよう、韓国政府は措置をしないといけない条項がついているわけです。当たり前ですね。「地方政府が決めたことだから仕方がない」とか言ってたら、国際条約を締結する意味がありません。

こうした一方の国が一方に不利益を与える場合、事前に通告しないといけないことになっています(第16条第3項)。そして解決のために「合同委員会」を設置しなければなりません(第20条第1項)。にも関わらず、韓国政府は何もやってないわけですよ。

おかげで、日本からの是正要求を韓国政府が対処しない限り、日韓は「投資紛争」状態に突入してしまうわけです。そして国際仲裁裁判所に付託することができてしまいます。

 「募集工(徴用工)問題」と違うのは、最初の段階で「両国の合意」項目自体がないことです。特に第14条の仲裁裁判所は、相手国が拒否しても手続きは進みます。

第14条:
国対国の紛争処理:締約国は、協定の解釈等について協議を行う。円満な解決が図れない場合、拘束力を有する決定を得るため、一方の締約国の要請に基づき、仲裁裁判所へ付託される。

 そして裁判結果は拘束されます。もちろん、福島産水産物規制で負けた時のようなことは許されません。

 

 ■自由貿易への攻撃である

先に説明したBDS運動では、アイルランドイスラエル排除の法案を決めようとしたことがあります。しかし「自由貿易」を叫んだアメリカが介入し、通りませんでした。

自由貿易への攻撃」というフレーズは、アメリカに特に大きな影響があります。日本は直ちに「自由貿易への攻撃」だとして、韓国を非難し、アメリカと意識を共有するべきでしょう。

 韓国は、GSOMIA破棄以降、「市民が独自に不買運動をしてるだけ」など、表面上取り繕うことすら止めてしまいました。日本も韓国の早い動きに対応していかないと、ドンドン不利益が重なっていくことになります。

 外務省はのんびりしている暇はありませんよ。