反日韓国の次なる作戦は? 「慰安婦合意が違法な証拠文書を見つけたった♪」

6月29日から行われた米韓首脳会談。おそらく誰もが予想していたトランプによるTHAAD問題鉄槌は、華麗にスルーされるという衝撃の結果になりました。

「米韓共同声明、THAADの韓国配備触れず 首脳会談」
会談後に出された共同声明では、FTA再交渉や、立場の違いがあらわになっていた米軍の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD(サード))の韓国配備に触れなかった。
http://www.asahi.com/articles/ASK712DB9K71UHBI002.html

会談前に文大統領が「THAADは合意通りに配備します」ってワシントンポスト紙に宣言したりはしていましたが、トランプ大統領がそれで許すとは到底考えられていませんでした。
まぁ、スルーする代わりに、会談直前に北朝鮮貿易でマネーロンダリングを行ったとして、中国丹東銀行に対する制裁を決定し、韓国にこれを賛同させる剛腕を見せつけましたが。

「文大統領、「トランプ大統領の強力な力を基盤にした外交に共感」」
「制裁と対話の並行」を基本とする文大統領の対北政策基調が、「最大の圧力と関与」というトランプ大統領の基調と似ている点を強調したということだ。対北政策の接点を強調し、韓米間の対北制裁に対する憂慮を払拭する意図と見える。
http://japanese.donga.com/List/3/01/27/977352/1

同時に「慰安婦合意」の『い』の字も出せず、米韓首脳会議はアメリカの一方的な形で終わりを迎えました。直後に行われたG20における日米韓首脳会談でも、話題に従軍慰安婦問題は出ず、さらに初の安倍=文首脳会談でも、従来通りの主張を繰り返すだけで、殊更問題を大きくせずに終わりました。
正直に言って、かなり肩透かしであります。韓国側の一般的な反応を見てみましたが、「トランプと文のネクタイの色は同じ赤だが、安倍は青で仲間外れ」みたいなどうでもいい内容で大盛り上がりしてるだけで、THAAD問題でも「慰安婦合意問題」でも、まったく成果を出せなかったことへの批判はありません。韓国の人たちは、日本より政治は進んでいると言いつつ、日本より遥かに上っ面しか政治を見ませんね。
 
■トランプは国家間合意を破ったか?
韓国の文大統領はしきりに「慰安婦合意を韓国国民の大多数が情緒的に受け入れられない」と繰り返していますが、普通に考えれば「国民の情緒」などという理由で、国同士の合意事項をひっくり返すことは無理なはずです。そんなことができれば、どんな合意も「国民の情緒」を理由に無視できることができるからです。
では、米韓FTA再交渉を宣言したトランプの場合はどうなのか? まず理由からして「国民の情緒」などという曖昧なことは言いません。

「トランプ氏「米韓FTA再交渉を」 文氏は慎重」
首脳会談でトランプ氏は経済分野での不満を韓国にぶつけた。やり玉に挙がったのが、2012年に発効した米韓FTAだ。トランプ氏は米韓FTAによって「米国の貿易赤字は110億ドル(約1兆2350億円)以上増えた」と指摘した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM01H4W_R00C17A7NNE000/

赤字という極めてわかり易いことを理由に挙げています。で、実際の話ですが、日本の農協が分析しておりまして、確かに赤字は拡大しているが、それは韓国の景気が悪化しているせいで、輸入が減っているということなんですね。

「【韓国 新大統領就任】経済再生への壁 韓米FTA」
トランプ政権は韓米FTAが発効しているのに、米国の対韓貿易赤字が2011年の132億ドルから16年には277億ドルまで倍増したことを問題視している。しかし、実際は、韓国の対米輸出額は2014年の702億ドルが15年は698億ドル、16年は664億ドルと減少傾向をたどっている。さらに韓国は経済の低迷で対米輸入額が輸出額よりも減少している。そのためその差は広がり、数字のうえでは韓国の対米収支は黒字が拡大、一方、米国の対韓収支は赤字が拡大している、というのが実情だ。
http://www.jacom.or.jp/nousei/closeup/2017/170530-32767.php

だからトランプが言う様に「FTAに構造的な問題がある」というのは、少し違うということなんですが、数字そのものに嘘はないという結論になります。
さらに、トランプは合意を反故にして、再交渉を迫ったのではなく、そもそもFTAの規定にある制度を利用しています。

「韓国新政権】トランプ氏が先制、慌てる韓国 FTA再交渉協議不可避、文在寅政権、国会停滞で「司令塔」不在」
合同委員会の特別会合は一方から要請があれば、30日以内に開くことが規定されている。会合即再交渉を意味しないが、前段階の協議入りは避けようがない。
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/170713/mcb1707132145036-n1.htm

一方から要請があれば開くことを規定している、特別会合を開こうとしているわけですから、「最終的、不可逆的」と宣言した「慰安婦合意」とはまるで次元が違います。さすがに「国民の情緒」で要求を押し通すことができないことを理解したのか、韓国側は新たな手に出てきました。
 

■「慰安婦合意破棄」へのプランBに着手

「韓国政府、「日韓慰安婦合意」検証グループに専門家を招聘へ―韓国メディア」2017年7月10日
具体的な検証内容には、両国による協議において被害者の意見が十分にヒアリングされたか、なぜ難航してきた協議が突然進展したのか、なぜ「最終的かつ不可逆的に解決された」「日本大使館前の慰安婦少女像の撤去を約束する」といった記述が合意に含まれたのか、合意成立後の韓国政府の対応が妥当だったかといった点が含まれるという。
http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20170710/Recordchina_20170710034.html

検証した結果、「何も問題ありません。この合意は有効です」なんて結論を出せば、この専門家の人たち大バッシングで大変なことになるでしょう。ということは、何かひねり出す必要があるわけです。
で、その材料となるものが提供されました。

「朴前政権時の慰安婦合意文書「適法でない指示ある」」
韓国大統領府報道官は17日夕、朴槿恵(パククネ)前政権時代の新たな文書計1361件が、政務首席秘書官室から14日に見つかったと発表した。このうち分析が終わった254件には、日韓慰安婦合意や旅客船セウォル号沈没事件などに関し、大統領府秘書室長が関係の首席秘書官に指示した内容が含まれていた。報道官は「適法ではない指示事項が含まれていた」と語った。
http://www.asahi.com/articles/ASK7L2RGJK7LUHBI009.html

この文書の何が「違法」なのかは、まだ不明であります。ただ、狙いはわかりました。つまりウイーン条約法の条約無効規定であります。

第二節 条約の無効
第四十六条(条約を締結する権能に関する国内法の規定)
1 いずれの国も、条約に拘束されることについての同意が条約を締結する権能に関する国内法の規定に違反して表明されたという事実を、当該同意を無効にする根拠として援用することができない。ただし、違反が明白でありかつ基本的な重要性を有する国内法の規則に係るものである場合は、この限りでない。
https://www1.doshisha.ac.jp/~karai/intlaw/docs/vclot.htm

読んでわかるとおり、本来、国内法に違反していても、条約が無効になることはありません。でも「但し書き」があるので、これを狙っているようです。
「ただし、違反が明白でありかつ基本的な重要性を有する国内法の規則に係るものである場合は、この限りでない。」
しかし「基本的な重要性を有する国内法」に違反する場合とは、どんな場合でしょうか? これが個々の事例判断になるため、確定した何かはありません。
でも、韓国の主張でチラホラ聞こえてくる「合意は国会承認を得ておらず無効」の主張が、この条項に当たらないことは確かです。なぜなら既に国際裁判でそういう判例があるからです。
 
■どんな「違法行為」が出てくるか 論理武装の準備を

「領土紛争を平和解決 カメルーンとナイジェリア国際司法裁判決を尊重」2013年8月19日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-08-19/2013081901_04_1.html

この「カメルーンとナイジェリア間の領土・海域境界画定紛争」では、紛争の20年前に締結された「マロウア宣言」で決定した境界について、ナイジェリア側が「国家主席によって署名されたが、最高軍事評議会 (日本の国会に当たる) が批准をしていない」。よって、 「マロウア宣言の合意は、正当性を欠く」と主張したんですが、国際司法裁判所はその主張を却下しました。*1
だってウイーン条約法の、次の条項に書いてあります。

第四十七条
(国の同意を表明する権限に対する特別の制限) 
特定の条約に拘束されることについての国の同意を表明する代表者の権限が特別の制限を付して与えられている場合に代表者が当該制限に従わなかつたという事実は、当該制限が代表者による同意の表明に先立つて他の交渉国に通告されていない限り、代表者によつて表明された同意を無効にする根拠として援用することができない。

つまり、「ウチの国の代表者に、その条約を締結する権限がありませんよ」と、事前に交渉国に通告されてない限り、条約無効の宣言は出来ないわけです。当たり前ですね。相手国は、条約締結の場に出てきた代表者に、当然「権限がある」と考えるわけです。後になって「そいつには権限なんか無かったんだよー」って宣言できるなら、条約を無視して騙まし討ちし放題です。
韓国で盛んに飛び交った「合意は国会承認を得ておらず無効」などという主張は、とっくの昔に国際裁判で否定されているのです。
まぁ、今回の「違法行為」とやらがどんなものかは、まだ不明です。ただ、どんな「違法」であれ、韓国側が「違法だー!」と叫べば違法になるわけではないことは、確かです。

第四十六条(条約を締結する権能に関する国内法の規定)
2 違反は、条約の締結に関し通常の慣行に従いかつ誠実に行動するいずれの国にとつても客観的に明らかであるような場合には、明白であるとされる。

ウイーン条約法で、既に網が掛かっています。いずれの国、つまり日本側にとっても、「違法だ」と客観的に判断できなければなりません。国家間の合意が如何に重いものか、ウイーン条約法を熟読するとよくわかります。
いつごろ「違法行為」の詳細が判明するか不明ですが、どんなものが出てきても、即座に反論できる準備をしておく必要があるでしょう。外務省の頑張りどころでもあります。
そもそも大使館前などに「慰安婦像」を立てて、市民団体が立てたからなどという理由で、国際条約を無視する行為が、どれほど非常識か。韓国はもう少し「国際常識」を身に付けた方がいいですね。